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綺麗さと汚さ。東京の。そして人間の。

東京って綺麗な街だなぁって、
新海誠監督の映画を観ると思う。

私が憧れた東京は、セーラームーンが闘って、NANAがいて、椎名林檎が歌って、そして、新海誠監督作品の舞台の街。



2019年7月19日(金)曇時々雨



現実の東京も雨続き。
今年は梅雨が長い。

東京は大好きな街だけど、汚い街でもある。
雨の日は特にそう思う。
『天気の子』ではそういう東京の汚さも描かれていて、等身大の東京だった。

電車の音はうるさいし、ごはんはジャンク、キャッチはうざいし、バニラの宣伝トラックは街を駆け回ってるし、どこにいっても人が多くてごみごみとしている。

こんなにたくさんの人がいるのに、誰一人同じ人間は存在しない。
代わりがいない不可思議をこの街に教えてもらった。

この作品の人波の中には、『君の名は。』の登場人物たちや、ソフトバンクの白戸家お父さん犬も紛れ込んでいるので、ぜひ探してみてほしい。
かけがえのない人を探すのにも、ここは悪くない街だ。


『君の名は。』が、2人の出会いで世界を救う話とすると、『天気の子』は2人の出会いが世界を壊す話だ。

「一人をとるか、世界を取るか」という究極の選択は、古今東西、多くの物語の登場人物たちを悩ませてきた。

ただ一人の命のために世界を犠牲にする行為は、美しいだろうか、それとも愚かだろうか。

無論、命に上下の区別はないけれど、一人のために、そのほか大勢が犠牲になるとしたら。逆に一人が生贄になって、そのほか大勢を救うとしたら。
前者は破滅の愛の物語になるし、後者は悲劇の英雄譚だ。どちらがより美しい物語なのだろう。

愛する一人か、それとも世界か。
答えは出ない。

けれど壊れた世界で笑うその人の美しさが、「これで良いんだよ」って伝えてくれている気がする。


主題歌で歌われることには

『それでもなおしがみつく 僕らは醜いかい
それとも、きれいかい』
『愛にできることはまだあるよ
僕にできることはまだあるよ』

だそうだ。

醜くても美しくても、正しくても正しくなくても、まだやれることがある以上、今日を直向きに生きていくしかない。


映画館を出てもまだぽつぽつと雨が降っていた。
東京の梅雨はまだ明けない。





今回の作品は

『天気の子』/新海誠
『愛にできることはまだあるかい』/RADWIMPS

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