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切った指が治りません。

3月に、最新鋭の大きめドローンで手を切りました。
中指、薬指、小指、手のひら、手の甲。オールオブ右手。

最新鋭だからといって侮るなかれ

出たばっかりの新機種。
満を持してローンチされたと思いますやん。
最新鋭だからこそ安全だと思われがちです。
けど、結局ドローンなんですよね。
この仕事してる人が言うべきかどうか悩みましたが

\\\\\ 安全な訳ない /////

軽く事故事案として処理しまして
(あー保険料高くなるって〜って一瞬考えましたが)
労災いぇーいって感じで片付けておきました。

ボケっとしてたから事故したのか?

これ、身内や専務に言われて、すげー腹たったなw
「あ?自惚れんな。車よりも怪我のリスク高い機械を操縦する奴が操縦中にボケッとしてられっか。ラジコンと思うなよ。」が本音です。

まじお前ら、小型のドローンをちょいとしか触ったことないのに
分かった気でおるなよ。
専務には「環境要因が大きな原因です。同じ環境で他の人間では飛行はおろか撮影すらまともに行えません。」って真っ直ぐで曇りなきまなこで伝えました。
私の操縦に誤りは無かったですが、センサーの異常と環境で事故は起きました。

そもそも台本に無かった。


事故の経緯としては、ドローンを使って撮影していたというよりも、狭い部屋で割と大型機を飛行させそこをシネマ用のカメラで撮影したい。
だから産業機を飛ばして欲しいというクライアントからの意向でした。
リスクがあるので、小型に出来ないか?と交渉。
ただ、相手の立場もある。
絵的に欲しいのも分かる。(なぜなら、映像業界にいたので)
「本当に危険しかないし、そもそも飛ぶかすらわからない。」
※産業機になると周囲の安全が確保できなければプロペラすら回転しません。
「テストフライトしてみないと出来るかどうかの判断ができません。」
「危険すぎるから、本当はやめて下さい。」
伝えました。ちゃんと。
でも、専門でない人たちはどれだけの危険性や殺傷能力を秘めているなど分かるはずもない。
じゃあテストしていけそうなら、いこう/そんな軽い感じで見られていました。
ってな訳で、急遽大型機を照明や撮影用三脚に乗ったカメラで部屋がパンパンな10畳以下の部屋でフライトさせました。

ドローンの挙動に一瞬違和感を感じ撮影陣にストップを要請。
それでも押し進めたい撮影陣。
危ないから下がってと、デッドラインを決め右手で人々を制止しておりました。
それでも下がれない撮影陣。
ランディングを試みるも下方センサー異常で再度ホバリングを勝手にしたかと思えば、それは地面効果が発生していました。
どうりで。。。挙動が不安定になるわけですなわ。

地面効果については上記を参照。
あー、これこのスペースじゃあ怪我人出るってな感じで
操縦者(自分)以外の身の安全を優先し、撮影陣の先頭にいた監督の顔面に手をかざしたところに見事ドローン命中!!
(あ、これいったわ。)
っと思った次にはドローンを鷲掴みにしている自分が居て引きました。
幸い、私を除く人は怪我をしておりませんでした。

パイロットとしての責務

ドローンパイロットとしては、トラブルが発生したら周囲の安全保確保した上で機体を墜落する選択肢を選ばなければなりません。
人命の優先です。(おそらくパイロットの人命も含む)
残念ではありますが、今回の被害が最小限に収まり誰も命に別状がないという結果でいえば良かったんじゃないでしょうか。
そもそも、無理だというパイロットの話を聞き入れるような対応な関係性で仕事そすることをお勧めします。
今回は特殊中の特殊です。
断れないし、協力者が全くいないというとんでもない環境でした。
指程度で済んだものの、これが目だったら。手首だったら。首だったらと思うと中々に笑えません。

事故後の対応が良く無かった

まぁ、普通は出血を伴う事故を起こしたら撮影は中断するのですが
撮影場所の都合から、どうしてもその日中に撮影を終わらさなければなりませんでした。
なので、適当に止血だけして深夜まで撮影を続行しました。
(止血と書きましたが、全然血が止まる気配は無かったです。)
気づいたら、コントローラーに血がついてしまったり血で滑って大変でした。
日の出前から深夜に及ぶ撮影で、機材など完全撤収を終わらせ関係各所へのお礼メールなどなど細かなことを一人で完結させてから帰路へ。
(もれなくキーボードは血まみれ。)帰宅したら2時を回っておりました。
右手の血を拭いてシャワーに入って、また止血して寝ました。

夜中に、手首から先が激痛で起きました。(朝の5時)
風が吹くだけで患部が痛い、、、。でも、出社しなきゃ、、、(撮影翌日に普通に出社させようとシフト組んでくる上層部ヤバめ)
で、どうにかこうにか10時に会社に出勤しました。
風が吹くだけで患部が痛いので、歩くなんて激痛。

同僚「血が出てますよ?」
私「昨日から止まってないんですよ。」
同僚「てか、床に垂れてますよ?」
私「すみません、処理します。」

で、他部署の同僚が出血量を見て1日経過してコレはやばいってのと
この日が土曜日であったこともあり、このまま日曜日になると悪化すると本気で心配してくださり病院へ行くことの承認を上司に取ってくれました。
午前診療でギリギリ間に合う自宅近くの病院へダッシュ!!!!!!
嘘です、痛すぎて走れないので普通にタクシー使いました。

縫いたければ切創後、ASAPで医療機関を受診すること。

医者は傷を見るなり、傷が不揃い且つ深い割には量が多いね。
でも、これ時間かなり経ってるでしょ?
縫えないよ、傷口がふやけちゃってるし化膿してる。無理だよ。

絶望しそうでした。先生…血が止まって無いんです…。
どうやら24時間経過して、塗ってしまうと感染症のリスクが上がってしまうようです。
傷も鮮度が命だと学んだのです。

縫えば血が止まると思い込んでいましたが、どうやらそうではないみたいで
止血に効果のある点滴でその日は対応。
ドローンの羽で切ったと伝えたらレントゲン撮影もすることになりました。
幸い、少し骨に当たった跡(凹み)はあるものの、骨に異常は見られずでしたので安心しました。
点滴の中に痛み止めも入れてもらいかなり楽になり、色々と落ち着いて傷口を見たら各患部の指が冗談抜きで2倍に腫れあがっておりました。
飲み薬と化膿防止の塗り薬で対応。
風呂は禁止、シャワーを2日に1回。病院には毎日来い。って条件で1ヶ月様子を診ていただきました。
毎日診ていただくことで、患部に膿がたまることもなく順調に回復。
1ヶ月後にはすっかり傷が閉じました!

傷が塞がったー!!から治った訳では無かった。

傷口に瘡蓋ができた頃から、ズキンとした痛みは減っていきました。
でも患部を直接触ることはなかったので、気づかなかったのですが
神経も切ってたようで先端に痺れが残っています。(2023/08/23現在も)
なんなら、一番傷が深かった小指に関しましては外の傷口が先に塞がったらしく内部組織の再生がまだみたいで、強く擦れたりすると
中から違和感を関します。(なんか弾ける感じというかグチョって言います)
内部が完全に繋がっていないのか、強い力が加わると激痛が走ります。
まるで、痛風みたい(なったことないけど。)
半年近く経過しますが、小指はまだまだ中が変です。
で、小指を庇う生活を長らくしていたのか、肘まで痺れることがしばしばあります。

とまぁ、見た目以上にひきずっております。
これからドローンを始めたいって人は、悪いことは言わないんで
独学ではじめないでちゃんとスクールなりに通ってさまざまなリスクについてや法令関係や、飛行の可否判断のテストも受けていただきたいです。

あとは、最低限の救急の知識を身につけてから飛行させていただきたいです。

長くなりましたが、現場からは以上です。

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