見出し画像

空冷エンジンの楽しさとは

今回は、空冷エンジンの楽しさというテーマでお話をしていきたいと思います

空冷エンジンと水冷エンジンの、乗ってわかる一番の大きな違いは、ゆるさの違いかなと感じています。

空冷エンジンってアクセルを開けても、すぐに反応せずちょっとタイムラグがあってじわっと加速する。

つまり空冷エンジンはゆるくて、ファジーに感じるんですよね。

それに対して、水冷エンジンはアクセルレスポンスが良いので、アクセル開けるとすぐに反応します。

コーナリング中はもちろん、ゆったりクルージング中でもスロットルに集中することになります。

集中できるときは楽しいですが、普通に乗りたいときは、疲れや難しさにつながるかなと思います。

空冷エンジンだとゆるいので、スロットルを開けても、すぐに反応しないから、ゆったりした気分で攻めたりする事ができます。

こういったゆるさというのは、フロントサスペンションにも言えると思います。

性能の高い倒立サスペンションが良いかというと、ライダーにとっては、俊敏に反応するより、ワンテンポ遅れて反応したり、ゆっくり動き出したほうが、ゆとりとか安心感が生まれたりします。

僕なんかはツーリングで流せるときの快適さとか、コーナーを攻めたときの使いやすさとかでは、間違いなく空冷エンジンの方が楽しいと思っています。

なぜ、空冷のゆるさって空冷エンジンしかだせないのか?

それは、空冷エンジンは走行風でしかエンジンを冷やせないため、金属の熱膨張をかなり余裕をもって作られています。

シリンダーとピストンは金属なので熱膨張します。

と言う事は、圧縮を保っているシリンダーとピストンのクリアランス(すき間)が熱くなりすぎると、クリアランス(すき間)が狭くなりすぎて、最悪、ピストンが焼き付いてしまうことになります。

だから、エンジン設計のさいに、最も負荷(熱)の高い状態でピストンクリアランス(すき間)は、水冷エンジン以上に広めに設計されています。

もちろんクリアランス(すき間)が広いデメリットもあります。

燃焼室のガスが、ピストンをすり抜けてクランクケースに流れてしまいます。

燃焼しなければならないガスがへっちゃうので、パワーもレスポンスも悪くなります。

でも、空冷エンジンの効率の悪さが、走りやすさと味わいにつながっていると感じています。


とはいえ、水冷エンジンの面白さもあります

水冷エンジンはウォータージャケットでシリンダーを包んでいるので、エンジンの温度を一定に保てます。

つまり、クリアランス(すき間)を小さくできるから、燃焼ガスがピストンをすり抜けてクランクケースに流れてしまうことも少ないし、性能がダウンすることも少ないです。

ですので、水冷エンジンの方が、パワーを出しやすいし、レスポンスもよいです。

性能でいえば、間違いなく水冷エンジンが優れています。

例えば、コーナリング中に少しのスロットル開度で、トラクション(駆動力)をコントロールできるから、バイクとの一体感を感じられて、水冷エンジンの醍醐味のひとつだと思います。


いずれ、水冷エンジンで、空冷のような特性を持たすことは、出来るようになるんでしょうけど

見た目的に、ラジエターが必要だったり、空冷エンジン特有のフィンの美しさを出すのは難しいのではないかなと思います。

やはり、空冷エンジンの良さは、エンジンの美しさと快適なツーリング、緊張感なくゆるくワインディングを攻められるのが魅力的だと思います。

しかも、面白いことに、ハーレーでワインディングを攻めたりする、水冷エンジン以上に速さを感じます。

じっさい僕はCBR1000RR(SC59)と100馬力程度にチューニングしたスポーツスターを、隔週で比べて走ったりしてます。

絶対的な速度ではCBR1000RR(SC59)の方が速いですけど、体感速度的には不思議とスポーツスターの方が速く感じます。

ハーレーダビッドソンも、そういう事をわかっているから、コストがかかっても、性能が落ちても、空冷エンジンを作り続けているんじゃないかなと思います。

バイクの魅力は性能だけじゃなくて、感覚的な方も同じくらい重要だというのは、事実としてあると思います。

最近では、ホンダのCB1100のような、味わい深さも追求した空冷エンジンも出ているし、無限がオリジナルのV型空冷エンジンを発表して、市販化も視野に入れていると言っていました。

これからは、水冷エンジンの性能一辺倒から、だんだんと空冷エンジンの良さが見直されて、「味わい深い空冷エンジンが増えていったりするのでは」と思っています。


ざっくりまとめると、

空冷エンジンは、水冷エンジンよりもゆるく、快適にツーリングでき、余裕をもって攻めることもできる。

バイクは性能だけではなく、味わいや余裕も必要なんだと思います、

というわけで、今回は以上となります。


今日も、最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。


ARIGATO BIKE

いただいたサポートは知識、情報のために使用し、皆様のために還元していきます。