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「ビジネスアイデンティティ」を見つける旅に出よう。

Forbes JAPAN副編集長/経済ジャーナリストの谷本有香さんに『世界のトップリーダーに学ぶ 一流の「偏愛」力』を献本頂きました。

谷本さんと初めてお会いしたのは昨年2月の「働き方を考えるカンファレンス2017」に登壇させていただいた時。この時の出会いをきっかけに、今は定番企画として毎週開催している「著者と語る朝渋」の記念すべき第一回に登壇頂きました。


自宅に届くやいなや、早速読ませて頂きましたが、今年だけで200冊読んだビジネス本の中でも2018年No.1にどハマりしました。既に3回くらい読み返しています。ドッグイヤーの数が大変なことに。笑

本書のキーワードは
「ビジネスアイデンティティ」
「マッド・ジーニアス」

の2つ。

このキーワードにしたがって、「一流の偏愛力」を紐解いていきましょう。

「AI時代」に生き残るトップリーダーに必要なもの

僕も雇用市場で仕事をしている端くれとして「AIが本格的に社会実装された時、雇用はどうなるか?」は最大の関心事の一つ。以前、こんなコラムも書きました。

「AIと雇用」というテーマについては、谷本さんは冒頭でこんなことを語られています。

「好き」という変数こそ、AIと共存するこれからのビジネスシーンにおいて生き残れるかどうか、私たちに残された最大の武器となります。

AI時代に生き残るリーダーとは、これまでイノベーターと呼ばれてきた人たちに極めて近い、ひと言でいえば「代替不可能な人材」です。それを可能にするのが、ほかならぬ「好き」という変数です。

「好きを仕事に」は最近よく語られるテーマですが、これまではなんとなく「ゆるく、フワッと」語られてしまうことが多かったと思っています。

「好きを仕事に」って、そんなに簡単なことではないし、むしろ茨の道だったりするのですが、本書では「ビジネスアイデンティティ」という新たな概念を用いて因数分解して説明しています。

「ビジネスアイデンティティ」とは何か

谷本さんによれば、ビジネスアイデンティティは以下のように定義されます。

ビジネスアイデンティティ
=熱中するほど好きなこと(偏愛)+他者貢献(共感)

すなわち、「偏愛」と「共感」からなります。どちらか片方だけでもダメ。

「好き」という気持ちがどんなに強かろうと、それが他者貢献につながっていなければ、「ビジネスアイデンティティ」とは呼べないわけです。逆もまた然り。

例えば「文章を書くのが好き」という気持ちでブログをはじめたとしても、ブログの内容が「今日は話題のハンバーガーを食べに行きました。とってもおいしかったです。」みたいな内容であれば、誰にどんな価値も提供できていませんよね。

「偏愛だけでなく、他者貢献によって共感を生み出すことが大切だ」という考え方ができると、「なるべくお役立ち情報を入れよう」というマインドになって「今日は話題のハンバーガーを食べに行きました。ランチタイムに行くとめちゃくちゃ混むのですが、11時半頃に行けば10分も待たずに入れます」という、他者貢献性の高い文章にアップデートできるわけです。

「好きを仕事にしたい」と思っている方は、ぜひその「偏愛性」をフルに活かしつつ、「いかに他者貢献して共感を生めるか?」をセットで考えると、「AI時代を生き抜くビジネスアイデンティティ」を確立することができ、結果的に「好きなことで飯を食う」を実現できそうです。

自分の中の「マッド・ジーニアス」を磨こう

「ビジネスアイデンティティ」に並んで重要なキーワードが「マッド・ジーニアス」です。

(マッド・ジーニアスの)意味としては、一般的に「正しい」とされる評価からは外れるが、自分の得意分野において突出している「異常値」的な能力のこと
(中略)
「あの人、ほんとに変わってるよね」「ちょっとおかしくない?」「やめときなよ」と言われる部分にこそ、他者貢献を可能にする自分だけの能力が眠っているのです。
マッド・ジーニアスは「偏狭」のなかで発揮される能力とも言いかえられます。

どの人にも、平均的な基準から大きく外れるような「あの人のここ、ちょっと普通じゃないよね」という部分が少なからずあるはずです。そうした「異常な部分」を「異常」として捉えるのではなく、「マッド・ジーニアス」だと思って育てるようにする。

自分の「やりたいこと」「熱中するほど好きなこと」とマッド・ジーニアスをかけ合わせれば、それは間違いなくビジネス・アイデンティティとなるでしょう。

つまり、もしあなたが「異常だ」と批判されてきた「何か」があるなら、それはマッド・ジーニアスかもしれないのです。

熱中するほど好きなこと+マッドジーニアスで他者貢献

これこそが、「AI時代でも成果を出し続けるビジネスリーダーの条件」と言えるかも知れません。

前作の「何もしなくても人がついてくるリーダーの習慣」で語られたのは「自然体であること」の重要性でしたが、今回は「偏愛力」でした。

3000人超のトップリーダーの生きざまに向き合い続けてきた谷本さんだからこそわかる「リーダーの条件」。前作と今作はそれぞれ、「谷本流リーダーシップ論三部作」の第一作、第二作だと勝手に思っているので、完結編ではどんなリーダーの姿を描かれるのでしょう。

自然体力、偏愛力と来て、第三の条件は一体何でしょうか。今から気になって仕方がありませんが、谷本さんのコタエを待たずに、「自分のアタマで考える」のが良さそうですね。

追伸:一方で「好きなことがない」「偏愛を持てる対象が見つからない」という悩みを最近良く聞きます。その悩みに対する処方箋はまた別途書きたいと思っているので、ご興味ある方はU-29世代のキャリア論フォロー頂ければ更新情報をお届けします。

↑最近漢字の読み書きにハマっている次男。リビングのホワイトボードにおもむろに「一流の偏愛力」と書き始めてびっくり。笑

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