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目からビーム!44 環境の敵、それは……。

 16歳のスェーデン少女が話題である。15歳で登校拒否を宣言、「気候変動の危機」を訴えるために議会前で座り込みの一人デモを続ける姿が世界に報道され、このほどその“武功”が認められ、国連環境行動サミットでの涙のスピーチとあいなった。
 概ね好意的に報道された彼女の演説だが、よく聞くと、「大人が悪い」「大人に裏切られた」「大人が私の希望ある子供時代を奪った」といった、「大人」に対する呪詛の言葉ばかりで、温暖化対策に関する具体的な提案はついぞ耳にできなかったと思ったのは僕だけだろうか。

グレタ・トゥーンベリー。その口からは大人に対する呪詛の言葉しか聞こえてこない。彼女もすでに「少女」とはいえない年齢に達してしまった。顔をゆがめた雰囲気はバロン・フォン・ラシクにも似ている。
”ナチの亡霊”“妖獣”と呼ばれたバロン・フォン・ラシク。日本では小粒な悪党といった評価だが、アマレスの強豪で、AWA圏では、あのビル・ロビンソンも認める実力者。


 目に憎悪の光を宿らせた彼女の演説姿を見て僕の脳裏に蘇ったのは、世界一過激なフェミニスト活動家として知られた、「アンディ・ウォーホルを撃った女」ヴァレリー・ソラナスである。
 ヴァレリーは1938年、ニュージャージー州生まれ。父親の性的虐待のトラウマからか、早くから性愛に目覚めた彼女は、大学卒業を機に自己表現の場を求めてニューヨークへ向かう。しかし、大都会の風は冷たく、売春婦としてその日のパンにありつく日々の中、彼女の心に社会そして男性に対する憎悪の念が醸造されていく。かくて「男性皆殺し協会」(Society for Cutting Up Men)なる一人組織を結成、それが高じてウォーホル狙撃事件を起こすのである。男性を皆殺しにしたら当然生殖活動がなくなり、女性もいなくなってしなうのは道理なのだが、彼女の“正義”の前にそれはさしたる問題ではないらしい(?)。

逮捕直後のヴァレリー・ソラナス。その目には狂気が宿っている。


話を戻す。環境破壊の最大の元凶は人間だ。人間消滅こそが地球を救う。グレタ嬢の口からいつ「大人皆殺し協会」設立宣言が出てくるのだろうか、少しだけ期待した自分がいる。
 ヴァレリーとグレタ嬢、二人の活動家に決定的な違いがあるとすれば、あくまで一匹狼だったヴァレリーに対してグレタ嬢はその背後に誰かしら「大人」の影がちらつくという点か。ゆえに二人を比べ、僕はヴァレリーの方により好感を覚えるのも正直なところだ。
 そういえば、沖縄にもいましたね。「少年革命家」と称する10歳の登校拒否児の活動家が。

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(初出)八重山日報


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