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3月○日 キツネ

急にぽわんと空いた休日の午後に見たい絵があったので
お出かけした。電車を降りて外に出て歩き出す。
交差点で信号を待っているときにふと横を見ると
行きたかったクッキーのお店を見つける。
地図にピンをしておいたお店、ここだったのかと嬉しくなる。
絵を見て帰り道にクッキーの店に立ち寄る。
買ったことのある日持ちのする持ち帰り用のクッキーの他に
店内で焼いた賞味期限の少ないクッキーもある。
マーメイドのお誕生日が近かったので彼女のために
持ち帰り用のクッキーを2つと
自分のために店内で焼いたクッキーを2つ買う。

家に帰ってから店内で焼いたクッキーを食べてみる。
美味しくて目が大きくなった。
夜中なのに大きなクッキーを1枚平らげた。
次の日の朝にもう1枚平らげた。

ああ、なんて美味しいんだろう。
持ち帰りのクッキーも美味しいけどその3倍は美味しい。

しばらくしてから、
店内のクッキーと持ち帰りのクッキーの味の差が気になってきた。

でもマーメイドの誕生日にあげるやつだし・・

しばらく葛藤する。


いつの間にかにマーメイドにあげるクッキーを1枚開けていた。
そしてモリモリ食べていた。

こっちも美味しい。

キツネは食べ終わった後に
1枚残ったクッキーと、別の美味しいクッキーと
永遠に枯れない花を袋に詰めてから
おめでとうの歌を書いた。



そして今日マーメイドが遊びにきてくれた。
「本当は2枚あったはずのクッキーなんだけどね」と言って
クッキーを1枚渡した。
そしてそのクッキー屋さんのこと、本当は2枚あったこと、
とても美味しくてつい食べてしまったこと
お店に行って店内のクッキーを一緒に食べたいことを話した。

マーメイドは笑ってくれた。
そして一緒にクッキー屋さんに行く約束をした。

クッキーを食べてしまうくらい美味しいクッキーだって
伝わったので、クッキーを食べてよかったなぁと思った。

3月20日 キツネ

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