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カーブを曲がるコツ

先日、自動車教習所へ運転体験をしに行った。もう前の日は全然眠れず、教習所で事故ったらどうしようということばかり考えていた。

わたしは高校を卒業した後、大学受験浪人をして予備校に通う日々だったので、運転免許を取るタイミングを完全に逃していた。その後も公共交通機関での移動が便利なところにいたので、車を運転することの必要性を感じていなかった。なんとなく、車は自分にとってずっと縁のないものだと思っていた。何よりも、自分が事故を起こして加害者になってしまった時の恐怖を想像すると、もう怖すぎて免許を取るなんて選択肢はなかった。

それが、今年、突然やる気になった。

もし地方に移住することになったら、車がないと生活できないからとりあえず取っておくかという気持ちと、何だか新しいことに挑戦してみたくなったというふんわりした理由で、まずは体験だ!と、予約を入れてみた。

で、当日。もう吐きそうになりながら運転席でちょっと後悔していた。

最初のカーブ、ハンドルをぐるぐるしすぎて戻せなくなって焦った。でも教官がタイミングを教えてくれて、なんとなくカーブを曲がることができた。

「近くを見ないで、行きたい方向を見てハンドルを切れば曲がれるよ」

教習所の中をぐるぐる回って終わりの時間になった。本当に恥ずかしいのだけれど、「運転することをずっと怖いと思っていて…」と、30代が挙動不審になりながら教官に相談していた。教官は「私たちは上手く運転できるようになるために教えてるわけじゃなくて、危ないなと思った時にリカバリーできる運転手になるように教えてるんだよ。誰でも一度や二度はガードレール擦ったりぶつけたりするからね!ははは!」と言われたのが心にずしーーーんと残った。

受付でネイルがキレイなお姉さんに入校の案内をしてもらい、教習所を出るときにはものすごい疲労感とともに、新しいことに挑戦するのって楽しいなと感じている30代がいた。

怖いな…という気持ちも心のどこかに持ちつつ、行きたい方向を見て進んでいったら、なんだか楽しそうだ。



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