カセットテープをリリースするということ #1
リスニング文化の研究マガジン、第一回目のゲストは、ZOMBIE FOREVERというカセットテープをリリースするレーベルを運営されている森幸司さんをお迎えし、現在の日本のカセット事情についてインタビューさせていただきました。 スペシャカレッジ通信 串田
串田
すんません、いきなりメールして。ご挨拶いいですか?
森
自分名刺ないんですけど。
串田
もうレーベルやられて長いですよね?
森
2007年からやってますね。はい。
串田
写真、ぱしゃぱしゃ撮っちゃっていいですか?気になる感じですか?
森
いや、気にしないです。
串田
あっそれカセットテープですね。
やっぱものとしていいですね。
僕、ZOMBIE FOREVERさん知ったの、
Hi,how are you?さんのリリースなんですよね。
そういう人多くないですか?
森
いや、どうですかねー(笑)
僕もともと山形なんですけど、
Hi,how are you?は、僕が山形でイベントやってる時に、
高校生としてきてて、
その後に京都にいって、バンドやってたみたいで、
リリースにつながったんですよね。
串田
ちなみにこの中で一番古いのはどれですか?
森
Hi,how are you?ですね。
串田
これ、ジャケとかは手描きですか?
森
いや、手描き風ですね(笑)
串田
では、この一本目のカセットテープをリリースすることになった経緯 を教えてもらっていいでしょうか?
森
めっちゃ長いからなー。
串田
まーいいじゃないですか。(笑)
そういうインタビューなんだし。
森
2007年からレーベルを始めて、
山形の知り合いのアーティストのCDを全国に広めたいなーっていうのがまずあって、
やっぱり全国流通させたいねってなったんです。
で、友達のつてを借りて、スペシャの流通の方と知り合って、
CD出してみたんです。
その節は、関さんに大変お世話になりました。
串田
はいはい。まずはCDを全国流通させてみたんですね。
森
でもCD自体、僕らドインディーなんで、
出していくのが大変になっちゃって。
CDとツアーでレーベルを回して行くのがつらくなっちゃって。
串田
なるほどー。
森
在庫も部屋の中すごいし(笑)
「どうすんのこれ?」みたいな。
その当時、僕が結婚したこともあって、
やばいなーってことにだんだんなっていって。
串田
新婚生活で部屋が在庫の山(笑)
森
そうなってちょっとこれは辛いねってことになっていったんです。
串田
そっからカセットテープリリースにどうつながっていくんですか?
そもそも森さんカセットテープ世代じゃなくないっすか?
森
家の問題だと思うんですけど、
僕はだいたいカセットでしたねー。
もともと親がごっついカセットデッキ持ってたんですよ。
それを僕がずっと愛用してて。
カセットは、レコードとかを落として聴いてました。
で、カセットテープ聴いてると、
だんだんこれでいんじゃないかなーっと思ってきたと同時に、
カセット出したらどうなるかなーと思ってきたんです。
もともと自分的には、CDに不信感が強くて。
アーティストを広めるためだけだったらいいんですけど。
一回、パッケージにこだわってやってみようということで、カセットテープになりました。
串田
そこでなんでレコードにいかなかったんですか?そこが面白くて。
森
アナログは、高いんです!原価が。
串田
あー高いんですね。
森
カセットだったら100本5000円とかで買えるんで、
1000円とかで売っても成り立つんですよね。
串田
なるほど。まず、カセットテープは安い。
森
10分テープとかだったらもっと安いですね。
まだ東京電化ってところが、ブランクテープを作ってて。
これだったら、自分らでラベル貼って、小ロットでリリースできるん
じゃないかって考えにいたりましたね。
あと、在庫がね。
レーベルは山形にもう一人運営がいて、
そいつが工場役、ってか作ってるんですけど、
注文あったら作る的な。受注生産スタイル。
録音もデッキがあってできるし、ラベルもプリンターで作れるし。
串田
もう全部手作りでできちゃうんですね。
カセットテープにしよっかなって思ったきっかけってもう少し話して
もらっていいですか?
森
今のところ、カセットテープデータに一番されずらいメディアってことですね。
でも、やっぱり売る時は、CD付けたり、ダウンロードコードをつけたりしてるんですけど。
付けないと、やっぱり数は売れないんです。
みんな家で聴けないから(笑)
でもカセットテープ聴くために、デッキかってくれた人もいっぱいいます。
串田
僕もやっぱカセットテープ興味あるけど、
まずデッキ買わなきゃなー的な。
森
そうですねー。
まっ、「聴けないんすけど」とかは結構言われますね。
串田
じゃあなんで売れるんですかね?
森
聴けないけど、買うわー的な。
でも、安いカセットテープウォークマン買い集めてるんすよね。
それ一緒に売ったりして。
串田
やばい。(笑)
ヤフオクとかですか?
森
ヤフオクとかは高くて。
質のいいジャンクを買ってます。
壊れてる箇所は、友達に直してもらったりしてます。
100円とか200円とかのやつで、直ったらいいかなー的な感じで
買い漁ってます(笑)
串田
カセットテープ文化を作るのもなかなか大変ですねー。
ZOMBIE FOREVERからの補足情報
山形出身で高校時代ゾンフォー企画によく遊びにきてくれていたのはHi,how are you?の原田くん(♂)。彼は京都に行ってからodd eyesのベースとしても活動していました。
「レーベルは山形にもう一人運営がいて、そいつが工場役」の"そいつ"が鈴木です。ZOMBIE FOREVERの工場長です。今は山形で鈴木が全部つくってます。
部屋の中を埋め尽くしていたCDの在庫はもう大分なくなってます。カセットテープ同様、一枚一枚大事に売ってます。どこかに売ったりしたことは一度もありません。
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