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どのようにシニア人材の意識変革が起こったか?/石井裕美子さん(コカ・コーラ ボトラーズジャパンビジネスサービス株式会社 人事&ケーパビリティ開発部 ケーパビリティ開発課 課長)

石井裕美子さん プロフィール

コカ・コーラ ボトラーズジャパンビジネスサービス株式会社 人事&ケーパビリティ開発部 ケーパビリティ開発課 課長
約10年人事採用業務を経験、1,500人以上のキャリア面談や転職サポートに携わった後、社員のキャリアを一緒に考えるための「キャリア相談室」を新規開設し、室長に就任。
2019年6月に現職に転職し、人材開発・組織開発を推進すると共に、企業内キャリアコンサルティングの導入に力を入れている。
社員のキャリア面談を年間約300件以上実施。
個人事業主としてもキャリアコーチングや人事コンサルとして活動中。

(豊田)
こんにちは!スパイスアップ・ジャパン代表の豊田圭一です。

「人事」のHRと「トランスフォーメーション」のXを掛け合わせて「HR-X」と名付けた当チャンネルは、「トランスフォーメーション人材で組織を変革する」をスローガンに、「人事」と「トランスフォーメーション」、つまり「変革」というキーワードで様々な取り組みをしているゲストをお迎えしてお話を伺っていきたいと思います。

今回のゲスト、Ms. Xにはコカ・コーラ ボトラーズジャパンビジネスサービス株式会社の人事&ケーパビリティ開発部の石井裕美子さんをお迎えしました。
石井さん、こんにちは!今日はよろしくお願いいたします。

(石井さん)
こんにちは!今日はよろしくお願いいたします。

(豊田)
まずは自己紹介をお願いできますか?

(石井さん)
私はですね、転職してきて今の会社3年弱ぐらいになるんですけど、3回転職しているので4社経験していまして、メーカーとは全然違う業界にいました。
今のメーカーの会社に入った時に、こんなに自社に対して愛がある会社に驚いて、やっぱり会社を何とかしたいよくしたいと思ってる社員が多いので、その人たちが働きやすいとか、誇りを持って働けるような会社を作っていきたいなっていう風に思っています。

会社が抱えていたシニア人材の課題感

(豊田)
いや、もう何か自己紹介から素敵ですね!
今回、石井さんには「どのようにシニア人材の意識変革が起こったか?」というテーマでお話を伺おうと思っているのですが、そもそも貴社ではどのような課題感がありましたか?

(石井さん)
はい、2018年に東西の2大ボトラーが統合して、そこからかなり組織変革を続けているんですね。
今回お話させていただくのが、「カスタマーコンタクトセンターサービス部」という電話営業する部隊なんですけども、その部隊で営業のコスト構造を変革するために変革型のリーダーを育成していくっていうところの取り組み、そこが本当に急務で課題感を持って取り組んできました。

(豊田)
実際、今回シニア人材のってところですけど、シニア人材の自律的な行動とかを阻んでいたものって何だったんですか?

(石井さん)
そこはですね、心理的な要因がすごく大きいかなと思います。
やっぱり今まで自分で会社を変えていくとか、結構気概を持って取り組んできた方なんですが、組織も変われば環境も変わればっていうところで、どうしても目標に対しての諦め感とか、今までだったらどちらかというと中小企業が合体して大きくなった会社なので、今までは経営に意見が通っていたのですけど、なかなか自分の意見が通らない中で、そのやらされ感というようなモチベーションの低下という心理的な要因が大きかったかなって思います。

(豊田)
それってやっぱり組織が大きくなったら起こってくるじゃないですか。
それを解消するためにどんな取り組みをしたんですか?

(石井さん)
やっぱり自分たちの会社は自分たちで変えていくんだと。
そのためにはやっぱり目的とか意義の浸透っていうところが大事だよなっていうところを部門長と徹底的に会話をしました。
それで部門長と一体となってプロジェクトを立ち上げて、リーダーを巻き込んで一緒に改革を進めていったっていう感じです。

(豊田)
シニア人材って言葉を使いましたけど、シニア人材とかリーダーって会社によっても年代も違うじゃないですか。
貴社の場合はどの辺りの年代だったんですか?

(石井さん)
今回、平均年齢は52歳でした。

(豊田)
52歳ってすごいですよね。

(石井さん)
その中に60代の方もいらっしゃいまして、リーダーとしてメンバー20名弱を管理しているような方と一体となってやってきました。

(豊田)
その取り組みの中身をお聞きしたいんですけど。

(石井さん)
取り組みとしては大きく3つありまして、1つはですね、最初どうしてもやらされ感っていうものがあったので、その意識を変えていくために「自分たちならやれるんだ」って思えるような状態を作るためのトレーニングをしました。
これは豊田さんにご協力いただいてやりました。

(豊田)
そこは私が担当したところですね。
ありがとうございました。

(石井さん)
その後はやっぱりリーダーたち、自分たちで手を動かすというよりも、組織のメンバーがいかに自律的に動くかっていうところが大事なので、リーダーがそのビジョン、夢って私たち呼んでるんですけども、夢を自分の言葉でメンバーに語り続けるっていう活動をやっていきました。
最後にですね、企画や会社から言われたことではなく、現場目線で自分たちがいいと思った営業の企画を自分たちで考えて実行していく、この3つをセットでやってきました。

(豊田)
結構なチャレンジじゃないですか。
私もちょっとだけ1のところに関わらせていただきましたけど、一番最初に平均年齢52歳の皆さんお会いした時ってちょっとネガティブな空気感というか、「おいおい、何をやらされるんだよ」っていう空気感がありましたよね。

(石井さん)
ちょっとだけありましたよね。

(豊田)
その前ってどういう風に彼らをこう巻き込んだんですか?

(石井さん)
ただですね、1対1で話してるとものすごい想いを持ってるんですよ。
本当はやりたいけど、どうしたらいいか分からないとか、組織が大きすぎて、自分たちがどこまでやっていいか分からないっていうような思いを抱えていらっしゃったので、そこは部門長と一緒にプロジェクト化をして自由に動けるような状態を作っていくっていうことをやってきました。

(豊田)
実際の彼らはトレーニングの中でだいぶ変わりましたよね?

(石井さん)
いやー、変わったと思います。

(豊田)
実際石井さんの目から見てどうでしたか?
年上の人たちが多いですけれども、でも我が子のようにっていうか、その変化が見えるわけじゃないですか。
実際どうでしたか?

(石井さん)
何でしょう、本当にリーダーとして想いのある方なんですが、やっぱり私たちよりもちょっと世代は上の方なので、やっぱり一昔前だと引っ張っていくリーダーっていうのが求められていましたよね。
なので部下に弱みを見せちゃいけない、そんな風に思ってたところを、弱み見せていいんだと。
自分が辛いこととか何か思っていることとか、今後何もしなければ自分たちがマイナスになるだけだよ、とかっていうところを本当に何か自分の言葉で語り始めた。
何かすごく私は格好良いなって思いました。

(豊田)
私、画面上で石井さんが泣いている姿を見ましたから。

(石井さん)
「会社が」じゃなくて、主語が「自分」になったんですよね。

(豊田)
それまでは「会社が」でしたもんね。

(石井さん)
なんですけど、自分の夢、メンバーの夢のために自分たちが今何をするのかっていうことを語り出したっていうのが大きな変化だと私は思っています。

(豊田)
僕は自分で研修を提供していて、こっちがグッと来るってなかなかないんですよ。
おい、大丈夫か?って自分で思っちゃったぐらいでしたけど、それぐらい変化しましたよね。
彼らもすごく大きなチャレンジをして頑張ったんだろうなと思いますけど、彼らを頑張らせたのはその部門長であり、石井さんのサポートだったと思うんですけど、やっぱり大変でした?

(石井さん)
大変でした。

(豊田)
どんな想いで伴走していったんですか?

(石井さん)
正直ですね、最初はなかなか変わらないところに私ももやもや感を抱えながらやっていたんですけども、トレーニングの中で1人1人コーチングをさせていただくっていう機会があったんですね。
その中で過去にどれくらいチャレンジされてきたのかとか、どれだけメンバーの想いを持ってるとか、家族の想いを持ってるとか。
あとは60代の方もいらっしゃったので、最後自分が恩返しをするんだっていう想いを聞いたら、私も一緒に営業目標を達成するために何かできないかなっていうような思いに自分自身が勉強になりました。

「弱さ」を見せられるのは「強さ」

(豊田)
でもやっぱり人の意識とか行動を阻んでいるもの、特にその行動を阻んでいるものって、心っていうか気持ちですよね。

(石井さん)
そうだと思います。

(豊田)
だからやっぱりそれが変われば、行動も変わって、行動が変われば結果も変わるってよく言われてることだけど、それを何か目の当たりにする瞬間だったなっていう風にすごく思いますよね。

(石井さん)
いやぁ、本当ですね。

(豊田)
先ほど石井さんが仰っていた、リーダーは強くなきゃいけないってやっぱり年代的にもそうなのかもしれないけれども、多くの人が思ってるところじゃないですか。
だからやっぱり私も研修を提供しながら「弱さを見せていいんだよ、弱くてもいいんだよ」ってことはもう何回も何回も伝えましたけど、あれは1つ響いた言葉になりましたかね?

(石井さん)
めちゃくちゃ響いていました!
対話すると繰り返し出てきますね。
弱さを見せていいっていうことで、自分がリーダーとしてすごく気持ちが楽になったと。
だから弱さを見せながら、自分が引っ張っていくんじゃなくて、メンバーと共に一緒にやっていけばいいんだっていう風に何かこう本当に気持ちとか意識っていうのが変わって行動されてるなっていう風に思います。

(豊田)
弱さを見せられるって、強さじゃないですか。

(石井さん)
本当そうですよね。

(豊田)
だから彼らは多分強くなったんだろうなと思って、多分それは彼ら自身も実感してますよね。

(石井さん)
そうだと思います。

(豊田)
今、組織全体もそうやって空気変わってきて、年下の皆さんへの影響はどうですか?

(石井さん)
そうですね、本当に少しずつですけども変わってきまして、リーダーたちがサーベイを取った結果なんですけど、約半数のメンバーが自分の夢に向かって行動を始めているという風にはなっています。

(豊田)
そうすると会社全体も変わってくるけれども、石井さんにとっての次の課題感とか次のアクション、その彼らに対してもだし、それ以外のメンバーに対してもってその辺って今どんな感じですか?

(石井さん)
はい、ありがとうございます。
やっぱり自ら行動するために、やっぱりいつでもどこでも情報が取れる状態が私は大事なのかなって思っているんですね。
やっぱり組織が大きいので、たくさんのノウハウとかたくさんの事例の共有はあるんですけど、それを誰が持っているのかが分からなかったり、誰に聞いていいか分からないっていうことがまだまだあるのかなと思います。
それをいつでもどこでも誰でもを検索できて、そして自分で情報を取りに行って何か気軽に人と繋がり、一緒にプロジェクトを進めるとか、会社を良くしていけるような状態にしていけるといいなって思ってます。

(豊田)
今まではロケーションが離れてたから共有できなかったようなことが、研修もオンラインでやったし、オンラインでここまでできるんだってなると共有はしやすい環境になりましたよね。

(石井さん)
本当にそうですね。
今回研修をやっていただいて、今まで桶川、名古屋、大阪、福岡の4センターはリーダー同士ほぼ知り合いではなく、顔や名前を知っているぐらいだったところが、本当にお互い相談できる状態になったので、そんなところをもっともっと繋いでいくと、多分私がいなくても彼らがお互いにノウハウを共有しながら、自分たちで組織を変えていくっていうところによりジャンプアップするのかなって思っています。

(豊田)
オンラインでも同じ釜の飯を食うっていうのはできるんですね。

(石井さん)
はい、そうですね。

ミドルマネージャーたちの課題感

(豊田)
シニアの下の世代のミドルマネージャーたちですかね、彼らに対してはまた別の課題感ってありますか?

(石井さん)
そうですね、課題感は結構モチベーション高く、KPIとかも達成をしていますと。
多分会社やリーダーから言われたことをもう自分で考えながらやっていくっていうところは彼らは得意だと思うんですよ。
でもそこから一歩飛び出してKPIが達成しても売上目標が達成しなければ意味がないので、今までの成功事例ってもう関係ないと思うんですよね。
本当にありとあらゆる社内のノウハウじゃなくて、もう社内のいろんな人に情報を取りに行って自分でありとあらゆるチャレンジをしていくようなことをもっともっとしていけるような状態を作っていけたらいいなって思ってます。

(豊田)
本当それができないと、目的と目標が混同しちゃうっていうか、目標を達成したけど目的を叶わなかったら意味がないっていうそこですよね。

(石井さん)
本当そうですね。

(豊田)
まだまだ石井さんのチャレンジは続くと思いますけど、私がいなくなってもじゃないと僕は思っていますけど、チャレンジは続くと思いますが、その後どうなっているかってことを色々また教えていただきたいなと思っています。
今日はありがとうございました。

さて、HR-Xではこれからも「人事」と「トランスフォーメーション」というキーワードで、様々なゲストをお呼びしてお届けしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
石井さん、今日はどうもありがとうございました!

(石井さん)
ありがとうございました!

豊田圭一(株式会社スパイスアップ・ジャパン 代表取締役)
上智大学を卒業後、清水建設に入社。約3年の勤務後、海外留学コンサルティング事業で起業。以来、25年以上、グローバル教育事業に従事している。
現在、国内外で「グローバルマインドセット」や「変革マインドセット」を鍛える研修を実施する他、7ヶ国(インド、シンガポール、ベトナム、カンボジア、スリランカ、タイ、スペイン)にグループ会社があり、様々な事業を運営している。
2018年、スペインの大学院(IE)で世界最先端のリーダーシップ修士号を取得。
2020年に神田外語大学グローバル・リベラルアーツ学部の客員教授に就任。
著書は『とにかくすぐやる人の考え方・仕事のやり方』『ニューノーマル時代の適者生存』など全19冊。
早稲田大学トランスナショナルHRM研究所の招聘研究員、内閣府認証NPO留学協会の副理事長、レインボータウンFMのラジオ・パーソナリティも務めている。

豊田が2020年6月に出した著書『ニューノーマル時代の適者生存』

株式会社スパイスアップ・ジャパン
 公式ウェブサイト  https://spiceup.jp/
 公式フェイスブック https://www.facebook.com/SpiceUpJP/

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