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子どもたちが「幸せな未来を築く力」をつけるための理想の教育を追い求める、WING SCHOOL代表“田上 善浩さん”

中学校教師時代、「中学の奇跡」と言われる教育空間を実践し、2018年にWING SCHOOLを開校した“田上善浩さん”にお話をお伺いしました。

■田上 善浩(たのうえ よしひろ)さんプロフィール
出身地:熊本
活動地域:熊本を中心に全国
経歴:1967年生まれ。熊本大学大学院修了。大学卒業後29年間公立中学教師を勤めながら執筆活動、全国セミナー活動を行う。
2018年4月に熊本WING SCHOOLを立ち上げる。
現在の職業及び活動:WING SCHOOL校長を務め、スクールには約60名の子どもたちが24市町村から通っている。『感性』『知性』『プロジェクト力』の三層の柱で子どもたちが『幸せな未来を築く力』をつける教育空間を提唱。全国講演をしながら、教育界の令和維新を目指している。
座右の銘:「こどもに夢を!」

「教育界から令和維新を起こす!」

Q:どのような夢やビジョンをお持ちですか?

田上 善浩さん(以下、田上 敬称略)
教育界から令和維新を起こすことです。
つまり政治力、軍事力で明治維新が起きたけど、今度の維新は教育界から起こしたい。枯葉に文句を言ったり、燃やしたりするのではなく、緑の芽を生やす。それが僕は子どもたちが早いんじゃないかと思っています。その子どもたちが高校生になり、大人になり、緑の芽が自然と広がっていったら、いつのまにか春になってたというような維新。この日に幕府を倒すぞ!ではなく、気づいたらみんなが変わっていたという維新です。

あるデータによると、9割以上の大人が好きな仕事をしていないという結果が出ています。ということは9割以上の大人が輝いていない。その数値を逆転させたい。でも正直 、大人ってなかなか変わらないんですよ。だから子どもたちが輝いた状態で、そのまま真っ直ぐに育っていくとすごい可能性を発揮する。幕末の志士たちもそうですよね。10代で志を立てて、20代で大活躍してるわけですよ。そういう人たちを育て、そういう世界が広がることで、自然と世の中が変わっていくと思うんです。

よくセミナーや講演会で尋ねるんですが、生まれてから今のご自身の年齢まで、すべてが最高にうまくいってたとしたらどんな自分になってますか?と、それを100%とした時に、今のあなたは何%ですか?と。これが中学生に聞くと50〜60%が平均で、40%以下の子が結構多いんですよ。でも小さい頃は、みんな80%以上で生きてたはずなんです。それがこれもダメ、あれもダメで、学校がエネルギー値を下げる役割をしている。後からそれに気づいてエネルギーを取り戻せる人もいるけど、なかなかそれが難しい。引きこもりなんかも10代より20代、20代より30代が多いです。だからこそ、子どもの時からエネルギー値高いままで、すくすくと育つ教育空間を広げ、キラキラした人たちで世の中を溢れさせたい。それが今の私のビジョンです。

「WING SHCOOLのような教育空間を全国に広げ、教育に対する消費者マインドを変えていく。」

Q:それを具現化するために、どんな目標や計画を立ててますか?

田上 その為には日本全体の公教育が変わらなければならないと思っています。公教育が変わるためには、「教育って本来こういうことを目指してたんだよね。」って、みなさんに気づいてもらわないといけません。そのために“WING SHCOOL”を全国に展開したいと思っています。

例えば、オーガニックのレストランを出したとしても、消費者がコンビニでいいよって言ってたら何も変わらんわけですよ(笑)
そこに食に対する意識とか、健康のこととか、全体の意識が高まるとそっちに消費が流れ込む。教育改革って教育の分野なんですが、土台として一般の人たちの意識が高まることが大事です。

だからこそ、令和維新を起こす為には、土台として日本の公教育を変える必要があります。そのためにWING SHCOOLのような教育空間を全国に広げ、教育に対する消費者マインドを変えていく。それを熊本で実現するところまではできたので、次のステップは、全国展開と学校法人化です。これが特殊な場所だからできるんでしょ?と言われることがありますが、「公教育の現場でも既に実現してましたよ」と。だから、学校法人になることで、公教育でそれが応用できる土台に乗れるだろうなと思っています。

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毎日のように奇跡が起きていた。

Q:その目標や計画に対して、現在どのような基本活動をしていますか?

田上 熊本のWING SHCOOLの活動です。子どもたちとの日々、スタッフのクオリティ、そこをより充実させていくことですね。去年は1年目だったんですが、毎日のように奇跡が起きて、「奇跡の日常化」と言われていました(笑)

例えば1日目に泣きながら子どもを送って来られたお母さんがいたんですが、前の日に息子が明日行くのを楽しみに準備してる姿をみて、こんな姿を見るの何年ぶりだろうと感動されたんですね。2日目も泣いて来られて、理由を伺うと、子どもが「楽しかった!」って嬉しそうに帰ってきて、嬉しくて泣いてしまったと。3日目には見違える別人のような笑顔でやってきて、「どうしたんですか?」と聞いたら「何年も続いてた頭痛が取れました。」
ていうことが起きたり、人前で立つのがトラウマでダメって思ってた子どもが、楽しそうに堂々と人前で喋ったり、テストといえば0点でビリビリ破いて帰っていた子が、授業受けて楽しくてわかるようになり、単元テストで100点を取るようになったり、もう数えきれないような事がたくさん起こりました。

記者 まさに奇跡ですね。そこに至るまでにどんな工夫があったんですか?

田上 うちの強みはというと、普通この手のスクールは理念からスタートするんですよ。例えば大学の教授とか、活動家の方とか、こんなスクールを創りたいという理念のもとに人が集まってきて、そこに共感した保護者さん、子どもたちが集まってきて、そこで探りながら創りあげていく。

しかし僕の場合は公教育で既に実現してたんです。英語の授業でも、ほぼクラス全員がペラペラ英会話練習をしていたりとか、台湾から学生が来た時に、日本語でプレゼンはもちろん、英語でプレゼンして、中国語でもプレゼンする子がいたり。

その時にプレゼンをしてくれた彼が高校2年生になって、相談があるとWING SHCOOLに来ました。話を聞くと、アフリカで起業したいという相談でした(笑)日本の高校の教育に幻滅して、大学は海外に行こうと思っていると。その後アフリカで、起業したいというビジョンを、当時のようにプレゼンしてくれるわけです。そういう意識層が確実に育ってる。もうエネルギー値が高い子って、何でも前のめりになってやってますから、どんどん活躍の機会が広がっていくんですね。ですから、まずはWING SHCOOLでそれを実践していく事が核になります。

記者 私もWING SHCOOLに入りたくなってきました!!

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「俺が教えるの下手だからだよね。」

Q:そもそも、その夢やビジョンを持ったキッカケは何ですか?そこには、どのような発見や出会いがあったのですか?

田上  最初は全くできなかったんです。教員になった瞬間、受け持ったクラスが学級崩壊しました。「なんで田上がそんな教育改革なんかやっとんよ。」と、当時の教え子に思われているでしょうね。

でも教員になる前の大学生の時に、人形劇サークルに所属して、そこで全身でぶつかってくる子どもたちのキラキラ感に初めて触れました。そこで水を得た魚のように、僕の中でパアッと感性がひらかれて、子どもたちのためにいつもの学校を夢の国にしてあげたい!という思いが溢れてきたんです。
それで「子どもに夢を」というスローガンで、熊本県内の小学校を回っていました。その時に人形劇だけじゃなく、キャンプファイヤーや語り童話など、いろいろやっていました。だから子どもたちが夏休みの一日を存分に楽しんでくれて、最後別れる時に泣いちゃうぐらい感動的な時間を過ごす姿を見ていました。

人形劇が楽しくないとあたりまえに騒ぎ出すし、あるいはゲームの説明が悪いとみんながグチャグチャになってしまう。小学校1年生から6年生までみんなを楽しませながら、どうやってバージョンアップしていけばいいのか?それを一所懸命にやっていたらみんなを巻き込めるようになっていったんです。だから教員になって、グチャグチャになってるクラス、寝てる生徒や反抗してる生徒を見た時に、「俺が教えるの下手だからだよね」って、素直に思えたわけですよ。だからもっと子どもたちが楽しめる授業にできないだろうかと思ってゲーム形式にしてみると、何年か経って楽しめるクラスが実現できた。でもテストで点は取れないとか(笑)

それで全国のセミナーに行って、教員の世界にもトップクラスの教員がいることに気づいて、どんな授業をしてるんだろう?と学びました。英語が専門ですが、国語から音読法を学び、算数から板書法を学び。だから僕はいろんな分野のトップクラスから吸収して、自分の英語の授業を組み立てていったんです。それで子どもたちが喜ぶようになって、WING SHCOOLの土台となる中学の奇跡と言われる実践ができました。

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心の中にみんなキラキラ輝く自分の可能性を持っている。」

Q:その発見や出会いの背景に、どんな原点がありますか?

田上 その原点になったのは、母の愛だと思います。3人兄弟で自信がなく、気が弱くて足が遅い僕を、母はすごく可愛がってくれました。まわりから見ると可愛がりすぎでしょ?と思うぐらいの甘やかせぶりだったと思います(笑)

でも例えば、ご飯を注いだ時に、「ありがとうって受け取るのはお前だけだよ」とか、「お前はお兄ちゃん達と違ってスポーツはできんかもしれんけど、心は優しい子なんだよ」と、母が見て取った具体的な事実を語ってくれてたんですね。だから自分の中にはそれが芯としてあるわけですよ。だから子どもたちにも純粋にそうあってほしいなと思ってチャレンジすることができたと思います。

記者 田上さんの生きる姿勢が、そのまま今の教育の実践、WING SCHOOLというカタチになっているんですね。

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田上 心の中にみんなキラキラ輝く自分の可能性を持っています。それが否定されて無理だと思い込まされていたり、キッカケになるような出会いがなくてパッとひらかない。だから最初はこっちがそういう教育空間を用意してあげて、自分で掴みはじめたら、どんどんチャレンジできるようになって、自然とキラキラ輝いていくんですね。でも最初は愛情を注ぎ込まれる経験とか、ここだったらイキイキできる!というような経験をしないとなかなかチャレンジできない気がします。僕が荒れてた中学校に通ってた時に、何かにチャレンジしろって言われてもそれどころではなかったので(笑)

だから、最初は私が母となって愛情深く子ども達を迎える。そして安心して楽しんで、子ども達からやりたい!の心が溢れてきた時に、そこからどんどんチャレンジさせていく。伸びる力は子ども達自身の中にあります。だからこそ、そういう子どもたちの緑の芽(可能性)をどんどん生やしていくことが、僕の役割だと思っています。

記者 田上さんの子どもたちに対する深い愛情と、教育に対する熱い想いがひしひしと伝わってくるインタビューでした。ありがとうございました。

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田上 善浩さんに関する情報はこちら↓↓

【WING SCHOOL】

【Facebook】


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【編集後記】
今回記者を担当した相良と古川です。初めてお会いした瞬間から、キラキラした笑顔と柔らかい雰囲気に引き込まれてしまいました。インタビューに応えてくださる言葉の一つ一つが、まるで物語を読むように鮮やかにイメージが湧いてきて、なんでこんなにわかりやすいんだろう?と不思議に思うぐらい、おもしろくて聞き入ってしまいました。同時に、柔らかい見た目からは想像できないほどの熱い情熱とエネルギーが印象的で、この田上さんの人間力と生き様にみんながファンになるんだなと、心から納得しました。今後の活躍がさらに楽しみです。

この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。




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