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「独立起業の片道切符感」をなくしたい。

ランサーズタレント社員の西村(@souta6954)です。

10月12日(金)に、ランサーズから「起業家タレント社員採用制度」をリリースしました!

フリーランス総合支援プラットフォームを提供するランサーズ株式会社は、オープン・タレント推進の取り組み第三弾として、10月12日(金)より、起業家(エンジニア・デザイナー)の募集を開始いたします。起業家・フリーランスの持つ高い専門性とアントレプレナーシップを活用し、 「テクノロジーで誰もが自分らしく働ける社会をつくる」というビジョン実現へ向けた新しい組織開発に努め、事業を推進してまいります。

本制度リリースの背景はプレスリリースに書かれている通りですが、ごくごく私的な「想い」をnoteにしたためておこうと思います。

なぜ日本ではこんなにも起業がリスクなのか?

「複業がアタリマエ」の国では、起業のリスクはさほど高くありません。なぜなら、会社を辞めずに会社員を続けながら、「複業」でスモール&リーンに起業する、という選択肢があるからです。

他方、日本ではまだまだ兼業副業禁止の会社が多く、「会社を辞めずに起業する」選択肢は一般的ではありません。その結果、「起業=独立」となり、

①しばらくは生活に困らない生活資金/自己資本がある
②まだ若く家族もいないため失うものがない
③なんとかなる!どうにかする!と強い自信がある

上記の①~③にあてはまる人でない限り、なかなか起業に踏み切れないのが日本の実情です。

こちらは日本政策金融公庫による「起業と起業意識に関する調査」起業に関心がある人がまだ起業していない理由のグラフです。これを見ると「自己資金が不足している」「失敗したときのリスクが大きい」が二大理由であることがわかります。

また、事業内容にもよりますが、限界費用ゼロに近づいているので、起業にかかるコストはさほど大きくなく「自己資金」がなくとも起業は可能です。したがって、実際のところは「失敗したときのリスクが大きい」が最大の阻害要因であることは間違いありません。

「会社員」と「起業」の間には目には見えない「不安」という「越えられない壁」がそびえ立っていて、そこを越えられるのは圧倒的なスキルと実績を持った「強者」か、リスクなんてない!と崖から飛び降りることも厭わない、良い意味で頭のネジが外れた「狂者」だけ。

こうした世の中では起業が増えるわけもなく、日本の開業率は欧米の半数の5%程度です。

この「越えられない壁」をくぐりぬける「トンネル」的な役割を果たすのが「複業」です。

複業が許されている海外において、この「複業」というトンネルをくぐって起業するのはもはや「アタリマエ」です。かのAppleですら、設立のきっかけとなった「ホームブリュー・コンピュータ・クラブ」でテレビに出力できるサーキットボードの開発を発表して賞賛を得た当時、ジョブズとウォズはふたりとも会社員でした。

かくいう僕自身も、27歳の誕生日の日に、会社を辞めずに「志低い起業」をしました。

「失敗したら辞めればいいや」くらいに思っていたので、「失敗したときのリスクが大きい」だなんて全く感じませんでした。もちろん、「自己資本」はほぼゼロです。会社設立に20数万円かかりましたが、それは経費扱いにできますし、個人事業主として複業で稼いでいたお金で支払えるレベルの金額だったので「自己資金が不足している」という課題もありませんでした。

僕の場合はあくまで一例ですが、最近の副業解禁の流れを受けてこうした「複業型起業」が増えています。

会社員を続けながら、やりたいことを複業でチャレンジする「複業型起業」という選択肢がもっと増えれば、自然と起業する人も増えるはずです。

「起業」したらもう後戻りできないのか?

ただ、「複業型起業」という選択肢を増やすだけでは「片手落ち」だと思っています。

複業型起業ではじめた事業が軌道に乗ったり、いろいろ運と縁とタイミングが重なっていよいよ「独立起業」しよう!となったその時。

もしこの『独立起業』が片道切符だったらどうしよう…?

という不安が頭をよぎります。僕もその不安が何度もよぎりました。

幸い、独立(=退職)を決意した日は28歳の誕生日だったので、「もし上手く行かなくても、20代だしいつでも会社員に戻れるはず!」という心理的保険があったので、不安に引っ張られることなく独立に踏み切ることができました。

ところが、独立するのも大変ですが、独立したあとの方がもっと大変です。毎日、雑務も含めてあらゆる仕事を一人で対応しなくてはならず、「生活費と運転資金を稼ぐための受託業務」と「本来起業して実現したかったこと」の双方に奔走しながら、「5年後、10年後はどうなってしまうんだろう…」という不安感と闘い続ける日々が待っているのです。

「小さな革命」をテーマにしたメディア「Unleash」の記事によれば

『Tech in Asia』の記事によると、起業家が鬱になる割合は、全体の30%という。アジア圏における鬱病の平均発症率が7.6%であることから、約4倍の高さにのぼる。なかでもアジア人は、失敗は許されないというネガティブな思考を持つことから、世界的にみても起業家が鬱病を抱える問題が深刻であるという。

こうした問題は「ビジネスに失敗したら人生おしまい」であるかのような、「過度に自分の人生をビジネスに依存する」ことに起因するのでは、と思っていますが、「独立起業の片道切符感」もその一因では?と思っています。

「独立起業の片道切符感」をなくしたい

2017年1月に独立しましたが、「専業起業家」だった期間は実はわずか5ヶ月しかありません。

昨年5月、当時一緒にフリーランス協会の理事をやっていたランサーズ広報の潮田 沙弥さんを介して、ランサーズ社長の秋好さんにお会いして、お互いの実現したいビジョンが一致しているね!一緒にやろう!ということで、あえて「業務委託」ではなく「週2~3日はたらく正社員」というカタチでジョインして急遽つくったのが「タレント社員制度」でした。

僕自身、この「起業家兼会社員」という働き方はとても気に入っていて、もっともっとこの働き方を世に広めたい!と思っていました。

独立起業家の人が、スキルと実績さえあればいつでも会社員に戻れて、「起業家」と「会社員」を行ったり来たりできる世の中になったら、きっと「独立起業の片道切符感」はなくなり、起業家の心理的不安も軽くなるでしょうし、安心して起業に挑戦できる人が増えるはずです。

「白か?黒か?」と起業家と会社員の二者択一を迫るのではなく、「起業家が、自身で手がけている事業や会社を続けながら、半分会社員として働く」というランサーズの「タレント社員制度」は本当に素晴らしいものです。

まず「生活費を稼ぐための受託業務」が必要ないので、自分の会社でやることは「本来起業して実現したかったこと」だけに集中できるので、やることがシンプルになって精神衛生上非常に良いです。

また「仲間ができる」のも非常に大きいです。自分の会社はまだまだ超零細企業で「同じ目標に向かって、協力しながらプロジェクトを遂行する仲間」を何人も採用する余力はありませんが、ランサーズではビジョン・ミッションの実現に向けて一緒に働く仲間がいます。

ランサーズの有志メンバーが企画してくれた「ファミリーBBQ」。僕も家族5人で参加させてもらいました^^

「起業家」でありながら、「会社員」として働くことによって、双方のメリットを享受できる「起業家兼会社員」という働き方をもっと広めたい。

そう思い、今年9月にピープルリレーション室を立ち上げたタイミングで「起業家採用」を正式に制度化しよう!ということで、今回リリースを出しました。

複業型起業に加えて起業家採用という取り組みが広がることで、「起業」と「会社員」との間をシームレスに行き来できる社会が訪れるはず、と信じています。

僕や、同じくタレント社員として働く株式会社uni’queの若宮さんのように、「自分の会社を経営しながら社員としてランサーズで働く」働き方にチャレンジしたい起業家の方はぜひ気軽にエントリーください!!

*個人的には、「ランサーズの社員が、ランサーズで働きながら自分の会社を起業する」というベクトルのタレント社員輩出制度も仕組み化したい!と勝手に思っていますが、それはまた後日!!!

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