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目からビーム!62 カオスの勝手でしょ~震災と日本人

 麻生副総理の「民度」発言が案の定、野党とメディアからやり玉にあがっている。
 実は、政治家の口から「民度」という言葉が出たのはこれが最初ではない。2014年8月、中国で開かれていたサッカー・アジア杯での中国人観客の反日行動について、時の石原慎太郎都知事が「民度が低いんだからしょうがない」と吐き捨てたことがある。
 民度とは民族の成熟度を意味する。その民度の高さを測るひとつの基準として見たいのは、たとえば警察力が停止したようなカオスの状況に置かれたときの人々の行動である。あの東日本大震災直後のカオスの中で、略奪もなく、避難所には無言の秩序と助け合いの精神が存在していたことに、世界のジャーナリズムが驚嘆と称賛の声を惜しまなかった。これは日本人の民度の高さとして誇っていいことだと思う。
 ブッシュ・ジュニアはイラクに戦争を仕掛けサダム・フセインを処刑すると、イラク占領統治はGHQによる日本統治をモデルにするとドヤ顔で言い放った。これを聞いたとき、ずいぶんと日本も軽く見られたものだなと苦笑したものだ。GHQの占領があれだけスムーズにいったのは、相手が秩序と和を貴ぶ日本人だからこそではないか。案の定、フセインという重石を失ったイラクはたちまちのうちにカオスと化し、占領軍を大いに悩ませた。
 そして、ジョージ・フロイド事件に端を発し全米に広がった今回の大暴動である。黒人差別に対する抗議デモのはずが、気がついでみれば、略奪に放火、それにリンチのやりたい放題。一体、おたくら(アメリカ)の民度ってどうなってんの? と言いたくもなった。
 暴動の発火点であるミネソタ州のミネアポリスでは、ついに市議会が警察の解体を宣言したというニュースが飛び込んできた。この場合の解体は警察組織の再構成を意味するらしいが、それでも一時とはいえ無警察状態が続くのである。これに合わせ、米全州では銃器の売り上げが急増しているという。警察がなくなれば、自分の身は自分で守るしかないという当然の結論である。アメリカは西部開拓時代へとタイムスリップしようとしている。
 せっかく小康状態にあったコロナ感染もこの暴動を機に全米で新たなクラスターを発生させるだろう。
 つくづく、日本が感染拡大を抑え込んだのは、民度のおかげだと改めて思った次第である。

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