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新しい店舗のすがた~無人レジは当たり前になるのか?~

スマホ決済やキャッシュレス決済の盛り上がりにより、買い物はさらに便利になってきました。また人手不足を解消するという点で、セルフレジを導入する店舗も急激に増えています。

2018年1月に通販事業大手であるAmazonがアメリカ・シアトルに無人レジのコンビニ『Amazon GO』の1号店をオープンしました。日本でも2020年3月にオープンした高輪ゲートウェイ駅に無人コンビニ『TOUCH TO GO』が常設されることとなり、大きな反響を呼んでいます。

テクノロジーの進化により、店舗はどう変化していくのでしょうか?経営者や店舗運営担当者には知っていただきたい、無人レジの現状について、国内・海外の事例をもとに紹介します。

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日本のレジから店員がいなくなっている 

「TOUCH TO GO」(JR高輪ゲートウェイ駅)

今年3月より開業したJR山手線の高輪ゲートウェイ駅にオープンした「TOUCH TO GO」。
かごやバッグに詰めた商品を、店内に設置されたセンサーカメラが検知。これにより決済エリアに立つだけで、商品の点数と値段が表示される仕組みとなっています。支払い方法は現在、交通系ICのみ対応していますが、今後はクレジットカードやその他の電子マネーにも対応する予定です。

2017年に大宮駅、2018年赤羽駅での実証実験を経て、2020年高輪ゲートウェイ駅で初の常設店舗としてオープンした「TOUCH TO GO」。
高輪ゲートウェイ駅が49年ぶりとなる山手線の新駅ということもあり、オープン初日は120万を超える売上となりました。オープン当初は「TOUCH TO GO」の限定ノベルティグッズが売上のほとんどを占めていましたが、徐々にパンや飲料、夜間にはアルコールの売上が伸び、身近なコンビニとして認知されています。


「TOUCH-AND-GO COFFEE」
(日本橋)

サントリー「BOSS」が提供する「TOUCH-AND-GO COFFEE」では、LINEから事前に注文と決済することで、店舗のロッカーで商品を受け取れるサービスとなっています。味や甘さ、フレーバーなどのカスタムも可能です。ラベルの名前や色もカスタマイズできるので、自分だけの1本を作ることができます。

味はもちろん、ラベルもカスタマイズできることから、アイドルやアニメキャラの名前を入れたラベルが作れるとSNS上で12万を超えるいいねを獲得。店舗のロッカーもおしゃれ、ということでボトルを取り出す瞬間の動画も多く投稿されました。
人気ぶりから朝6時には受付を終了する日も。


「Pepper PARLOR」(渋谷)

店名にある通り、人型ロボットであるPepperが常駐するカフェになります。
Pepperが注文を受けたり、テーブルにて接客を担当します。他にもダンスパフォーマンスを行うロボットNAOもいます。また店内の清掃はAI清掃ロボットのWhizが担当しています。


「ロボットマート」(日本橋)

ロボットが接客を行い、QRコードでの支払いに対応した無人コンビニ。監視カメラによる遠隔からの監視とコールセンターの設置により、セキュリティーとサポート体制を高めています。2020年4月には博多マルイにも出店し、クレジットや電子マネー、QRコードとより幅広い決済方法が利用できます。


「変なホテル」

ロボットが働くホテルとしてギネスに認定された「変なホテル」。受付には恐竜型のロボットや、人型のロボット、ホログラムなど。店舗によって異なりますが、普通のホテルとは違った出迎えを受けることが出来ます。

アメリカと中国、無人レジの明暗

「Amazon Go」

Amazonが運営する無人レジ「Amazon Go」
事前にスマートフォンに専用のアプリをダウンロードし、クレジットカードの登録が必要となります。入店の際にはゲートでQRコードをスキャン。その後手に取った商品は全てスマホ上に表示されていき、ゲートを通るだけで会計が完了します。
現在はアメリカ国内で25店舗と着実に店舗を増やしています。


「Bingo Box」

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中国では2017年に上海にて「Bingo Box」が登場し、それ以降「Well GO」や「無人超市」などさまざまな無人コンビニが誕生しました。
「Bingo Box」は入り口が常に施錠されているため、まずはアプリでQRコードを読み取って解錠し、入店します。店内の全ての商品には管理用のタグがついていて、会計時にはこのタグをスキャンして点数と金額が確定。決済はQRコードを読み取ることで完了し、退店できるようになります。
しかし入店・退店時の手間から客足が伸びず、管理タグのコストも嵩むことから「Bingo Box」などの無人コンビニは1年余りで閉店を余儀なくされました。

一方で、「Amazon GO」と同じように歩くだけで決済が完了するJust Walk Out形式の「LePick」が2018年上海に誕生し、店舗を増やしています。


ニューノーマル時代の店舗

システムが変わると、売上が減るのではないか?という懸念があるかもしれません。

「Amazon GO」によると、「Amazon Go」での1店舗あたりの年間売上は約1.5億。これに対し、アメリカのコンビニの年間売り上げは約1億と言われています。1.5倍ほど売上を伸ばしています。
また、無人レジは人材不足の解消や業務の効率化など、店舗側にとってのメリットが大きいものでした。しかしコロナ禍を経た今は人との接触を最小限に抑えるということで、利用者側のメリットにもなります。利用時間を短縮できるという点も大きいです。

冒頭で紹介しました「TOUCH TO GO」を展開している株式会社TOUCH TO GOでは、サブスクリプション型でシステムの外販に乗り出す考えを示しています。すでにいくつかの店舗にて導入予定がある、とも明言されています。

海外ではすでになじみつつある無人レジ店舗。
日本で当たり前となる日もそう遠くはないのかもしれません。
店舗の在り方や、今後の運営方法の参考にしていただければと思います。


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