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雪の日の朝に、傷だらけのたぬきがきづかせてくれたこと。

寒い日曜日の朝。
スキー場に向かう私はあまりいいきぶんではなかった。

ささいなこと。一本の電話を終えて、寂しいような悔しいような、
でもきっといい1日になるはず。と弟を誘って一緒に家を出た。

道中、反対車線に、人形のような、なんだかめちゃめちゃさみいしい何かが目に入った氣がする。
生き物だ。多分すごい弱ってる。
どうしよう、というきもちとなぜか怖さでいっぱいになりながら、引き返した。

おそるおそるゆっくりと車で横まで来たら
たぬきが座っていた。目はうつろで、からだはぶるぶる震えていた。
濡れたコンクリートの上で、血を流しながら座っている体はとても寒そうだった。

泣きたくなった。

きっと雪山にいそぐ誰かにひかれてしまったんだ。
実際、私たちがそこにいた約1時間、
たくさんの車が猛スピードで横を走り抜けていったけど
車を止めたり声をかける人は誰一人いなかった。

立ち止まると、通り過ぎる車は余計に速く感じる。
静かな雪山で、車の音が鳴り響く。
申し訳ない氣持ちでいっぱいになった。

怪我してるから動けないのに
近づくわたしたちから必死に逃げようとする、たぬき。
車にあった大きなバスタオルをかけてあげる。
犬みたいに、そのタオルに噛みついて体に巻き付けてた。

下半身に古傷を負っている。もう後ろ足は動かないんだ。
二人でいろいろ考えたけれど、野生に生きているから、どこにも連れて行かずに
道路じゃないところにまず移動させよう。ってことになった。

そんなことを話しているうちに、たぬきは
わたしたちから逃げるように手でぐいぐいと坂を下り出した。
弟が除雪された厚い雪壁の向こう側、沢の方へふわっと下ろした。
雪の上に降りたたぬきは転がりながらも自力で下っていった。

人間のせいで自由を失ったたぬき。それでも自力で生きようとする姿。
その横を猛スピードで駆け抜けていく車たち。
ここが私の生きる地球。

わたしには何ができる?

誰かの言動に傷ついていた朝を思い出す。
とてもちっぽけなことに感じた。

優しく生きたい。
他人にだけじゃなく、自分に、家族に、生き物たちに、地球に。
消費社会に惑わされずに、シンプルにゆっくりと。
立ち止まる余裕と、直感を選ぶ勇氣を持って。
宇宙と地球と自然に生かされていることを忘れず毎日を大切に。

January, 2023

また冬が来る。
ウィンターシーズンが始まる前に、
自分にそして一緒の時代を生きる仲間たちに
Friendly reminder.
焦らずゆっくりと、シンプルにいこう。

November, 2023
Momo


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