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目からビーム! 127おトキさんの別荘は知っている~死を呼ぶ平和主義

《防衛力の増強などで、日本は守れません。戦わない国としてのポリシーを持ち続けることこそが日本の防衛です。》
 歌手の加藤登紀子氏のツイートが炎上中だ。もっとも、こういった論調は彼女に特有なものでなく、空想的平和主義者、俗にいう「頭の中お花畑」の人たちに共通するものである。だからこそ彼女の言動には空想的平和主義者にありがちな矛盾も見えてくる。
 加藤氏のツイートを要約すると「戦わないことが国を守ること」だというのだ。国を守ること自体を全否定はしていないのである。そして暗に、防衛力の増加は国を亡ぼすことだともいっている。決して同意はしないが、とりあえず、日本語としては通じる。
 一方で加藤氏は、かつて週刊朝日のエッセイの中でこうも記しているのだ。
《日本という言葉を発するときに、たえず嫌悪の匂いが私の中に生まれ、その言葉から 逃れたい衝動にかられる。》
 先のツイートと重ねてみよう。言葉にするのも嫌な日本を「守る」ために防衛力の増強を否定する、というのもヘンな話ではないか。言葉にするのも嫌な日本だから、防衛力をどんどん増強して亡んでほしい、というなら論理として理解できる。ソ連邦の崩壊の最大の原因は、アメリカとの軍拡競争の敗北である。前例はあるのだ。
 加藤氏は防衛力を含む武力を完全否定し、無抵抗をよしとする絶対的平和主義を標榜しているのだろうか、これも否だろう。

 1975年6月、静岡県伊東の加藤氏所有の別荘で過激派による内ゲバが発生、1人が死傷、9人が重症を負う事件があった。当時、この別荘は、革労協が軍事訓練の合宿に使用しており、犯行は、対抗セクトの革マル派によるものだった。その後、革労協は報復として革マルメンバー2人を殺している。国家の防衛力を否定する者が、暴力革命勢力の武闘訓練に別荘を提供するという不思議。
 日本酒をこよなく愛し、東大駒場寮のバンカラな空気をなつかしみ、『知床旅情』や『琵琶湖周航の歌』の旅情を歌う加藤登紀子が根っからの日本嫌いだとは思いたくない。全共闘世代の反国家ごっごのなれの果てか、はたまた「パパなんて大嫌い!」とすねる小児病がぬけきれないのか。おトキさんも来年で80歳なのだが。

(初出)八重山日報

(追記)

▲事件当時の報道にあった殺人別荘の住所を検索してみると、今はスパリゾートになっているようだ。

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