フルスイングで空振りできるここちよさ

編集スパルタ塾とは、
若者が新しき自分を発見できる場でもあれば、
年寄りが若き日の自分を取り戻せる場でもある。

40歳になった私が若者達で一杯であろう編集スパルタ塾に申し込んだのは、もう一度「スパルタ」されたかったからだ。30歳を過ぎると本気のダメ出しをくらう機会はぐっと少なくなる。40歳になると皆無と言っても過言ではない。

それだけ自分が成長したのであれば良いのだが、そうではない。目上の人にはストレートに指摘できない、日本人特有の性質が壁となっているから厄介だ。いくら年下の意見を素直に聞こうと仏のような心で傾聴することを決断したところで皆本気で指摘してくれないのである。

通常の編集塾やライター講座であれば申し込むことはなかったであろう。「スパルタ」であること。そこに私は貧乏ながらもお金を支払うことを決めた。

フリーランスになって3年目。企業であっても潰れるところが出てくる魔の期間。1年目、2年目は会社員時代のご縁により順調に「待っていれば仕事をいただけた」。しかし3年目ともなると自分から仕事を作りに行かなくてはならない。

しんどかった。体力的にも経済的も。実際、後半はほとんど受講することができなかった。企画提案の営業回りに経費を回すため、横浜から下北沢までの交通費でさえ・・・けちるほど。

しかし、私のスパルタ塾は続いていた。2週に1度通っていた頃よりも激しく。前半で気づいたこと、学んだことは大きかった。特に「フルスイング」が。

前半の打ち上げで驚いたことがある。毎回直ぐに帰っていたので、誰とも会話したことがなかったのだが、「あ、徳川幕府の人ですか?、あれは戸田さんですか!」と何人もの人に声をかけられたのである。

「前回の元BRUTUS編集長/元ヴォーグジャパン編集長/現:明治大学特任教授、United Editors取締役 斎藤和弘氏の講義回、斎藤賞は戸田敏治さんに決定いたしました。(講義時は欠席、代読にて対応いたしました)」

この通知が来た時には驚いた。いや信じるどころか、同姓同名の生徒がいるのか?と本気で疑い、試しに返信したみたくらいである。2回目の斎藤さんの回でゲスト賞をいただいた(よう)だが、欠席していたために当日の様子は、それこそ、前半の打ち上げ時に他の生徒から聞いて初めて知ったほどだ。


1回目のゲスト回、正直唖然とした。「普通にやったら勝てない」。同期のプレゼンをみて思い知った。年下なのに--。この連中にさえ勝てなきゃ仕事なんてとれるわけがない。企画提案なんて辞めてしまおう。そこまで覚悟して臨んだ2回目はプライドも恥も捨ててアホだと思われようがフルスイングで挑んで課題を提出した。

なにが幸いしたかはわからない。直前まで出席する予定だったので、提出したパワポの資料は不十分でプレゼンで補足しようと考えていた。余計なことを言わずに済んだのが良かったのか、代読してくださった方が素晴らしかったのか--。

まー、そんなことはどうでも良いのである。

後半は受講できなくても、出せる限り課題は提出した。でも仕事の場ではもっと激しくスパルタ塾を実行していた。。下北沢で皆がプレゼンしている間、私は至る所でスパルタ塾を実践、フルスイングをしていたのである。「こんな企画提案だったら菅付さんに突っ込まれるよなー」とか、「この相手なら同期の●●さん風な感じで攻めた方が良いかなー」とか。

菅付さんに教えていただいたフルスイング。歳を重ねるにつれて不思議なほど忘れていた。そして、「たとえ失敗してもフルスイングしていれば、覚えてもらえる」。とてもステキなことを同期の仲間から教えてもらった。

編集スパルタ塾とは、
若者が新しき自分を発見できる場でもあれば、
年寄りが若き日の自分を取り戻せる場でもある。

スパルタ塾では仕事は関係ない。思う存分フルスイング、失敗して恥をかくことができる。若き日のように。そしてそれを「良し」として評価してくれる仲間がいる。

40歳を超えたけど、私は宣言することができる。
「プライドも恥も忘れて若き日のようにフルスイングする、下手な小細工はしない!空振り上等!」

こんなことを言えるのは幸せなのだ。

菅付さんやゲストの方々からのアドバイスもありがたかったし、なによりも身を削って考え抜きプレゼンした同期のスタイルが心に残っている(前述した通り仕事でパクっているほど 笑 すみませんー)。

***

菅付さん、同期生にご報告。
3月末をもって、どうにか魔の3年目を超えることができました。少しずつですが仕事も回り始め忙しくなってきています。ありがたい。皆さんにお会いできる機会はないかもしれませんが、私の心の中には常に皆さんがいて、企画書を作る度に顔が、プレゼンが思い浮かびます。

皆様に負けないようにフルスイングします!

誠に勝手なことではありますが、これからも皆様と歩み続けていくことかと思いますのでご容赦くださいm(_ _)m

じゃーね、バイバイ!

文:白髪な人である戸田

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