Mさんに誘われて

 僕が編集スパルタ塾の存在を知ったのは、たしか開講の5日前だった。前年に編集スパルタ塾でMVPを獲得した当時の会社の先輩・Mさんが勧めてくれたのだ。

 『天野くん、これは絶対に行った方が良い。年間を通しての講義だから金額はかかるけど、それでも僕はここに行って、世界が変わったよ!』

   どうしよう・・・・断りづらい・・・・・

   仕事しながら一年通うの覚悟いるな・・・

   しかも一週間後じゃん・・・・・・・・・

 迷ったが、Mさんは決して嘘を言う人じゃないし、不思議な縁を感じたので、思い切って行くことにした。

 一年経った今、あの時のMさんの気持ちがよくわかる。何かを本気で学ぶというのは、見える世界が変わるということなのだ。勧めてくれて本当にありがとう、MIYAHARAさん。あ、名前言っちゃった。

***

 僕は皆勤賞とは程遠いので偉そうなことは言えない。でも、一年通って僕が感じたことを正直に書かなければいけない気がするので、書きます。

【ゲスト講師へのプレゼン】

 編集スパルタ塾では、毎回本気の企画書をつくらなければいけない。なにしろゲスト陣はあらゆる分野の最前線で活躍する人たちだ。中途半端にやるとすぐに見抜かれる。詰めが甘ければグサグサやられる。

 だから、自分の全存在を賭けて持てるすべてを企画書につぎこむ。当たるかわからないが、とにかく思いっきりフルスイングする。その作業はとてもしんどいが、これができたら、すごい力になる。

 僕は、提出してきた課題のなかで一回だけフルスイングできた。その時の課題はある映画の企画だった。僕は映画こそ自分の生きる道だと思っているので、失敗は許されなかった。課題図書を3回読み込み、他のすべてを返上して、新宿の珈琲貴族で延べ20時間かけて企画書をつくった。

(ちなみに新宿の珈琲貴族は24h営業、全席電源・Wi-Fi完備なので自宅で作業できない人には神である)

 珈琲の飲みすぎで腹がタッポンタッポンになったが、結果、企画をおもしろいと言ってもらえた。単純かもしれないが、嬉しかった。もちろん拙さは残るし、すっごい悔しいこともある。この結果は通過点にすぎないが、爪痕だけは残せたと思っている。

 一回フルスイングを経験すると、フルスイングの仕方がわかる。自分の脳ミソはその時の熱量と集中力を覚えてしまう。だから、とにかく自分の限界を突破するつもりで一度やってみてほしい。気づいた頃には以前よりも確実に実力が上がっているから。

 残念ながら僕は編集塾で一回しかフルスイングできなかった。けどもしこれを二回、三回、四回と続けられたら、もっともっと自分の実力が上がると思う。なのでこれから編集塾に通われる方は、しんどくても、踏ん張って課題を出し続けてほしい。僕も悔しさをバネにどんどん企画を生み出そうと思う。


【菅付さんの講義】

 編集スパルタ塾ではゲスト講師へのプレゼンの他に菅付さんの講義の時間がある。菅付さんの講義では編集/企画の本質や手法について、古今東西ありとあらゆるカルチャーのアーカイブを浴びながら学んでいく。一回の講義で引き合いに出されるレファレンスは膨大な数にのぼる。

 個人的には菅付さんの講義での膨大なインプットこそ編集塾の真骨頂だと思っている。文学、広告、ファッション、音楽、映画、デザイン、アートなど、あらゆる領域を横断しながら学んでいくと、一見異なるカテゴリーでも根っこで共通しているムーブメントやグルーブみたいなものが浮き彫りになる。一つのカテゴリーに縛られて学ぶだけでは見えてこない、企画やクリエイションの本質が勉強できる。毎回2時間、集中して書きなぐったノートは今でも持ち歩いて、行き詰まった時に見返している。

 ・・・となんだか語り出したら止まらないので、この辺でやめときます。。

 最後に。編集塾は、本気でやればやった分だけ自分の財産になると思います。本気でやった時の歓びと、本気でやらなかった時の悔しさ両方を知ってるからこそ、そう思います。なのでもし今、迷っている方がいらっしゃったら、参加することをおすすめします。

四期 天野

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