松永天馬003

【第1回】松永天馬が歌詞に対して思うこと#1

アーバンギャルド松永天馬の歌詞深読みゼミ第一回は、松永天馬さん自身に歌詞についての思いを語っていただきました。
スペシャカレッジ通信 串田

串田

歌詞ゼミってことですが、
「歌詞を書くこと」について松永さんが思うところありますか?

松永

やっぱり、
ものすごく歌詞っていうものは、
本人が思っている以上に
作詞家の気持ちとか思惑みたいなものが
本当に出ちゃうものなんですよね。
だから失恋とかをしちゃうと、
歌詞にそういうものを書いてなくても、
歌詞に雰囲気が匂ってきちゃったりとか。
だから、歌詞を読み込んでいくと、
本当に書き手が何を感じているのかとか、
何が不安なのかとか、
何を喜びに感じているのか、
とかってのが見えてきちゃうんだなーってのは思いますね。

串田

ほー。
いきなりきましたね。

松永

それは、職業作詞家、
言うなれば秋元先生のような当て書きをする側の人でもそうで、
つまり秋元先生がまゆゆに対して何を思っているのか、
まゆゆにどうあって欲しいのか、
っていうのが見えちゃうんですよね。
だから歌詞ってのは、
やっぱ赤裸々なんだなってのは
改めて思います。

串田

歌詞に意味をつけない人もいますよね?

松永

日本で英語で歌う人はその傾向強いですよね。
英語で歌うことによって、
なるべく音だけにしたいというか。
ONE OK ROCKさんとかもそうだと思うし、
英語というか宇宙語ですけど、
POLYSICSさんとかもそうだと思います。

串田

作詞家さんとかになると変わってくる?

松永

全部が全部メッセージ性が強い訳じゃなくって、
とりあえずこんな感じでやっとけばOKっしょ!
ってものあると思います。
でも職業作詞家さんってのは、
一定レベル以上のものを必ず出してるような気がします。
80点以上のものを必ず出すっていうか。
現代詩って日常見えているものに気づきを与えて、
がらりと風景を変えてしまうものだと思うんですが、
職業作詞家の方は、
一曲に一カ所以上入れてると思います。

串田

松永さんは曲を聞くときに歌詞は気になる方ですか?

松永

やっぱねー、
ドラマーと話をしてると、
曲の例えを「ダダダダ、バン!」とか言うんですよ。
ギターリストはコードで話すんだけど、
僕は正直言ってどちらもわからないんですよ。
それと同じようにボーカリストなんで、
一番歌の印象的な部分は歌詞、
歌メロなんですよ。
歌詞の押韻とメロディーの噛み合わせがいいかどうか
っていうのが自分が気になる部分ですね。

串田

なるほど。

松永

でやっぱりね、
歌詞とメロディーってものが、
ものすごく両方とも力が入っているんだけど
かみ合ってないものってあるんですよ。
それは、
これもう好きずきになっちゃうんですけど、
例えば「着うた系」ってちょっと言葉は古いですけど、
いわゆる浜崎あゆみさんからの流れである、
歌姫系のディーバ系の人たちっていうのは、
歌詞が哲学的というか、
めっちゃ哲学書いちゃってるんですよね。

串田

そうでしたっけ?

松永

ギャルの人とか、
ヤンキーの人とかっていうのは、
哲学とか、
相田みつお的ないいことをバシっときめるのが好きなんですけど、
抽象的なものに抽象的なものを重ねちゃってて、
なんかこうもやーーっとした哲学的なものを、
本人的には難しい言葉を、
って失礼ですけど、
ポップなメロディーにのせても、
なんでこんな哲学的なものをポップに言っちゃってるんだろう、
噛み合わせの悪さみたいなのを感じることはあります。

串田

やっぱり、
どういうクラスタに属する歌かっていうので
だいぶ歌詞は変わってきますか?

松永

変わる!
やっぱりその人が、
聴き手と書き手がどこに属していて、
どっから発信してますよっていうのは、
やっぱりものすごく恣意的になってるなって気がしますよね。
今は、昔と変わって来ているのは、
オタクだから非リアっていうわけでもなくなってきてるし、
ヤンキーだからリア充ってわけではなくなってきてるんですよね。
それは例えば、
SEKAI NO OWARIさんの中に病的な要素があったりだとか、
EXILEも意外に繊細だったりとか!

串田

(笑)
面白いですね。
深読みのしがいがありますね。

松永

深読みのしがい、
ありますね。
1行2行読んでも、
こういうこと言いたいんだなとか、
こういうこと歌わせたいんだなってのが
すごくみえてきちゃいますよね!

串田

松永さん
た、頼もしいっす!

#2に続きます。近日公開予定。

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