ソメジョと妄想デート(第1話)〜ロックンローラーになりきれない僕〜
皆さん、こんにちは。「ソメジョと妄想デート」へようこそ。ソープールの編集スタッフほそみが、かわいい女の子たちを連れ出して、妄想染めデートをしまくる本企画。「妄想染めデート」ってなに?という方もひとまず、ご覧くださいませ。
(第1話)ロックンローラーになりきれない僕
台風が関東を直撃するという予報は見事に外れ、さわやかな青空が広がる日曜日。彼女からの電話で目覚めた僕は「ねぇ、川越行こうよ!」との急な提案に戸惑いつつ眠い目をこすりながら支度をした。
3ヶ月前、あるロックバンドのライブで出会った僕らは、音楽の好みが似ていたことからすぐに意気投合し、飲み友だちになった。
彼女は気分屋だ。思いつきで突拍子もないことを言うし、彼女の気まぐれに何度も振り回された。
今回だってそうだ。僕は日曜日の朝から、レンタカーを借りて運転手をしている。ドライブを盛り上げようと大好きなロックバンドの音楽をかけると、彼女は満足げに口ずさんだ。
川越につく頃には、彼女のテンションはさらに上がり、子供のようにはしゃぎまわった。
いつもクールな彼女が「ずっと来てみたかったんだ」と無邪気に笑う姿を見て、思わずドキッとしてしまう。
そんなことに必死で気づかれないようにして、僕も川越を満喫した。名物のサツマイモチップスを食べたり、陶器屋さんへ行ったり、神社へ行ってお参りをしたり…。
一通り楽しんだ僕は、満足感と疲労感でいっぱいになった。しかし、彼女はまだまだ元気そう。遊び足りないのかスマートフォンを取り出した。
「ねぇねぇ!ここ行かない?」
連れられて辿り着いた先は、ゲストハウス兼カフェ&バー「ちゃぶだい」。
定期的にイベントなどをしているようで、この日は「ちゃぶだい百貨店」というクラフト市が開催されていた。
情緒あふれる店内には、染め物や陶器などさまざまな工芸品が点在している。
藍染ブースに足を止める彼女。
僕らが興味ありげに見ていると、やさしそうな店主が声をかけてくれた。
伝統的な藍染と型染めの技法で一つひとつ手作業でつくっているのだと店主は言う。彼女は「すごく、綺麗」と呟き、目を輝かせた。
藍染に興味があったとは…。
意外な一面を知って思わず頬が緩む。
あれ、なんで…
顔が急に熱くなる。
チラッと彼女に視線を向けると、店主と目があってしまった。
何かを全て見透かされている気がして、僕はとっさに目をそらし、ハンカチに手を伸ばした。
すると…
トゥンク///
大きく胸が鳴る。
僕は彼女を見つめた。
一気に心拍数が上がった僕とは裏腹に、彼女はいたって冷静だ。
僕はこの心のビッグビートが聞こえてしまうのではないかと焦った。そう思うと汗が急に止まらない。
もう、彼女に惹かれていることを認めるほかなかった。
帰りの車内では、妙に意識をしてしまい上手く話すことができずにいた。まてよ、そもそも恋人はいるのだろうか。そんな話、したことがなかった…。
「そういえばさ、彼氏いるの?」
「・・・」
返事がない。
なんだ、寝てるのか…。
僕は、深呼吸をして運転に集中をすることにした。
目的地について、彼女をおこす。
そして、こっそり買っておいた藍染のハンカチをプレゼントした。
「え!いつのまに!?」
喜ぶ彼女の顔を見ると胸がいっぱいになり、言葉が詰まってしまった。
結局、肝心なことは何も聞けずに彼女を見送った。自分の気持ちに気づいた途端これだ、情けない…。
♪ このままふたり〜、どこへ行くの〜
♪ 分からなくても〜 やりきれなくても〜
♪ 君が〜笑うから〜 やさしく笑うから〜
♪ それだ〜け〜で 嬉しくなるのさ〜
♪ 僕にとって〜 君は〜天使〜
♪ 恋より〜愛より〜何より〜君がほしい〜
♪ もし〜君に彼氏が〜いようと〜も〜、僕は叫〜ぶよ〜
♪ あぁ〜〜、愛しい〜君よ〜
♪ あぁあぁ〜、僕とロックで踊ろう〜よ〜
車内に響くロックンロールの歌詞は、自分の気持ちを代弁しているような気がした。言いたいこと、思っていることを、ストレートに表現するロックは、やっぱり素晴らしい。
でも、ロックに生きるのは難しい。
僕は今日のことを一つひとつ思い返しながら、静かにアクセルを踏むのだった。
Fin.
今回のデートのお相手は…
クールビューティな、あんちゃん。音楽が好きで、以前はバンドも組んでいたのだとか。担当はドラム。今度はドラムデートがしたいです(ハート)。ご協力、ありがとうございました!
登場ブランド mono-ai
伝統的な型染めと藍染の技法で染めあげた布を使って、ステキなアイテムをたくさん作っています。ぜひ、チェックしてみてください。
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最後まで、ご覧いただきありがとうございます。皆さんもぜひ、染めデートをしてみてはいかがでしょう。まだまだ妄想デートは続きます。
〈書いたひと〉
ほそみ
デザイン会社STUDIO UNIで働くコピーライター。田中圭が好き。
※文中で登場する歌詞は、ほそみによるオリジナル歌詞です。
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