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音楽仲間を見つけるまで

所沢でジャムセッションの告知をしたところ、早速お問い合わせを頂きました!ので、きょうはそれにお答えしながら、自分の音楽経験を晒そうと思います。

なんでも、その人が高校生の時に活動していたバンドはキーボードをあまり必要としていなかったのでやめて、以来、一人でDTM中心に音楽をやっているとのこと。

高校生バンドだとキーボードの立場は微妙ですよね!わかります〜。素敵な音楽仲間をみつけるのは大変ですから、いま独りでも気にしないことです。生涯の音楽仲間、まだ見ぬその人と出会った時に、最高の仲間になれるように、日々音楽を楽しんで、自分を磨いていけばよいのです。ここで、好きな哲学者の言葉を引用します。

 考えるということは、ある意味で、自分との対話、ひたすら自分と語り合うことだ。だから、孤独というのは、決して空虚なものではなくて、とても豊かなものなんだ。もしこのことに気がついたなら、君は、つまらない友だちと過ごす時間が、人生においていかに空虚で無駄な時間か、わかるようになるはずだ。ただ友だちが欲しいって外へ探しに行く前に、まず一人で座って、静かに自分を見つめてごらん。
 そんなふうに自分を愛し、孤独を味わえる者同士が、幸運にも出会うことができたなら、そこに生まれる友情こそが素晴らしい。お互いにそれまで一人で考え、考え深めてきた大事な事柄について、語り合い、確認し、触発し合うことで、いっそう考えを深めてゆくことができるんだ。むろん全然語り合わなくたってかまわない。同じものを見ているという信頼があるからだ。
 本当の友情を知るということは、人生のひとつの喜びだ。うわべの付き合いだけの友だちの多さなんかより、たった一人でも、君はそういう友達を見つけるのがいい。大丈夫、そう思っていれば、必ずそれは見つかるよ。それまで君は、自分の孤独を、うんと豊かにして待っているんだ。だって、そうでなければ、素晴らしい友だちが現れた時、君は彼に応えることができないじゃないか。

池田晶子「14歳からの哲学 考えるための教科書」より

一語一語、引用を打ち込むのが嬉しくなる下りです。私は現在、大学で講師もしていますが、1年生に必ずこの文章を紹介するようにしています。若い人ほど誤解しがちなのですが、この文章では「積極的に友人を探しに行くこと」を否定していません。待っていればいいんだ、というような消極的な主張ではないので、そこはご注意。

つまり「本当の音楽仲間」に出会えるまでは、一人で楽しく、自分の音楽を深めていればいいのです。素晴らしい音楽家が現れた時に、彼らに応えられるように。

もちろん、たくさん人と会うのも大事です。行動しなければ、自分の環境が悪いのだ、と思い込み、周りのせいにしがちです。私はセッションに参加するようになって、いろいろなアマチュアミュージシャン達に育ててもらい、イベントの運営ノウハウを学び、今度は自分で主催してみたりして、多くの人と知り合えました。そして今度は旅行したり留学したりして「世界には本当に音楽が好きなやつらがこんなにいるのか!」と驚きましたし、同時にすこし安心しました。どれもこれも、その一歩を踏み出さなければ、決して知ることのできなかった世界です。

気になるなら大学や近所のサークルに入ればいいし、ある程度やってみて合わなければやめればいいだけです。やる前から自分で可能性を閉ざしてしまうのが、一番もったいないです。特に若い頃の判断力なんて大したことないので、とりあえず動いて、失敗したら後で反省すればいいのです。

問い合わせてくれた彼は、いま作編曲に興味があるとのことですが、演奏の楽しみをわざわざ遠ざけてしまうこともないので、どちらも楽しめば良いと思います。演奏がうまくなれば作曲の可能性が広がりますし、作編曲を学べば、また演奏に深みが出てきます。なによりも、どっちも楽しいですから、どっちかをやらずにいるなんて、もったいない!ギターや鍵盤でコードが弾けて、ブルースの伴奏ができるくらいなら、ぜひセッションに遊びに来てください。

らいけんと申します。音楽を教えたりブログを書いたりしています。頂いたご支援は音楽活動やコンテンツ制作のガソリンとなっております。本当にありがとうございます!