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映画評200本記念にベスト/ワースト評を3本選んでみた!の話


前置き

 200本だってよ、バカじゃないの? だいたい年に52本の映画を見てるから4年近く文字起こししてるわけですよ。なんだろう偏執狂的で怖いわね、ここまでくると。
 実際には文字起こしを始める前も含めれば10年以上配信で映画の話をしてるので、本当は倍以上あるんですけど……ただ文字起こしして残すようになってから確実に喋る内容は変わったというか。
「後に残るんだからちゃんとしたこと言わないと」という勝手な気負いによって、一人相撲が激しくなってるだけなんですが。まぁそれでも得るものはあると思うんですよね。

 ということで過去に書いた、じゃないや”文字起こし”した(あの外人がよくやる、顔の横で両手の人差し指と中指をクイクイってやるやつ)中からベストとワーストを3本づつ選んでみたいと思います。

 ただここで言う「ベスト」ってのは、単純に面白かったとか人気があったというものではなく(だってそれなら❤の数見ればいいだけでしょ?)、ましてや映画自体の良し悪しとはまったく無関係。
自分のなかで「これは可能性を広げた(広げようとした)やつだな」と思えるかどうか? が選考基準になってます。
結局ですね、未来のないものなんて何の価値も無いわけですよ。私にとっては。
 一方で「ワースト」もつまんないってことじゃなくて「もっとできたのでは?」という不満が残るものが中心となっています。つまりは私の志がいかに高いかというですね……ていうか、これ選ぶために200本読み返したけど、全部面白かったから、全部な!そうだろ!

 ということでまずはベストからいきます。よろしくお願いします。

ベスト3位:『JOKER』

立川談志とジョーカー/ロマンスの神様 この人でしょうか?

 いきなりレギュレーション違反やんけ!!
 えっとね、これはnote移行前のブログでやってた分ですね。じゃあ映画評文字起こし200本ってのも嘘じゃん。
そういった「嘘」という文脈とは関係なく『JOKER』なんですけど……当時の私にあった社会的な状況とか、身体の問題を作品と重ね合わせる導入、道化師と隣接した芸人という役割からの引用、そして捻りの効いた作品解釈。
いやもうこれバチバチに極まり過ぎでしょ! ここまでビシッと噛み合った映画評をできる奴とかカッコいい……超カッコよくない? 4年前の私、すげぇなぁ。

ベスト2位:『映画 デリシャスパーティ♡プリキュア 夢みる♡お子さまランチ!』

この一皿に願いを。

  最近「映画に出てきたモンを食う」っていう異様に気の抜けたnoteを並行してやるようになったんですけど、その趣味自体は昔から(それこそ10年前から)やっているんですね。
 大半は在りもので適当にやってるんですが、ときどきどうやってもお店では手に入らないものがあって、そういうときは自作するしかない
これとか

も完全にそういうヤツなんですが。
 色んな作品の批評をやってると「実際やってみないと分からない」とか「口にして初めて意味がわかる」ものがある、って気づくことが稀にある。
この『デパプリ』評なんかはその代表というか、作って食べてみることで作品の理解度がグッと増したんですよね。そういう方法によって、ちゃんと独自性のある面白い映画評になってる
 これができるのは、間違いなく私だけだろ! という自信があります。
 こちらは「週末批評」版もあるので、合わせてどうぞ。


ベスト1位:『ハケンアニメ!』

いや、その眼鏡はねぇよ!

 これはねぇ、ホントことあるごとに読み返しているんですけど。
なんかいきなり眼鏡の話をはじめてるじゃない? ここの

オシャレにあんまり興味ない人が眼鏡を買わなきゃなーと思って行く場所って、まぁ大抵はイオンですよ、イオン。ジャスコ!って感じで。で、そこに入ってるJINSかzoffに行く。これが事実です。

ってパンチラインは自分でもめちゃくちゃ気に入ってるんですけどw
まぁなんかズラズラっと眼鏡のことだけ語っていたはずが、いつの間にかシームレスに映画の話に移り変わっている。
 (元)眼鏡屋である。っていう知見から作品を読み解いていく手つきが、ちょっと鮮やかすぎで……書いたときも、読み返してるときも「このスタイルを完全にモノにしたい!」って強く思います。

 ベストにあげた3つに共通していることなんですが、どれも実生活の話から作品批評になっていくんですよね。
批評ってどうしても観念的な話になると思うんです、それは作品や現象を分解して、読み取って、再構築して、そこにある意味や意図を探るっていう行為であるわけだから……ある程度の抽象化が行われて当然なんですけど。
そこで批評を読み慣れてる人なら、いきなり哲学のタームを持ち出したり、現代思想の引用が出てきても「まぁそういうもんよね」って普通に読める。そしてそういう批評のが主流? 本道? だと思うのね。

 でも私のやりたいことって、それじゃないんですよ。批評という営みはもっとカジュアルで、当たり前に日常の中に紛れていると考えていて。
だから、できるだけ沢山の人に「批評」をやって欲しいと思っているし、誰だって「批評」はできると思っているんです、私は。
 そういうことの実践として、生活から繋がる、生活のすぐ隣にあるものからはじまる「批評」をやっていきたい
 そうね、例えばラブコメ映画を見て「あー、自分の彼氏にもそういう、わからんちんなとこあるなぁ」って思って、だけど「この映画みたいに、何か考えがあるのかも」と感じ、「そうかーこの作品って、そういう信頼の話なんだ」って考えたりする。
これを実際にあった彼氏のポンコツエピソード絡めて書いたら、絶対めちゃくちゃ面白いと思うし、ちゃんと鋭い映画評になるんですよ!

 だから『JOKER』評みたいに自分の状況とか、『デパプリ』評で実際に作って食べたとか、『ハケンアニメ』評の眼鏡の話とか、そういう生活とか日常を入り口にしながら、ちゃんと作品の批評に着地できたときに「おっしゃあ!! やったぜ!!」って感じるんです。
 私にとって良い映画評とは、そういうものなんですよね。

 ということで以上がベスト3でした。続きましてワースト、いきます。


ワースト3位:『シン・仮面ライダー』

真の正義は、孤独でしかなく。

 オイオイオイオイオイ、これのどこが不満なんだ? 自虐風自慢か? って思うじゃん。私も他人がこういうことやったら、ちょっとそう思うw
 ”仮面ライダー”、好きです。大好きです。『仮面ライダー』じゃなくて”仮面ライダー”、つまりシリーズ全体を指して大好きなんです。
だからこの映画評が今のところ❤数トップであることは心の底から嬉しいし、「ワシに仮面ライダーのこと書かせたら、すげぇんだぞ!」って誇らしい気分も正直ある。

だけどこれの「週末批評」版と読み比べて欲しいんだけど

 かなり内容が変わってると思うの。別にこれは「どっちが正しい」とか「どっちかは本当じゃない」ってことじゃなくてね。
 noteの方はどちらかって言うと「”仮面ライダー”が好き、もしくは”仮面ライダー”のエッセンスを把握している人」に向けた内容で、週末批評版は「”仮面ライダー”をあまり知らない人」に向けた内容になってるんです。

 ベストの方でも書いたように、私は出来るだけ間口の広い批評をやりたい。だからここで「”仮面ライダー”が好きな人」に向けた批評をやってることは、失敗とまでは言わない(だって、この批評自体はすっげー面白いんだもの)。
だけど週末批評版と比べたときに「もっと上手くやれたんじゃないか?」って気持ちが湧いてくるのも事実なんです。いや、これは週末批評のてらまっとさんから超超すばらしい校正を入れてもらった結果だから、たぶん私ひとりでは無理なんだけど……でも、それでもさぁ! って考えちゃうわけですよ。
 そういう「後悔がある」という意味でワーストに入れました。


ワースト2位:『戦慄怪奇ワールド コワすぎ』

『一週遅れの、一週遅れの映画評:『戦慄怪奇ワールド コワすぎ』の回』脚本

 私はホラー映画の評だと、ときどき「映画で描かれた恐怖を伝えるため、同じギミックを批評上で再現する」というのをやってるんですよ。
わかりやすいところだと『オクス駅お化け』のやつとか。

 で、そのために『戦慄怪奇ワールド コワすぎ!』評は、完全に映像作品として作ってあるというw テキスト化という基本ルールから完全に逸脱してるんですよね。
実は同じ白石監督の『オカルトの森へようこそ』評も、音声作品として作っていて、どうもね白石監督作品には「そういう批評をやりたくなる」パワーがあるんです。

 どっちもタイトルが「脚本」だもんね。
ただ、それは良いんですよ。こういう方法でも批評はできるぞ! っていう新規性を示すのと同時に「この作品の”怖さ”を伝えるためには?」って問題に正面から向き合った結果、こういう出力になったことはむしろ「よく思いついた、私! えらい!」なんですけど。
 やっぱ映像作品を作り慣れていないから、伝えたいことが上手く表現できていない。この映画評だと、画面に映る時計が重要で「実時間と時計の時間がズレることで、時間軸が混乱ている」ことをあらわしているんですけど……いやぁ総計20分ぐらい、実質数分の変化なんて気づかないってw せめてデジタル時計でやるべきだったでしょ。
 あとこういう繊細な表現を、ぐにゃぐにゃ滑舌でやるもんじゃあないわね。
 もうこれは私のやりたいことを表現できる技術が伴っていなかった、そういう反省でのワースト2位です。


ワースト1位:『午前0時、キスしに来てよ』

この雨は、ただの雨

 もしかすると、この映画がいままで見たなかで一番、私に影響を与えてるかもしれない。
映画評を読んでもらうとわかるんだけど、私はこの作品から「ドラマツルギーによる必然性の否定」というか、例えば「主人公が悲しい気持ちの時に雨が降る」みたいな演出への疑問を……もちろんそういう疑問は元から持っていたけど、それを「実作としてやってきた(それも実験作とかじゃなく、どちらかといえば軽めのラブコメ映画で!)」ってことにめちゃくちゃ衝撃を受けたんですよ。
 もちろん、それを狙って作ってない可能性は高い(めちゃくちゃ高いと思う、申し訳ないけど)。でも製作者の意図を離れて、作品が別の意味を持つなんてことは往々にしてあるわけで(これすっげぇ「軸足が批評にある人」っぽいよねw)、そこで私が受けた衝撃は本物なんです。
 いや、マジでこの作品を見て以降、小説書くときに影響出まくってるもんね。

 だけど見て、このnoteの❤数。この記事書いてるとき「❤3」とかなの
いや別に「❤が多いから良い記事」とかってことでは全然無いんだけど、にしてもよ。にしても私が受けた衝撃に対して反響少なっ!!
 これはもう私の伝える力が圧倒的に足りてない。そういうことなんです! 私の心情と結果の乖離が突き付ける「書けてなさ」によって、これが「もっとできただろうがよ!!!」のワースト1位です。悔しい。


 ということで全映画評から選んだベスト3/ワースト3でした。
もっとサックリ終わらせるつもりだったのに、なんか長くなってしまいましたが、楽しんでいただければ幸いです。

 今後も変わらず映画評を書いて、いや”文字起こし”していきますので、『一週遅れの映画評』を引き続きよろしくお願いいたします

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