しみ

主に企業のオウンドメディアなどで、インタビュー・コラム記事など執筆しています。 実績な…

しみ

主に企業のオウンドメディアなどで、インタビュー・コラム記事など執筆しています。 実績など→https://note.com/southern6344/n/n6139b3d455ca

マガジン

  • 映画に喰われたい

    映画についての感想を述べます。あらすじや概要は書きません。しれっとネタバレが含まれていることがあるので、気をつけてください。

  • 滑り人

最近の記事

オールナイト家電売り場

ひっそりと静まり返った、某家電量販店。生活家電フロアにて。 〈午後22時〉 炊飯器「ねえ、エアコン幅とりすぎじゃない? 風送るだけでそんな体積いるの?」 エアコン「いるだろ。冷風と温風、オールシーズン対応してんだから」 炊「それにしてもデカいよね? 数も多いし。売り場占領しすぎじゃない?」 エ「夏だから。それはするだろ。お前もやたら種類多すぎるんだよ。炊き分け機能とか使ってる人そんないないだろ」 炊「それはあんたの生活クオリティが低いだけだよ」 冷蔵庫「エアコンは本当にデ

    • ニヤニヤが止まらない太田vsニヤニヤを止めたい谷口

       青山通りに面したカフェのオープンテラス、そのうちもっとも通りに近い一席に座り、太田は口角をわずかに上げる。だがここは表参道、不用意に込み上げてくる、しかも理由のわからない笑みは、絶対におさえなければならない。そもそもこれはデートだ。表参道でのデート。だが、どうしても笑みが溢れてしまう。理由はわからない。まったく分からない。思い出し笑いなどではない。なにも思い出していない。痙攣も疑ったが、これは完全に笑みである。 「ねえ、さっきからなんで笑ってるの?」  谷口が尖った口調で言

      • TWICE

         駅までの道中、橋を渡ります。下には川が流れていて、欄干から見下ろすと、車が転覆していました。シルバーの車体、後部を水面から突き出すようなかたちで。周囲には人だかり、カメラを向けるスマートフォン、赤い回転灯が方々を照らし、これから救助活動が行われるようでした。運転席は水中に隠れ、人の存在は確認できませんが、救急車が数台停まっているので、いまもなお誰かが息を止めているのかもしれません。後部座席には誰もいないようです。空はよく晴れていて、中空でホバリングするヘリコプターが、逆光で

        • BFC落選展「風船」

           風船を持って、車に走っていくんだ。車はベンツかセンチュリーか、わからないけど黒く光ってて、後ろの扉が開いてる。僕は風船の紐を持って、走っていく。車に乗ろうとすると、手に風船がないの。見上げたら、赤い風船が、空を上がっていくところで。僕は風船を持ったまま、車に乗りたいのに。「泣かないで」うん。「風船が飛んでいったのに気づいたとき、どんな気持ち」わかんない。悲しい、とか、怖い、とか。「風船の紐が抜けていくとき、手にはなにも感じなかった」うん。「車の中には、誰か乗っていた?」わか

        オールナイト家電売り場

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        • 映画に喰われたい
          4本
        • 滑り人
          4本

        記事

          マン歯ッタン

          3年か4年ほど前、ニューヨークに居た。期間は3ヶ月か4ヶ月くらいで、あるいは半年ほどかもしれない。5年か6年ほど勤めた会社を辞め、なんとなくの勢いで、1番行きたかった場所に住もうと思い、アポロシアターのあるハーレム地区にアパートを借りた。ニューヨークはふざけてるのかと思うほど家賃が高く、マンハッタンで比較的安い同地区でも、月30万円ほどかかったと思う。20万円くらいかもしれない。   ニューヨークでは、語学学校に通ったり、市街地のど真ん中にあるブライアントパークという馬鹿でか

          マン歯ッタン

          頭の中の9600

           9600、という数字が、頭によく浮かぶ。靴下を履いたときやドライヤーをかけているとき、電車に座ってスマートフォンを開こうとしたとき、なんの脈絡もなく、あ、9600だ、と思う。で、9600かあ、と思って忘れる。  試しに、Googleの検索窓に9600と入力してみると、Wikipediaがいち早く反応し「自然数また整数において、9599の次で9601の前の数である」という、自分で調べたにもかかわらずだからなんなんだろう、としか思えない解説を提示してくれる。  9600、と

          頭の中の9600

          バナナのおじいさん

           今日、ジムに行った。僕はいつも比較的空いている日中を狙って通っているのだけれど、なんといっても、おじいさんおばあさんが多い。夜は若者/昼は高齢の方と、かなりはっきり分かれている印象だ。  ロッカーの前で着替えていると、ボクサーパンツ一枚でぼーっと佇み、バナナを食べているおじいさんがいた。更衣室で何かを食べたいとはまったく思わないが、この人なりに、なにか考えがあるのだろう。バナナを食べきると、皮をハンカチくらい丁寧に畳んでバッグにしまった。  トレーニングルームに入ると、

          バナナのおじいさん

          「たこ焼き 悲しい」

          ショックなことがあった。自分の選択次第でどうにでも変えられたであろう出来事が、その選択の誤りにより、悲しい方向に転がった。 悲しいという感情は一時的なものだから、時が経てば回復するだろう。でも回復すると分かっているのに、悲しい状態であるというのは、どういうことだろうか。 確実に、未来には悲しくない状態になるのだから、もうすでに悲しくなくてもいいのではないか、と思う。きっと、その未来までの悲しみの期間が感情と呼ばれるのだろうけれど、なぜそれに付き合わなければならない? と

          「たこ焼き 悲しい」

          バリ島は、口の中が気持ちいい

          歯科に通う日々がつづいている。虫歯が絶えないからであり、平行するように詰め物や被せ物が外れたり、そしてそれをなくしたりしているからだ。 これだけ定期的に通っているにも関わらず、さらに定期検診のお知らせが届く。僕は来週も来月も、たぶん2028年とか2040年とかにも、同じような頻度で歯科に通っている。 歯科に行くために食事をとり、食べかすを付けたり挟んだりするために歯が存在し、歯が存在するために自分が存在し、歯が存在するための自分が存在するために両親が行為を行なったのではな

          バリ島は、口の中が気持ちいい

          画家としての僕

          ライターとして日々文字を打ち続けていると、気まぐれに絵でも描きたくなるものです。そうして何気なく描き始めたものですが、かなりの才能があることが分かったので、いつか画集を出したいと考えています。 比較的小説をよく読むので、太宰治、芥川龍之介、夏目漱石、コロナ禍の太宰治を書いてみました。とくにポーズにはこだわっていて、手の位置や顔の向き、視線などは本物と合致しているのことが分かります。 完全に調子づいたので、テレビや映画などで知られるキャラクターなども書いてみました。以下は上

          画家としての僕

          島田、目を覚ませ。

          遠野遥『教育』の感想をつづりたい。つづる、というか、感覚としては嘔吐に近いのかもしれない。 約80ページの中で唯一、ドッグイヤー、ページの端を折っている箇所がある。屋上プールに設けられているドリンクバーで、勇人がアイスコーヒーにミルクを注ぐ一幕で、彼はなぜかポーションの蓋を開けたのち、ミルクを入れずにそれをゴミ箱に放ってしまう。彼はこの工程を「①ポーションの蓋を開ける、②コーヒーにミルクを注ぐ、③空のポーションをゴミ箱に捨てる」と三つのステップに分けて考え、「この二つ目のス

          島田、目を覚ませ。

          ポケカ初心者の憂い

          ポケカを始めた、と言ったとき、古くからやっている友人は、いろんなカードをくれた。クロバットV4枚、ワタシラガVにミュウツー、ミュウ、ユキハミ、モスノウ、ボスの司令…もらったときには「いいやつだなあ」くらいにしか思わなかったけれど、始めて3ヶ月ほど経ったいま、それらカードの汎用性の高さを知り「神なのかな?」などと思っている。 横浜でライターの仕事をやっている傍ら、いつか大きな大会に出たいと思い、密かに練習を重ねている。先月には、初めてジムバトルに出た。スターターセットのカメッ

          ポケカ初心者の憂い

          おい才能〜

          読書が嫌いな少年だった。初めて読んだ小説は、たしか中学校の夏季休暇時に出された課題で、夏目漱石『こころ』だったと思う。考えてみれば、それまで一冊も小説を読んだことのないに人間が、そんな純文学の王道みたいな作品を読めるはずない、と今になって思う。もしかしたら、それで読書が嫌いになってしまったのかもしれない。勘弁してくれよ、伊藤先生。 どちらかというと、人と話したり、クラスの輪に入っていくのが好きなタイプで、野球部に所属し、合唱コンクールなどでは女子から「男子ちゃんと歌って〜」

          おい才能〜

          お仕事実績

          大学卒業後、6年間市の職員として勤務。その際の人脈などをたどり、現在は、企業オウンドメディアのインタビュー・コラム記事、PR・エンタメ系の速報記事などを書いてます。ゆくゆくは雑誌などの書籍にも関わっていきたいと思っております。よろしくお願いします! インタビュー記事企業が運営するオウンドメディアが多く、採用やPR、企業イメージアップのためのインタビュー記事を書いています。(以下は一部抜粋したものです) コラム記事インタビュー記事と同様、主に企業のオウンドメディアで、採用や

          お仕事実績

          40人の田村

          昨年度までは真ん中辺りの席だった田村も、このクラスに替わって以来、一番前の席となった。田村明人という名前だったのだから、それは当然のことだった。クラスメイト全員の姓が「田村」であったことに、はじめこそ田村は驚きを隠せずにいたが、徐々に受け入れていくこととなった。 前のクラスで呼ばれていた「たむたむ」というあだ名は、知らないうちに別の田村につけらていたことにはいささか傷ついたし、次に呼ばれることの多かった「むらた」というあだ名も、また別の田村につけられていた。このことに傷つい

          40人の田村

          りんごジャムをクッキーがサンドしたもの。

          りんごジャムサンドクッキーが好きすぎるので、りんごジャムサンドクッキーが好きすぎる話をします。 色んなメーカーから出ているこのお菓子だけど、僕が人生で一番最初に食べたのは、恐らく小学校高学年の頃。母が生協で注文してくれたものでした。 届いたそれを見て、当時の僕はまず驚きました。商品名の通りすぎるではないかと。まさしく、りんごジャムがクッキーにサンドされている状態であり、それ以上でも以下でもない、他の要素が入る隙を一切与えないシンプルな構成でした。 たとえば同じように、ク

          りんごジャムをクッキーがサンドしたもの。