short story series『と、私も前々から考えていた』くつ下 case04

作・渡邉大

僕は、くつ下にとても気を使っている。
聞くところによると、人目につかないようなトコに気を使う人はオシャレらしい!
だからくつ下!普通の人は見ないし!でも、きっとオシャレな人はくつ下を見るはず!
その為に、先週の土曜日に新しいくつ下をお小遣いで買ったし。
まあ、それもこれもすべて今日のためなんだけど!
ふふ、やっぱり中1にもなればオシャレにも気を使わないと!
今日はみんなと遊びに行く事になっている。しかも公園とかじゃなくて街に買い物をしにいくのだ!
クラスのまあまあ仲の良い友達とだが、その中に超オシャレって言われてる尾崎さんも来ることになっている!
尾崎さんに気に入ってもらうためにも、やはりあのくつ下を履いて来るしかあるまい!
尾崎さんに気に入ってもらったら、クラスでもオシャレって言われちゃうかもなぁ!「くつ下の小林」とか言われるかも!…「くつ下の小林」はびみょうだな。
…しかし、ちょっと早く来すぎたかな?
あ、みんなが来た!
「おはよう藤田!」
「おはよう!お前集合早いな。」
「いやぁ、遅れちゃいけないって思ってね。」
「小林君おはよう!」
「あ、尾崎さん!おはよう!」
おお!みんなが言う通り尾崎さん超オシャレ!
「あ、尾崎さん、えっと、すごいオシャレですね!」
「そう?ありがと!」
さあ、尾崎さん!君の番だ!くつ下だ!くつ下に感想を言ってくれ!

「?」

「どうかしたの?小林君?」
…あれ?
「あ、いや、別に何でもないんだけど!」
「そうなの?良かった!」
「あ、いや、えっと…」
行ってしまった…。
え?
何で?あれ?くつ下は?感想は⁉
超オシャレな尾崎さんが、くつ下をスルーしたぞ?オシャレな人は見るはずなのに!
あ!もしかして尾崎さん、人のオシャレとかあんまり見ない人なのかも!
「藤田くんそのパーカーお洒落だね!」
…なんで⁉

2018年11月22日

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?