一般サラリーマンも無縁ではない!デジタルノマドビザの可能性

COVID-19パンデミックがもたらしたリモートワークの普及により、働く場所に対する考え方が大きく変わったことを体感している方は多いのではないでしょうか。
このような変化の中で、インターネットを活用して、どこからでも仕事をすることを可能とするデジタルノマドビザが国際的に大きな注目を集めています。
本記事では日本政府も現在検討中のデジタルノマドビザに焦点をあて、我々一般庶民にどのような影響・利用の可能性があるのかについて掘り下げていきたいと思います。

「自由人枠」だけではない!デジタルノマドビザ活用の可能性
「デジタルノマド」とう言葉からどんなイメージが浮かびますが?多くの人が思い描くのは、自由に働くフリーランサーや、裕福なセミリタイアしたビジネスパーソンが、例えばドバイのホテルのバルコニーでリラックスしながらパソコンを開いている姿かもしれません。彼らは余裕の表情で「世界中どこでも僕のオフィスだ」と語る。そんな記事を目にすると、少なくとも筆者は「そうですか、良かったですね。」と静かにPCを閉じたくなります。
以前は筆者も自分のようなゴリゴリサラリーマンの場合、縁遠い話だと思っていました。しかし、デジタルノマドは実は一般サラリーマンにこそ、これから大きな影響を与えていく存在だと考えます。

「自由人枠」だけではない!デジタルノマドビザ活用の可能性
デジタルノマドビザの真に画期的な点とはその国にスポンサー企業がなくても外国人が就労をすること可能にするという点です。
そんなことは知っているとお思いになるかもしれません。
しかし、この点は非常に重要です。例えばあなたに共働きの配偶者がいたとします。配偶者が海外転勤となり、あなたが配偶者に帯同する場合、多くの場合あなは日本の仕事を休職、または、退職する必要があります。
というのも、海外で外国人として仕事をするためには、その国の企業があなたのビザのスポンサーとなる必要があるためです。
幸運にも、あなたの勤務する会社の拠点が配偶者の赴任先にもあり、その赴任先があなたのためにポジションを用意し、なおかつビザのスポンサーとなってくれるというような幸運がない限り、キャリアを一時中断する必要があります。
しかし、デジタルノマドビザが活用できる場合、あなたは現地企業のスポンサーなくして、配偶者の赴任に帯同しあなた自身のキャリアを継続することができるのです。企業としてもあなたという優秀な人材を失うことを避けることができます。優秀な人材を引き付けたい企業にとっても、国際的なリモートワークの許容は今後重要な課題になっていくでしょう。

動き始めた世界各国のデジタルノマドビザ事情
現在世界の50か国以上が、デジタルノマドビザの制度を導入しています。
デジタルノマドビザの発給者は一定以上の所得水準の者が見込まれることから、経済の活性化が期待され、今後も導入する国は増えていくことが見込まれます。
ビザ取得のために求める要件及び、滞在可能期間は各国によって異なります。たとえば、多くの国では最低収入額を定めています。UAEでは応募者に最低月給3,500米ドルを要求しています。
付与される期間は1年程度が一般的ですが、国よっては3年まで滞在可能な場合があります。
注意点としては、国によっては申請料金が非常に高額であること(バルバドス等いくつかの国では、政府手続き手数料として2,000米ドル以上を請求しています)や、ノルウェーのインディペンデント・コントラクター・ビザなど、申請者が自営業者に限定されている(つまり、一般的な従業員は申請不可)ものもあります。さらに、滞在期間中の所得税の課税についても確認が必要でしょう。

日本の動き
現時点において、日本にはデジタルノマドビザ制度は存在しませんが、日本政府は現在国際的な人材の流入を促進し、地域経済の活性化を図るために、制度の導入を検討しています。
今年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針 2023」では、以下のように記載されています:
「国際的なリモートワーカー(いわゆる「デジタルノマド」)の呼び込みに向け、ビザ・在留資格など制度面も含めた課題 についての把握・検討を行い、本年度中の制度化を行う」
本年度中って、もう間もなくです。
日本独自の文化や生活環境は、多くの外国人にとって魅力的であること、特にアジア富裕層にとって日本のビザは非常に人気がありながら現時点において取得のハードルが非常に高いことから、デジタルノマドビザへの期待は非常に高いです。
どのような制度設計がなされるのか・・今後の動向に注目していきたいところです。


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