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無料の防音相談は役立つのか

約15年前(私が防音職人を開業して約3年が経過した頃)は、自称専門業者による「無料相談」が流行っていた。

これは、大半の専門業者が相談者を囲い込んで、自社の製品や工事の契約に誘導しようとするものでした。現在でも、一部の専門業者が無料相談と称して、金太郎飴のような、どの現場でも同じ仕様で見積書を提示しています。

それは何も考えずに代理店業者が、親会社の音響・防音設計仕様を、ほぼそのまま出してくるものです。現場の環境や構造的な特徴などを余り考慮しない提案書です。

これに対して、防音職人では、現場ごとに個別のアドバイス・提案書を提示していましたが、業務量が増えてきただけでなく、他の専門業者が諦めた案件、元契約者から紹介された相談が多くなりました。難しい案件の検討時間によって、契約案件の作業時間が足りなくなり、無料相談を休止しました。

無料の防音相談

無料の相談は、主に大手業者が自社の宣伝のために行っているものが多く、モデルルームにおいて説明を行う専門業者が大半です。

これに対して、小規模な自営業の専門家は、仕事をある程度選びながら、提案書を作るのが普通です。自分の得意分野の仕事を中心に取り組むわけです。なので、専門業者ごとに特長が見えやすいです。自営の建築事務所と同様です。

それは、ホームサイトなどウェブサイトのコンテンツや実績を見れば明らかです。防音職人では無料相談を止めた代わりに、有料相談の計画書の費用は、本契約の時点で見積りに充当します。例えば、先に相談料の3万円を頂戴した場合、本契約の防音設計費用が15万円とすると、実際に作業完了時に頂戴するのは12万円になります。

私が無料の防音相談を止めた大きな理由は、お客さんであるプロの音楽家に強くアドバイスされたからです。「専門技術の対価をいただくのは、専門家として当然のことです」と言われました。

依頼する内容によって、専門業者を選べば良いと思います。大手企業は、モデルルーム運営や宣伝費用を必ず見積金額に入れてきますので、零細な専門業者とは単価も違います。

一生の買い物を無料相談で判断できるか

新築住宅や防音室のリフォームなど「一生の買い物」を専門業者の無料相談で可否を判断できるのでしょうか。

複数の中古物件を選ぶときならば、無料相談を参考にすることは有り得ると思います。問題は物件調査を責任を持って無料で対応する業者は居るかどうかです。

セカンドオピニオンでも有料相談になります。もしも無料で対応する専門家が居るならば、それはレアケースでしょう。

いずれにせよ、無料相談を判断基準にする場合は、施主側の完全な自己責任になります。また、相当な努力をして自分で勉強する必要があります。

私の相談者の中に、契約をちらつかせながら、提携先や私の提案書を流用した者がおり、結局、そのことが相見積りの建築業者にバレてしまい、誰も相手にしなくなりました(笑)。自業自得というやつです。

やはり、私は私の契約者(プロの音楽家)のアドバイスの方を重視したいと思います。誠実な専門家は、必ず相談者の対応を見ていますから、問題があればすぐに辞退されると思います。

くれぐれも「無料相談」という言葉で高い買い物をしないように注意してください。

ちなみに、私なら、質問をメール・電話で1点にしぼり、「参考で結構ですので、専門家のご意見をお願いします。もしも、よろしければ、同じような製品やサービスを探している人にも伝えます。」と説明します。

そして、終わり際に「ご多忙の中、貴重なご意見・お時間をいただき誠に有難うございました。御社のますますのご発展をお祈りいたします。」というようなお礼の言葉を述べます。今の世の中、お礼の言葉すら述べないで逃げる相談者が多いのです。このような心無い行為がコンサルティング担当者のモチベを壊してしまうのです。

だから、誠実な専門業者ほど、現在は無料相談を殆ど行わない。お受けする場合は、元契約者または提携先の紹介に限定されると思います。

私の場合は、今年は無料相談を4件ほどお受けしました。3件は紹介案件、もう1件は建築士からの依頼で、他に頼める専門業者が居ないとまで言われて、仕事場での相談をお受けして、現在は正式な予約となりました。

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