ソビエトカルチャーマガジン

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マガジン

  • ソビエトミュージアム探訪

    • 11本

    全世界に点在するソ連関連の博物館の訪問記。

  • なにソ連?おいしいの?

    • 39本

    主にソ連、時々ロシアの生活とかデザインとか博物館とか、そんな話題をお届けしたりしなかったり。

  • 映画『ドヴラートフ レニングラードの作家たち』クロスレビュー

    • 14本

    ロシア語翻訳者、ライターなど複数の寄稿者による 映画『ドヴラートフ レニングラードの作家たち』 のレビューをお届けします。 6月よりユーロスペースほか全国順次公開予定。 http://dovlatov.net/(配給・太秦)

  • 私をソ連に連れてって

    • 2本

    1991年生の筆者が、ソ連とバブルの「記憶」を追体験した結果、なんとなく見えてきたものを書き残します。

  • ソ連の飴紙 コレクション

    • 22本

    ソビエト時代に作られた菓子のパッケージ。その種類の豊富さと芸術性の高さには目をみはるものがあります。一点一点、包装紙を画像で紹介しながら、細かい部分までデザインの秘密を探ります。

最近の記事

私たちはソ連にいた! ~1970年代の青春~

 映画『ドヴラートフ レニングラードの作家たち』を見て、私は「青春のモスクワ」に思いを馳せた。実は私は縁あって1973年から1983年までソ連の海外向け国際放送(ソ連国家ラジオテレビ委員会=通称モスクワ放送。日本課)で働いていた。つまりこの映画の舞台となっていた2年後の1973年から、作家ドヴラートフが1978年にソ連政府からの追求を逃れるためウイーンに亡命するまでの6年間、作家と私ははからずもレニングラード(タリンやプスコフにもいたという)とモスクワという都市は違えども同じ

    • 父、アレクセイ・ゲルマンの遠い木霊

       アレクセイ・ゲルマンJr.『ドヴラートフ レニングラードの作家たち』(2018年、以下『ドヴラートフ』)には、ドヴラートフがかつて働いていた収容所の仲間たちを訪問する、ワンシーン・ワンカットのエピソードがある。その空間は、父アレクセイの長編第2作『戦争のない20日間』(1976年)の奥行きあるプロローグにどこか似ている。かつての上官らしき年配の男との会話の途中、ドヴラートフはこちらを振り向いてやや左の方へ視線を向け、拳を固く握りしめて微笑む。それを見る者は、ドヴラートフがス

      • 予備知識なしで感じてください

        ドヴラートフ、最初に知ったのは英訳の『スーツケース』。出したかったなぁ。力不足で成文社さんから『かばん』として出て、うらやましかったなぁ。まだ重厚長大がロシア文学のレッテルだったあのころ、ドヴラートフはまったく違って見えた。映画のなかのドヴラートフは本で見た本人の写真よりずっとかっこいい。ブロツキイはこんな感じだったのかなとも思う。1970年代のソ連の作家や画家たちの数日間を切り取った映画を、いま上映して観客に理解してもらえるのだろうかと心配になったけれど、いやたぶん同時代だ

        • ソビエト文化の光と影

          1970年代のレニングラード、そこに生き、不遇の中で苦しみ、互いに励ましあって生きる作家、画家など芸術家たちの群像。革命記念日の祝日の 6 日間だが、街は作家ドヴラートフの心象風景のように灰色だ。作品の内容について、「明るく肯定的であること」が必須条件とされ、文学性よりも労働者への敬意が求められる。「停滞」「凍り付き」と言われたブレジネフ時代。しかし、若者たちが息を詰まらせているのは 2020年の日本も同じかもしれない。映画の中でのドヴラートフの最後の言葉、「唯一の誠実な

        私たちはソ連にいた! ~1970年代の青春~

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        記事

          Who is Mr.Dovlatov?

          映画『ドヴラートフ レニングラードの作家たち』2020年 劇場公開決定! ロシアの伝説的作家・ドヴラートフ。その知られざる人生、希望と共に生きた6日間を切り取る! 監督は『神々のたそがれ』アレクセイ・ゲルマンを父に持つ、アレクセイ・ゲルマン・ジュニア。ベルリン映画祭 "銀熊賞" 、ベルリーナー・モルゲンポスト紙 "読者賞" を受賞。 6月20日、渋谷・ユーロスペースほか全国順次公開! 【予告編】 【映画公式 サイト】 http://dovlatov.net/ 【

          第3回 マッチラベルを読む

          1950年代から80年代にかけて盛んに発行されたロシアのマッチラベル。 ロシアならではのデザインセンスを楽しみながら、ロシア語を読み取って 生活の様子をのぞいてみましょう。 充実の公共サービス電話、郵便、保険。とても安かった公共サービス。でもちょっと 古臭いシステムもあり、速さと言う点では大いに不満も。

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          第3回 マッチラベルを読む

          Музей Детства (子供時代博物館)①

          Introductionソ連時代から半世紀以上に渡り子供用おもちゃの殿堂として愛されてきたДетский мир(ジェーツキー・ミール)。長い改装工事を経て2015年に再オープンした館内上階には、その歴史を偲ぶ小さなミュージアム《Музей детства 子供時代博物館》が併設されている。 ※TOP画像はДとМを組みあわせたおなじみのロゴマーク。 ミュージアムへと続く階段脇には、ソ連時代の子供たちの写真が飾られていてタイムスリップ気分を味わえる。 改装前のジェーツキ

          Музей Детства (子供時代博物館)①

          『ロシアにおけるモード100年:1915-2015 〜アレクサンドル・ワシリエフのコレクションより』①

          開催期間:2015年11月6日~2016年3月13日 会場:ВДНХ(全ロシア博覧センター)64番パビリオン オーガナイザー:VDNKh JSC、Alexander Vasilyev 1905年と1917年の2つの革命、2つの世界大戦、そして国家崩壊とその後の再編に伴う出来事――数々の社会的混乱と変化にさらされたソビエトの歴史を、アレクサンドル・ワシリエフ財団のコレクションから顧みる展示。帝政期〜革命前後〜ソ連〜現代ロシアまで、100年間のファッション史を当時の品々や写

          『ロシアにおけるモード100年:1915-2015 〜アレクサンドル・ワシリエフのコレクションより』①

          第2回 マッチラベルを読む。

          1950年代から80年代にかけて盛んに発行されたロシアのマッチラベル。 ロシアならではのデザインセンスを楽しみながら、 ロシア語を読み取って生活の様子をのぞいてみましょう。 【健康食材、健康生活】ソビエト体制のもとで食品は大量生産へ。 手作りが当たり前だった食品や食材さえいつでも店頭で買えるようになり、それが「健康食材」として浸透していきました。

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          第2回 マッチラベルを読む。

          第1回 マッチラベルを読む。

          ※本マガジンの文章と画像は、企画者・ありよしきなこ氏に協力頂き、NHKまいにちロシア語の連載「マッチ箱の小さなロシア」(2016年4月~2017年3月)を再掲したものです。 ************************ 火を使いたい時にシュッとひと擦り。 マッチはどこの家庭でも活躍していた身近な道具でした。 箱に貼られたラベルはコレクションとしても人気で、「マッチラベル収集」を意味する《フィルメニヤ》と言う用語も作られたほどです。 (画像下:ソ連時代のマッチ箱とマッチ

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          第1回 マッチラベルを読む。