見出し画像

たくさんの人の心を動かすために

こんにちは、スピカワークスの広報Tです。

故障していた窓用エアコンの交換が終わりました。でも窓が東南向きのため、直射日光の力に負けるようで、冷房の効きはあまり変わっていません。代表は事務所の移転を考え始めました。開業3か月目の試練です……!

余談はさておき、先日、代表がゲスト講師としてコルクラボ編集専科さんへお招きいただき、「編集者の仕事」について講義を行いました。

twitter上ではハッシュタグ「#コルクラボ編集専科」より、当日の様子を追いかけることができます。詳細はそちらにお任せしつつ、今日はその中から「代表が作家さんとともに、作品を作る上で大事にしてきたこと」についての部分をご紹介しますね。

ちなみに「コルクラボ編集専科」がどんな場所かといいますと、「プロの編集者を目指す参加者が、ゲスト講師による毎月1コマの講義と、その後の課題(+動画配信でのフィードバック)を受けながら編集技術を学ぶ」という講座です。第1回はコルク会長・佐渡島庸平さんの登壇で、講義後に出された課題が、「マイノリティをテーマにした王道な企画」についてだったそうです。

以前に代表もそういったテーマの作品を担当することがあったため、今講義ではその課題を踏まえつつ、過去の作品に触れながら自身の作品作りのスタンスを話してみることにしたようです。

講義は自己紹介後、芹沢由紀子先生が描かれた『オッパイを取ったカレシ。』(講談社、2002年刊)の話から始まりました。

企画をした当時、作品のテーマである「性同一性障がい」についての世間の理解はまだまだ浅く、その言葉すらもほぼ知られていないような状況でした。そういった中で作家さんと作品を立ち上げるにあたり、「(該当する方々を)マイノリティという言葉で表すことにもためらいがある」「社会を変えてその人たちをどうにかするとか、そんな意識はまったくなくて、ましてや権利もないと思っていた」と前置きし、

僕の場合、みんなが日ごろ全然気にしていない、見ていない場所に、こんなに素敵な人がいるいうことを、作家さんと共に思えるかどうか

ということが、企画のスタートになっていると語りました。

同様に、あしだかおる先生の『10代でママになった女の子』(講談社、2003年刊)というシリーズでは、取材を通して「(10代のママたちと)実際に会って話を聞かせてもらうと、非常に素敵なお母さんたちであり、子どもに対する愛情も深いものがあるし、育てていくということに対して覚悟もあって、勉強もしている。こんな素敵な人たちが親だったら、僕は嬉しいな」と思い、その気持ちを作家さんと共有できたことで作品作りが進められたそうです。

また、それぞれの作品については

「題材的にはいずれもセンセーショナルな部分がありますが、衝撃的かどうか、インパクトがあるかどうかよりも、読んだ後にすごく前向きになれるかどうか、心が前向きに変えられているかどうかの方が大事かなと思っている。読んだ人たちがこんな素敵な世界がある、こんな素敵な人たちがいると心惹かれてくれないと、そもそも(題材に)関心を持ってもらえない

「『知るべき変えるべき』と力説しても人の心には届かない。興味を持ってもらうために、極端に言えば『こんな素敵な世界がある、こんな素敵な人たちがいる。こっちの水の方が甘いよ』と表現していく方が、僕と僕の担当作家たちの社会の変え方だと思っている」

「もう一つ重視する点は『(作品を)やる意義と、挑戦があるかどうか』。『漫画を描く』ということは大変なエネルギーを使うし、長ければ何年もクオリティを維持して描き続けなくてはいけない。だから、それだけのモチベーションが湧くことなのか、ということは大きなポイントになるし、『(読者に)受けそう』『流行りそう』といったことではなく『やる意義、挑戦する甲斐があるかどうかを大事にしたいと考えている」

とも語っていました。

そしてお話は、『デザート9月号』から始まった森下suu先生『ゆびさきと恋々』(講談社)の連載を起こしていく経緯へとつながりました。

「障がいが題材になると、すぐに感動もの、重いドラマを期待される。一般的に思い浮かべやすい、マイノリティをテーマにした『王道』はそうなのかもしれないけれど、『自分たちの心が動かされたもので、たくさんの人の心を動かすというものが、僕にとっては王道』。そういうことをやりたい」

「少女漫画を21年もやっていると『そんなに長くやっていて飽きないんですか?』とか『男で少女漫画を作るってどうなんですか』と言われたりもする。でも、仕事だから少女漫画を作っていたわけではない

「僕も最初の2年くらいはわからなかったけれど、だんだん慣れてくるうちに『少女漫画ってすごいな』『人と人の関係性を育てていく様子、絆ができあがっていく過程を、丁寧に大切に描く、素晴らしいジャンルなんだ』と、3、4年目で思ってしまった。そう思っちゃったので、そのことをたくさんの人に知ってほしい……と考えて、ずっとやってきました」

このあと、今回の講義の基本テーマとされている「編集にとって重要な3つの要素」についての解説や、編集者として仕事をしていく上での考え方や技術論などに触れていったのですが、その部分は今後、別の場所でご紹介いただけるそうです。されなかった場合は……こちらでそのうちに!

★☆★☆★

今回は講義のメインだった「編集者としての編集術」をお伝えすることより、代表がこれまで実際に、作家さんや作品テーマとどう向き合い、大事にしてきたかを知っていただきたいと考え、講義の一部を抜き出してみました。

これまでの道は、これからの道です。「描き手の一番近くで、作品のことを一緒に考える一番の味方」という気持ちで、代表はこれからも描き手の方に寄り添い続けることでしょう。

こんな代表と「作品をつくってみたい!」と思われた方は、告知を開始した「スピカ賞」へ、ぜひご応募ください。あなたのこれからの表現をともに見つけ、作りたいと願う編集者がここにいます。ご応募、お待ちしています!

★☆★ 新人賞の詳細は→ スピカ賞って、こんな賞! ★☆★

☆★☆ twitterは、弊社・契約作家さんの情報を中心に発信中 ☆★☆
  → スピカワークス (@spica_works) | Twitter

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?