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第6話:「ウマ娘 シンデレラグレイ」

本書のタイトルに「ウマ娘」とつけておきながら、コミックの話題から入るのは一体どうなんだろうか(笑)。

(注:書籍化する予定なので、本書となっております。自費か商業か不明)

しかし、これには深い意図がある(のです)。

「ウマ娘」というコンテンツはメディアミックス(クロスメディア)と呼ばれる一大ムーブメントであり、プロジェクトなのだ。

これには(誕生した時から)明確にアニメやゲーム、マンガ、CD、ライブ、企業とのコラボ、海外展開等といった強い野心があった(後述)。

また、このようなプロジェクトは突然空から降って来たという訳でもない。

(他のアニメやスマートフォンゲームからの派生だけではなく、競馬ジャンルとしても・・・)

「みどりのマキバオー」を例に挙げよう。

マキバオーはコミック、アニメ、ゲーム、企業とのコラボと決して無縁ではなかった(1990年代の話)。

マキバオーのゲームは「ゲームボーイ」から「プレイステーション」まで幅広く存在した。また、アニメ、ゲームから派生した関連グッズはカードゲームブーム(ポケモンや遊戯王が代表的)を巻き起こした。

(といってもカードダスという文化もあったのだから、カード文化は実に奥が深い。近年はウエハースにカードを付ける文化が流行している。これはプロ野球チップス、Jリーグチップスとも異なる分野だ。)

(つまり)ブームは子供向け玩具やお菓子、生活用品に拡がっていたことは以前からあった。

(ソーセージと「セーラームーン」、目薬(ロート製薬)と「ドラゴンボール」の時代から変わるものではない。このジャンルは相当古くからあった。)

では、これにたいして現在のクロスメディアは一体何を意味するのか。

これは思想的な経済圏(包囲網)がより密になったということだ。

例えば、トップガンの映画を観に行っていつの間にか「ウマ娘」のゲームをしている。さらに、アニメまで視聴してしまった!(笑)

またスーパーでコーヒー(BOSS)を買っただけなのに4thライブに行くようになってしまった。

こんなことが容易に起こりうる(笑)

マキバオー(北斗の拳、エヴァンゲリオン)のパチンコから、原作(漫画やアニメ)を全て見る。これはなかなか起こらないだろう(たぶん)。

パチンコでマキバオー(北斗の拳、エヴァンゲリオン)を打つ人はたいてい原作のファン(おっさん)だ(った)。

「ウマ娘」の核は今やゲームである(そこからの派生に力がある)。

次にアニメ、やYouTube、ライブ(CD)等だ。

だが、思想的な共有はコミックの中でも随所に見られる。

本来なら「ウマ娘」を語る上で正門から正面突破し、一直線に本丸まで階段を駆け上がるのが筋であるが、

「ウマ娘」はなんと!裏口からでも本丸に辿り着くシステムが構築されている(のだ)。

そろそろ前置きをやめ・・・コミックの話に入る(笑)。

さて、「ウマ娘 シンデレラグレイ」である。

本コミックはサイゲームスのプロジェクトにおける一部領域でありながら「ウマ娘」という思想の中心を形成している。

「ウマ娘」のコミックは『STARTING GATE!』(全6巻、全40話)、『うまよん』(全147話)などもあるが、現在『週刊ヤングジャンプ』(集英社)で連載中の『ウマ娘 シンデレラグレイ』(既刊8巻、2022年11月26日現在)がそのコミック分野を牽引している。

「『ウマ娘』 それは別世界に存在する名馬の名と魂を受け継ぐ少女達 彼女達には耳があり 尾があり 超人的な脚力がある 時に数奇で時に輝かしい運命を辿る 神秘的な存在 この世界に生きる彼女達の運命は まだ誰にも分からない」(『ウマ娘 シンデレラグレイ』第1巻冒頭より、ページ:1-2)。

同作品にも「UMAMUSUME PROJECT」ときちんと書かれている(ページ:2)。この文言もおなじみだ。

また、あとがきにも

「ご存知の通り、本作「ウマ娘 シンデレラグレイ」は競走馬オグリキャップの物語をCygamesのクロスメディアコンテンツ「ウマ娘 プリティーダービー」の世界観を用いて描くフィクションです。私は世界に溢れる物語史上「最強の物語」それは「オグリキャップの物語」だと、信じて疑いません。だからこそ、このシンデレラグレイというプロジェクトに私は未だかつて感じたことのない興奮と、畏怖を感じています。一人ではとても恐れ多くて渡れないこの橋を一緒に渡ってくれている久住さん、杉浦さんには感謝の気持ちでいっぱいです。」(ページ:211)

とある。

これは漫画企画構成を担う伊藤隼之助(原作:Cygames)の言葉によって語られている。

(本来であれば漫画担当の久住太陽や脚本の杉浦理史が中心となるはずである。この辺りに「UMAMUSUME PROJECT」たる所以を見出すことができよう。)

続いて内容紹介に入ろう。

本作の主人公は名馬オグリキャップである。

特徴はお母さん想い、

あまり裕福ではない家に生まれた、

幼少期脚を痛めていたこと、

とてつもない大食い、

ぶれない精神(強い「個」)、

時折見せる可愛らしさと小ボケ等といったところか。

(特にデビュー戦における母からの髪飾りの贈り物や幼少期の母による脚のマッサージのシーンにこの作品の理念が見いだせる)。

また彼女の引き立て役に同級生のベルノライトがいる。

「間に合った うん 遅刻だよ」(ページ:16)

オグリキャップの第一声はこの言葉から始まった。

(これは中央の日本ダービー挑戦などのクラシック登録の伏線となっている。なんとも微妙な言い回しである。)

初期はカサマツレース場(「カサマツトレセン学園「ローカルシリーズ」やカサマツトレセン学園」)を舞台に活躍するが、やがて中央の舞台(「トウィンクルシリーズ」)に羽ばたいていく。

第1巻の中盤でベルノライトはオグリキャップに尋ねる。

「何でそんなに走るの?」

オグリキャップは答える。

「走れるから?立って走る・・・私にとってはそれだけで奇跡だ だからすごく嬉しい それだけ」

このシーンは読者にオグリキャップが走る意味と彼女(ウマ娘達)の宿命を伝える(ページ:81-83)。

また、5枠5番が多く(おそらく作者はご飯にかけているのではないか、笑)、

初勝利時における盆踊りの「ウイニングライブ」(ウマ娘がレースに勝つと行うファンに向けたライブ、本作にも細かい設定がある)、

金華山(※かつて明治天皇が最も愛した縁起の良い御料馬の名前でもある)、

そして初期のライバルであるフジマサマーチの

「頂上を決めなければ山は登れない」(ページ:185)

というセリフに読者はその後のオグリキャップの大活躍を予感させ、中央における激走に対する夢を抱くことになる(史実を知っている人であれば尚更のこと)。

なお、

第1巻の最後に登場するきしめんを食べるタマモクロスの姿。

ここに競馬ファンは最も強く興奮する(のだ)!

(コミックは第1巻が命、だからとことん感情を揺さぶる演出を施さなければならない・・・)

ちなみに、オグリキャップ、フジマサマーチ、タマモクロス共に芦毛のウマ娘である(もちろん意図がある、また泥ウサギと虐めていたモブキャラの名前がかなり後に分かるのも余計な演出に力を入れない為だ)。

こうしてアニメ第1期後の空白期間。

アニメ第2期やスマホゲームのリリース前、

シンデレラグレイ=オグリキャップは『週刊ヤングジャンプ』(2020年28号)から見事なスタートダッシュを決めた!

ちなみに、現在この物語は史実のとおり中央における「激闘編」まで進んでいる。

オグリキャップ対スーパークリークの秋の天皇賞(第101話)に・・・


追記:

ウマ娘のアニメやコミックの記録については別の項目で整理する予定です。

「治った うん まだコロナのせいで味覚障害だよ」

療養中の為、若干編集中!

コミック読み返しています。

12月2日まで1話から100話まで無料公開中!

https://www.mandarake.co.jp/dir/nkn/micro/2019/12/25/12292019-8.html

マキバオーとウマ娘コラボしてたけど、
昔からグッズも販売されていたのよね♬

ゲームもリアルタイムでやってました(笑)

(2022年11月26日)


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