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目からビーム!160 戦争賛美って何だ

「日章旗や銃剣、旧日本兵の所持品展示に『戦争賛美』懸念」なる面妖な見出しを沖縄タイムズのウェブ版に見つけた。記事によれば、《沖縄戦で住民の避難場所や沖縄陸軍病院の分室となった南城市玉城糸数の自然洞窟「糸数アブチラガマ」の案内センターに日章旗や銃剣などが展示され、沖縄戦研究者や平和ガイドから「戦争賛美」を懸念する声が上がっている》とのことだ。展示物はすべて市民からの提供だという。
僕は実際にガマを訪問したわけではなく、記事から得た情報で語るしかないが、武運長久と書かれた日章旗や国防婦人会のタスキ、あるいは千羽鶴といった展示物のどこが「戦争賛美」につながるのか、まったく理解不能だ。これを見て、戦争は素晴らしい、などと思う者はいるはずもない。いたとすれば、その人物は、『はだしのゲン』や『火垂るの墓』を読んでも同様の感想を浮かべるのではないか。
『永遠の0』のような先の大戦を舞台にした映画が公開されるだけで戦争賛美映画だと騒ぐメディアもある。あくまで私見だが、こういった傾向は81年の『連合艦隊』あたりから顕著になったのではないか。実際に軍隊を経験した人たちが現役を引退し始めた時期に被る。それ以前、東宝は8・15シリーズと銘打って、毎年戦争映画を公開していたが、戦争賛美だなどという批判は聞いたこともない。「戦争を知らない子供たち」の観念的平和主義が、真に戦争を知る世代の口を塞ぐ。
 櫻井よしこ氏の「祖国のために戦えますか」という投稿が「戦争を煽るもの」と攻撃され、広島市長が教育勅語を引用すれば「戦前回帰」だと突き上げを喰うのが今の日本だ。
 ならば問うが、戦争賛美とはなんなのだ。絶対的な悪なのか。人類の歴史は戦争の歴史でもある。どこの国でも自分の国がやった戦争は都合よく賛美している。アメリカ独立戦争は、語られるほど彼らにとって誇らしいものだったのか。南北戦争はどうか。ノルマンディ上陸作戦でアメリカ兵は多くの婦女子をレイプしている。彼らの教科書に書かれているほどきれいなものではなかたはずだ。フランスは革命の仕上げとしてオーストリアに宣戦布告している。そもそも、戦争賛美がいけないのなら、革命賛美もやめるべきだ。どちらも大量殺戮に変わりはない。ロシア革命しかりだ。
 日の丸を飾るだけで戦争賛美といわれ、なんとなく委縮してしまう、この日本。実は世界で一番、戦争を賛美しない国なのである。
 

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