平昌五輪覚書 フィギュアスケートアイスダンス

フィギュアスケートの男子シングルが終わった時点で私の平昌オリンピックは9割終わったはずだったんですが、アイスダンスが恐ろしくおもしろかったので、とりあえずテキストで残そうかと……。

おもしろかったのはただ一点。金メダルのテッサ・バーチューとスコット・モイヤーがすごかったからです。

いや、若い頃からすごい選手だったんですけど、バンクーバーで金を獲った後、ソチで団体・個人ともに銀、ライバルのメリチャリはもう競技に戻ってくる気配がない。だから、テサモエも平昌は出ないだろうなって思ってたんですよ。

なのに昨シーズン復帰しちゃって。しかも圧倒的な強さでその年の競技会、優勝しまくるし(ワールドなんてFDでスコットが転けたのに優勝してた)。ただ、今シーズンはフランスのカップル・パパダキス&シゼロンにFDで負けたりしてたので、オリンピックどうなのかなーくらいに思っていました。

ところがどっこい、団体戦からフルスロットル! 日本が明らかに個人戦への調整みたいな参加の仕方だったのに対し、カナダの本気っぷりがすごかった。ショート・フリーともにパトリック・チャン、メーガン&ラドフォード、テッサ&スコットが出るとか狂気の沙汰(褒め言葉)。女子もカナダチャンピオンのガブリエル・デールマンと、女子で銅メダルを取ったケイトリン・オズモンドだし。

つうか、カナダは他にもいいダンス選手いたのに、どっちもテサモエ出てるんですよ。意味がわからない。しかも、女子フリーを終えてカナダの金が確定してるのに出てるの(まあエントリーしちゃってるからね)。団体戦のすべての最終滑走がテサモエ。ラスボスですわ。

ソチで銀だったのが悔しかったんだって。パトリックを手ぶらで帰すわけにいかないって思ったんだって。もう泣くしかない。デュハラドなんて、直後にペアの個人戦あるのに、フリーで10点(1位)獲ってるんですよ。テサモエなんてショート・フリーともに10点。

オリンピックが始まるとき、団体戦の意義がよくわからんって思ってたんですけど、まったくそんなことはなかった。男子シングルのnoteでも書いたけど、パトリックとメーガン&ラドフォードがオリンピックの金メダルを手にして、長洲未来とアダム・リッポンがオリンピックメダリストになれるのなら、やっぱり意味はあった。素晴らしい団体戦だった。

で、アイスダンスの個人戦です。団体戦の疲れをまったく見せず、SDからスコットがキレッキレで、テッサもいつも通り美しくてハウア~って感じだったんですが、FDがさらにすごかった。SDで衣装トラブルに見舞われたパパシゼが、FDで歴代最高得点を叩き出して、1つのミスも許されない局面。最終滑走であのムーラン・ルージュやられたら、そりゃ金だよ。

日本のジャッジがテサモエのすべての要素に満点付けてて、解説の河合さんが「金を獲ってほしいと思うくらい感動した」って涙声で言ってて、全力で同意。冒頭のステーショナリーリフトの入り方(テッサが後ろ向きでスコットに飛びつくやつ)もナニソレって感じだったけど、ピッタリなツイズルとか、これまたアクロバティックすぎるローテーショナルリフトとか、もうすごいという言葉じゃ片付けられない。

そして『Come What May』の曲に乗せたミッドラインステップですよ。テッサがものすごく綺麗な笑顔でスコットを見つめてるんだもの。スコットが「I love you」って歌ってるんだもの。そりゃ泣くでしょう。何度見ても泣ける。

しかも繰り返し見ているうちに、緊張してたテッサにスコットが「大丈夫?」って声をかけたり、背中をポンポンって叩いたりしてるところが見えてきちゃって、余計泣ける。本当に奇跡のようなカップルだな。もうこんなカップル、二度と出てこないんじゃないだろうか。

フィギュアスケートを見て、久しぶりに泣くほど感動しました。やっぱりフィギュアスケートはおもしろいな。テッサとスコットに、競技人生の最後にこんな素晴らしい演技を見せてくれてありがとう、と心から思いました。

バンクーバーオリンピックから金銀銀金金なんて戦績も最強ですが、現役最後のオリンピックの最終滑走であの演技は、間違いなく伝説ですね。長く語り継いでいきたい。あれをリアルタイムで見ることができた幸せに喜びつつ、4月のSOIのチケットを取りましたとさ。アイスショーで生のテッサとスコット、見てくるよー!

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