曽和利光@人材研究所

東京白金台の人事コンサルティング会社代表(https://news.yahoo.co.…

曽和利光@人材研究所

東京白金台の人事コンサルティング会社代表(https://news.yahoo.co.jp/byline/sowatoshimitsu)。松本隆に憧れるオカルト少年(ムー定期購読)から河合隼雄先生に憧れ心理学者志すも挫折。人事の世界に入り四半世紀超。「人と組織の可能性の最大化」

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  • 人事に関すること

    記事の中から、人事に関することをまとめました。

  • ネガティブシンキング

    現代社会ではネガティブ思考だと否定されがちな考え方のいろいろ

  • 生々しい自己紹介(人材研究所曽和利光)

    めちゃめちゃ長い、生々しい自己紹介です。

最近の記事

「オトナの階段」を登るために大切なこと

※このnoteはLINE青田さんのアドベントカレンダーのために書いたものです ●人事は現実主義者でなくてはならない 人事という仕事は因果な商売で、見たくないような人の汚い部分や組織の理不尽さなど(誇張した例がつい最近やっていた「半沢直樹」など)についても目をそむけずに見ていく必要があります。 そういう意味で、人事はリアリストであることが求められます。信じたくないようなことでも、ありのまま現実を捉えなくていけません。 そのためか、長く人事をやるとまれに世を拗ねた考え方にな

    • 「採用責任者」という言葉について

      人事関連の方にしか関心のない話題ですが、自分も使っているし、結構いろいろよく使われている「採用責任者」という言葉について思うところを述べてみたいと思います。 例えば、僕はリクルートの元採用責任者というような紹介をされますが、正確に言うと、リクルートの人事部の採用グループのゼネラルマネジャーという役職でした。要は現場の責任者みたいなものでしょうか。 最終面接をして内定出しの権限もありましたし、採用戦略や戦術については、ほぼ上司から指示を受けることはなく(もちろん承認は得ます

      • 中学生はなぜ「ふつう」というのか

        先日、単身赴任で離れて過ごしている中学1年生になる息子に、LINEで「お父さんに今週末帰って来てほしい?」と聞いたところ、「うーん。ふつう。どっちでもいいよ」と返信が来て落ち込んだ。 「ふつう」て。 まあ、そもそも、中学生ぐらいにでもなれば、親なんかよりも友人と遊んだりしたいというのは正常な発育だろう。むしろ、「なー、お父さん、早く帰ってきてー」とか言っている男子中学生なんて見たことがない。 でも、ならそう言えばいい。「今週末はいろいろやることあって相手できないけど、来

        • 「東京差別」について

          最初聞いた時には「東京砂漠」かと間違えたが、よく聞くと「東京差別」であった。 東京に住んでいる人(私もそう)を忌み嫌ってバイ菌(というかウイルスか)のように扱い、差別するという意味らしい。 もう県外移動について、国としてはちゃんといろいろケアしていれば問題ないということになったというのに。 悲しい言葉ですね。 新型コロナにかかるかかからないかなんて、神のみぞ知ることであり、人間ごときが左右できることではない。 もちろん相対的に見れば、対策をきちんとしている人とあまり

        「オトナの階段」を登るために大切なこと

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          テキストチャットは創造的だが論理的でない

          コロナ禍のストレスか、社会的に不寛容が広がっているようで苦しい。 TwitterとかLINEのオープンチャットとかを見ていると、よく傷つく。 罵詈雑言は言うまでもない。汚い言葉をみるのは不快で胸が痛くなる。 それだけでなく、どんどん良くない方向に進化して、巧妙にそう見えないようにした他者攻撃を行っている人が結構いるように思う。 自分がつながっている人の間だけなのだろうか(直接の知り合いでそういう人はほとんどいませんが)。 噛み合わない議論を延々としたり、揚げ足取りの

          テキストチャットは創造的だが論理的でない

          ノリ突っ込みで生きる

          自分はマネジメントにおいて、「企業=小学校」説をとなえている(半分ネタですが)。 班とか係とか、朝礼とか、表彰とか、掲示物とか垂れ幕とか、誕生日会とか、お別れ会とか、やり方が似ているし、あの小さくて丸いカラーシールで何かの成果をグラフで表していくなど、企業か小学校でしかあまり見ない。 おそらく、アラインメントを強くしようとしたら、ああ言うマネジメントになるんだろう。拡散、多様化を志向する時は、あんな風にはならない。 揶揄しようと言うわけではないが、自立した大人がハッと気

          ノリ突っ込みで生きる

          「不安産業」について

          「不安産業」という言葉がある。 「これこれこうしなければ、こうなるぞー」というホラーストーリーを語って、相手を不安にさせて、モノやサービスを買わせることを指す。 そのホラーストーリーが真実であれば、それは全く真っ当な商売であり、いわゆる「予防」の仕事である。 しかし、そのホラーストーリーが偽りであれば、詐欺に等しい商売である。人の恐怖心につけこんだ卑怯な仕事である。 ただ、難しいのが、ホラーストーリーは未来のことなので、当たるも八卦当たらぬも八卦、完全な予測は難しい。

          「不安産業」について

          究極の人材要件、上向きのリーダーシップ

          世の中の様々な企業が、各社独自に求める人物像や人物要件を策定している。 僕もそういう仕事をしているので多少言うに憚られるところがあるのだが、いろいろ個別にそういう人物要件を検討しても、大概は同じような結論になる。 無論、細かい違いはあるし、それが大事な局面はあるのだが、本当に優秀な人と言うのは、ある程度はどこへ行っても優秀、言いかえればどの会社の求める人物要件は似てきておかしくないのかもしれない。 その共通する要件とは何か。 世に明らかにされていることだけ見ていると、

          究極の人材要件、上向きのリーダーシップ

          弱さの強さ

          結構自分のつぶやきは自虐的であると言われる。あるいは弱音を吐くよねと言われる。いつか新橋の居酒屋で昔の上司に言われた。 確かにあまりにネガティブな発言は読む人にとっても不愉快だし、そういうことを言う自分も自分のネガティブな言葉に縛られて、そのうち自己成就してしまうかもしれない。 しかし、自分は別に「弱音」を吐いてるつもりは本当はあんまりない。 僕の中では「弱音」というのは、自信がないから「どうせだめだ」と予防線を張っておいて、実際に失敗した際に傷つくことを最小限に押さえ

          大きな仕組みを考えることの大事さ

          こんな年齢になって、我ながら情けないが、今回改めて自分が大事にしている「半径3mの世界」は、見知らぬ人々の多大な貢献のおかげでなんとか成立していることを認識した(もちろん、わかってはいたのです)。 電気、ガス、水道、鉄道、道路などのインフラ。 経済活動のつながり。 人と人との間にある気持ち。 全部、何から何までつながっていて、相互に影響を与えあっている。 普通の時は空気のようになってしまい、その存在が見えなくなってしまうが、無くなるとすぐにわかる。そういうものに優しく囲

          大きな仕組みを考えることの大事さ

          新人はつらいよ

          このコロナ禍の中、当社も新卒新人を迎え入れることができた。入った時期は本当に大変なものの、大変めでたいことである。 新人さんが入社すると、もちろん育成コストはかかるのだが、それにかえがたい多大なメリットが組織に得られる。 いろいろあるが、例えば旧人が新人にモノを教える機会が増えることで、自身の持つ暗黙知を顕在化させることができる。潜在的な不文律は意識できないので変えにくいが、顕在化されれば意識の光に照らすことで批判的に検証できるため、知識の改訂もできる。 新人は旧人から

          It's a small world!

          独立して以来、いろいろな人とのつながりの増え方が急加速していて、自分でも何がなんだかわからない感覚になってきた。 世の中にはまだまだ出会えていない、でも出会ってしまったらものすごくはまる、そういう人がまだゴロゴロいるのだろう。 楽しみでもあるが、恐ろしいことでもある。そういう人々にちょっとした偶然で出会えたり出会えなかったりするというのは。そんなので決まっていいのかとも思う。 リクルートにいたころは実は全然そんな感覚がなかった。リクルートは(まるで阪神ファンのような)凝

          「恩返し」よりも「恩送り」

          年を取るに従って、「利己的」であることの意味が変わってきたような気がする。 人間は基本的に自己の利益や快楽のためにしか動かないものであるから、全員「利己的」であると僕は思うのだが、その利する「自己」というものの質に変化が出てきた気がする。 例えば、おいしい料理を食べる時、自分がおいしいかどうかということよりも、一緒に食べる人がおいしいと思い、喜んでくれるかどうかばかり気になる。自分がまさに味わっている感覚には注意がいかないことさえある。 ディズニーランドとか旅行などに行

          「恩返し」よりも「恩送り」

          「心の声」とはなんだろうか

          面接に際して、僕はけして「第一印象がすべて」だとか「人なんて5分でわかる」だとか言うつもりは全くないのだが、人と会っていて理由は最初はわからないが自分がなんとなく直感的に感じるものをとても大事にしている。 「感じたこと」という結論自体を大事にして固執するということではない。そうではなくて、「自分がそう感じるのはなぜなんだろう」とその理由を相手に見つけようと、いろいろ観察したり、聞き出したりするということ。 原因が分かれば、「なーんだそんなことだったのか」と思うこともあるし

          「心の声」とはなんだろうか

          ロマンティックな狂気など、ない

          以前、「愛の言葉はすべて自己中心的だ」ということを書いた。 僕らは自分の快楽を追い求めてしまう存在なのだから、愛もまた自己中心的であるのは当たり前であると。 ただ、年をとってもう一つ思うのは、「だから愛なんて偽善なんだ。だめなんだ」と思っていたのが、最近では「それでも別にいいじゃないか」と思うようになったことだ。 そもそも人間というものは純粋ではなく汚いものであるということに傷つかなくなった。また、動機が利己的であろうとなかろうと、そんなことは関係がなく、結局大人はどん

          ロマンティックな狂気など、ない

          ストレスに強い人ばかり採ってよいのか

          よく採用における求める人物要件で、「ストレス耐性」というものが挙げられる。特に、メンタルヘルスの問題が大きくなってきてからは、とみに「ストレス耐性の高い人を採れ」と喧しい。 しかし、一概に「ストレス耐性」と言っても、いろいろある。筋の良いものと悪いものがある。 例えば、鈍感な人はストレス耐性が高い。自分に対する攻撃やダメ出しに気づかないのだから、ストレスをストレスと感じないから、耐性は高くなる。彼女に嫌われているにも関わらず、「いやいやいや恥ずかしがっちゃって」とか言って

          ストレスに強い人ばかり採ってよいのか