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ひらめき☆マンガ教室/提出作品への香野コメント(課題2:ネーム)

お待たせし過ぎで申し訳ない。受講生のみなさんがものすごい勢いで描き上げている間に、パスワードが紛失したり引っ越ししたり、色々あって遅くなりました。聴講生で参加している「ひらめき☆マンガ教室」の提出作品へのコメントです。

今回の形式は、書評によくある「初読/再読」でみなさんのネームにコメントします。少しでも読みやすくなるかと思ったのです。が!しかし!

noteに清書したら恐ろしいことがわかりました。1万9000文字を超えているようです。もうやりません、ごめんなさい。。。

ところで、わたしは広告業界のすみっこでディレクターという仕事をしています。マンガや書籍に特化している訳ではないのですが、編集のような仕事です。自分でプランニングをしたり資料を作ったりプレゼンをする以外に、というか毎日のほとんどを「この仕上がりでクライアントは満足するか、ユーザーにクライアントをイイって思ってもらえるか」という観点で過ごしているわけです。仕事モードがオフにならずに書いてしまう。それはきっとマンガが商業クリエイティブだから。

同期の受講生(=作者)のみなさんにお願いしたいのですが、下記はひとりの読者としての感想です。ものの言い方が偉そうなのでややこしいと思いますが。「こう思っている人もいる」というぐらいの気持ちで読んでください。

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蝶々ひらり 「fetishism」

初読:デアーズってなんだろ?
再読:マッチングアプリのことでしょ。
初読:スマホのAV配信かと思ったんだ。ファミレスの格好するとか。
再読:「出会い系」って言ってるんだからちゃんと読め。
初読:フェティスズムといえばAVっぽくない?
再読:出会い系だと軽いってことね。フェティスズムという言葉に対して。
初読:そうそう。タイトルからの連想が難しい。
再読「トラウマ」と「フェティスズム」そして「性癖」。
初読:パワーワードがたくさん登場するんだけど、必然性が感じられない。
再読:タイトルのフェティスズムの回収が難しいよね。
初読:いわゆる濡れフェチとか汚れフェチってこと、ではない?
再読:うーん、主人公の性癖がいまいちわからないんだよね。
初読:汚いものを見るとときめいて衝動が止まらないっていうことなのでは。
再読:でもさ、最初に先生にときめいて攻撃しちゃうのって汚いからではないよね。
初読:たしかに。主人公の行為だけを拾うと、割と普通の欲望の発露かも。
再読:ところでさ、トラウマって、認識したら「トラウマ」って呼んでいいんだっけ。
初読:んーどうなんだろ。モノローグの言葉選びって大事だね。
再読:「え、それは違うのでは」という引っかかりがあると、「きもちわるい」から始まる感情のクライマックスに乗り切れない。表情はいいのに。
初読:でもさ、そもそも主人公は自分自身を汚いって自覚してるのかな。
再読:思い始めてるんじゃないのかな。だから余計に「きもちわるい」。


五月十三日 「やさしくなりたい

再読:セックスしようと思わないなら付き合うなよって話ですよ。
初読:いや、再読の感想を……。
再読:この人が「性欲ってよくわからない」というなら構わない。けど!
初読:別にハゲは好みじゃないけど、この人とはなぜかキスしたくなる瞬間。それがなかったら付き合えないですよね。
再読:つまり、2人だけのデートシーンがあった方がいい。
初読:ボランティア先の花見って、ダブルデートですらないですね。
再読:美醜の問題は泥沼になるの目に見えるから、むしろ「ドン子と付き合ってる自分最高」とか、もっとサイコパスな展開にしてほしい。
初読:川に飛び込むのが唐突に感じます。
再読:何度読んでも、そこまで絶望してない気がする。
初読:そもそも、セックスの件って今日初めて気づいたんですかね?
再読:お互いに私物を持ち込んでいるんだから、それまでに何もないはずがない。
初読:あ!何気なくドン子が誘っているのに主人公が気づかなかったとか。
再読:よく聞く、男女のすれ違いですね。
初読:ベッドシーンでお別れを切り出されるのも本当っぽいですよね。
再読:自信たっぷりだったのに「勃たない」とか。
初読:なんてダイレクトな!
再読:ていうかドン子、都合のいい女にならないでほしいですね。
初読:主人公については……
再読:うーん。もっと世の中に必要とされていない感があれば感情移入できるんだけど。
初読:この人、割とイケメンなんですよね。少年マンガ特有の。
再読:徒競走で「3着」って「器用貧乏」のネタにはなりそうだけど、不安まで感じなさそう。
初読:どうせだったら、自分が入ったから負けたって毎年言われるとか。もうちょっと強烈にしてほしい。



相野ココ 「かわり」

初読:タイトルがちょっとストレート過ぎるかも。
再読:ネタバレしない、ポップな感じ…「ママレード・ボーイ」とか「いちご金時れもん味」的な。
初読:双子だったら「ミントな僕ら」ではないの?
再読:これ姉弟だけど双子じゃないんですよ。ちゃんと読んでね。
初読:うっ。どちらにしても、そのタイトルって20年〜30年前ですけど。
再読:その時代の少女マンガ的な雰囲気がしませんか?2019年の少女マンガで未成年と社会人ってヤバいんじゃ。
初読:えー、この設定で鼻血が出るならいいんでは? 商業誌じゃなければ。
再読:BLを消費したい層じゃなくて自分ゴトとして読みたい層に届きそうだから、もったいないなぁと。基本的に上手いので、あえてそっちの線で、考えてみたい。
初読:そういうことなら……。わたしは時間の経過が早過ぎるなと思いました。
再読:悠馬くんも徹くんもせっかちだよね。
初読:クラスの子に「彼女」がいるんだって話をするたびに胸が痛いから、思わず声を荒げるのならわかるんだけど、どうして「時間がない」んでしたっけ?
再読:明言されてない。姉のことがハッキリする前に、なのか。徹くんが転勤するってわけでもなさそうだし。
初読:場面転換が多いのかな。
再読:それもあるけど、徹くん含めて、すべてを急ぎすぎているのではないかと。
初読:たしかに両親への挨拶にまで話が及ぶのは、せっかちかも。
再読:まだ悠馬くんは、両親に……いわゆるカミングアウトをしていない気がする。
初読:両親は悠馬くんを「何も知らないボウヤ」として扱っていますしね。
再読:姉のことぐらいちゃんと話してやれよ、という。
初読:徹くんて自分のことで忙しいですね。
再読:「何年かかっても」「いつの日か」「待っているよ」ぐらいがちょうどいいのでは。
初読:リアリティがなさ過ぎるのはちょっと……。
再読:つまらないところで引っかかったらもったいない、かなぁ。


ねりけし 「ケイブスイミングに行って来ました」

初読:笑った。腹筋痛い。
再読:「普通の日常 最高かよ」は何度読んでもいいですね。
初読:洞窟の描写が、怖くて面白い。怖白い!
再読:テンテンかよ!「花さか天使」のほうね!幽玄道士でもナルトでもなくて。
初読:キャラクターが体験してるのがかわいくて許せる。
再読:人だと、生々しいから……。
初読:ガイドさんもキャラクターになってて欲しいな。
再読:後日譚ですが、焼肉と温泉のくだり、いるのかなぁ。
初読:ほのぼのしてて良いのでは。
再読:ずぶ濡れでも達成感&自然のパワーすごい!からの→筋肉痛が!だけでもいいかも。
初読:うーん。
再読:もしくは、焼肉とビールで消費カロリー以上に摂取したぜ!とか。
初読:オチは1回でいいってこと?
再読:「普通の日常 最高かよ」に続くから……「温泉と焼肉」って非日常っぽくない?
初読:へりくつ?
再読:いや!そうじゃなくて。ちょっと運動したら筋肉痛になるとか、ついつい運動したからって食べすぎるって「あるある」じゃないですか。そう言う方が「日常っぽい」かなぁって。
初読:たしかに。
再読:筋肉痛で寝てたら、金縛りにあって暗闇の夢ばかり見たとか。
初読:そこまでいくとフィクションかもだけど。
再読:この作品はフィクションです。でしょ?



ささやか「中2のヘウレーカ」


初読:爽やかな友情。
再読:BLじゃなくてもいい。白泉社的なやつで。
初読:学園モノって、かりそめの自由がいいよね。閉じられてるのに伸びやかであること。
再読:そうだね、ジャングルじゃなくて植物園とか花園の美しさ。
初読:この二人にも、そういう部分を感じますね。
再読:些細なことで世界は広がる感じが、思春期と似合う。
初読:ただ、「つぶ」を感じる見開きのコマよりも、横顔の方が印象的ですが。
再読:見開きで「つぶ」を感じるにしても、空間が狭く感じる。奥行きが欲しい
初読:ここだけ主人公の思念が外に出ていくとか?
再読:それもあるけど、何かにズームアップして分子レベルまで分解されていくとか。
初読:見開きだから教室全体を映しつつ、そういうことが言えると?
再読:うん。しかも、1見開きですべて言おうとしなくてもいいのかなって。
初読:8Pで決めなくてもいいのかも。
再読:うん、分量と締め切りの問題があるなら、プリントのくだりを外すとか。
初読:たしかに。中高生は勉強するものだからね。
再読:テスト前に教えてもらう→感動→「結局テストは赤点だったけど」で終わるとか。
初読:これだけでテストが完璧になるってのもちょっと胡散臭いかも。
再読:うん、出来すぎてしまうね。


由多果 「ミサキくんが見てる。」

初読:ミサキくん怖い。
再読:でもカッコいい。
初読:藤枝ちゃんが強く出られる子でよかった。そして愛されていてよかった。
再読:声が大きい男子の「女子なら毛ぐらい剃れよ」って怖い。どんだけの権限があって学校生活をぶち壊してくれるんだっていう。
初読:藤枝ちゃんに殴るという選択肢があるので、深刻にならないのがいい。
再読:そういえば少年マンガで「女じゃなくて私を見てくれた」って通用するのかな。
初読:通用してほしいですけどね。
再読:むしろ、そういう価値観も入れていってほしいです。
初読:「強いけどやっぱり女の子なんだ」じゃなくてね。
再読:それはそうと「脇毛はNGなのに眉毛フサフサなのはOK」って現実味あるかな?
初読:男子はモードっぽい眉毛は嫌いって聞くけど…。
再読:うーん、ミサキくんはそこが好きだけど、中原くんは違う気がする。
初読:そうだね、報われない中原くん。
再読:最初に感情の爆発をくらったのに、殴られ損。
初読:あ。2回あるのか。
再読:1回目の爆発の余韻で読ませるというより、2回の爆発があるなって感じてしまうね。
初読:この2回で1つのセットになってたらいいのかも。
再読:余震と本震。
初読:もしくは2ノックダウン。
再読:決定打は2回目に来てほしいってことですね。


景山五月 「誰そ彼」

初読:読者は、試されている。そういうことかな。
再読:いろんな方向で想像ができるマンガは贅沢。
初読:でも一瞬、どの方向なのか迷いが生じる。
再読:これはテーマでくくられないと理解が難しそう。
初読:テーマ雑誌とか?
再読:マンガではあまり見ないけど「アンソロジー」的なものとか。
初読:ときに、「ポケモン」て実名出していいのかな。
再読:権利問題?
初読:いや、なんか急に世界が狭くなる。
再読:あぁ「グリードアイランド」的な、架空のゲームの方が象徴的になるかな。
初読:ていうかMacのライブ変換すごくない?グリードアイランド一発変換だよ。
再読:違うからそれ、gleeと勘違いしてるだけ。スペルミスだけど勘違いしちゃってるだえけ。
初読:チッ。久しぶりに明るいMacの話題だったのに。勘違いといえば、この話のズレかた半端ない。
再読:どれが「ほんとう」なのかわからなくなるね。
初読:「誰そ彼どきには、何かが起きるーー?」みたいな煽り必要なんだろうか。
再読:うーん、でもそれは意図とは違うと思う。
初読:モノローグである程度匂わしておくとか、ですかね。
再読:超細かいんだけど、3ページ目の2コマ目、トモの顔がホクホクしてほしい。
初読:少年時代とシンクロさせたい?
再読:そうそう、トモはたっちゃんと一緒にいられるだけで楽しいんだよ。


中山懇「ニノ腕ととんかつ」

初読:いやあ、最初「マジ」のやつかと。
再読:たしかに16ページで描ききれるのか不安になりますよね。
初読:裁判とかになったら公判手続きでページ終わっちゃいますよ。
再読:逆転裁判!
初読:言ってみたかっただけでしょう。
再読:バレたか。
初読:こんな感じなので、最初に何やってるのかわかった方が安心するかも。
再読:「性癖マッチング社」にオチることよりも、男女のやりとりが重要だし。
初読:ネタバレ問題というか、最初出しても大丈夫ですかね?
再読:あくまで「性癖マッチング」は世界観の前提であって、一番伝えたいことではないはず。
初読:むしろ、どんな性癖なのか興味わいてくるね。
再読:そうそう。出てくる性癖がぶっ飛んでいるから、ネタバレしても問題ない。
初読:しかも、あくまで「マッチング」なのでフィフティフィフティなのがいいですね。
再読:男女どちらも求めているという設定。
初読:そういえば、二の腕を触りたいっていうのは定番化してますけど。
再読:都市伝説じゃないのかなぁ。
初読:そういえば、どうしてこの会社が必要なんだろう。
再読:やっぱり愛を守るためじゃないですかね。
初読:あぁ、こういう発想をしがちな世の中に対してのカウンターであると。
再読:そういうことですよ、ナンセンスギャグなんだから。



暮介 「蜘蛛女」

初読:ナイフを手に入れた瞬間に、送り元がくり子かと思った。
再読:確実に失敗しそうなんだよね、この子。
初読:先生に見つかって保護された方が、まだ救われそう。
再読:人生甘くないね。
初読:見つかっても、あれだよ。くり子が出てくるんだよ、きっと。
再読:「先生〜」ってナオンの涙を見せながら。
初読:そうだよ、甲斐甲斐しく面倒見るんだ。かわいそうな小夜。
再読:練習のくだりよりも、周りが愛せば愛するほど苦しいところがもっと見たい。
初読:感情を爆発するまでの、グツグツいってる感じですかね。
再読:このキレたところ、めちゃくちゃいいと思う。
初読:怖いよね。ナイフじゃなくて体術でオチるし。
再読:蜘蛛女って一人なのかな。お母さんも蜘蛛女かと思った。
初読:まぁそうだよね。自分は通報しなかったわけで。
再読:自分も弱かったから弱い男に負け続けたのだ、という自己否定もあるよね。
初読:こういう離婚になると、片親のせいにしがちだけど。
再読:自分のことがかわいいから。
初読:正直しんどいよね、聞いてるだけで。
再読:うーん。あ!小夜の敗因がわかったよ。体術習得してないじゃん、この子。
初読:え、そういうことだっけ?
再読:無意識に負けることを選んじゃってるんだろうね。だから「ハッピーエンド」。
初読:ハッピーエンド……でいいのかな?
再読:あくまで小夜にとっての、だけど。だからその異常さがわかるコマが最後に欲しいかも。
初読:モノローグでも、トーンの選び方で変わりますよね。むしろおどろおどろしいのに、「好き」と告白している方が鬼気迫るものがあるかも。


グヤグヤナンジ「マチルダ」


初読:泣ける準備ができてたのに。
再読:予想に反して、突然星新一みたいだよね。
初読:なんの探索なのかわからないけど。
再読:しかも、どうしてマチルダって名付けたんだろう。
初読:謎といえば、主人公の正体。
再読:大学に行ってるらしいのが中盤になってわかるけど、小学生かな?とか思った。私服だし、近所に住んでるって感じが。
初読:「それは大学2年の夏」とかモノローグつける?
再読:自主休講してフラフラしてたらマチルダと会うとか。
初読:自主休講……懐かしい。
再読:サトって健気だね。
初読:好きじゃなかったら、距離置くよね。こんな感じだったら。
再読:サトがマチルダを殺したとかじゃなくて本当に良かった。
初読:この主人公の涙って、「安堵」なのかな。
再読:「もう会えない」のと「無事で良かった」が入り混じってるとか。
初読:この状況を受け止められるのすごいよね。
再読:大事件だよね。地球外生命体。
初読:小学生だったら「そういうこともあるのか」って思うかもだけど。
再読:大学生だもんね。素直に受け入れられるのかな。
初読:いや、それはSFだから……。
再読:この不条理感が世界観作ってるね。
初読:SFファンが怒らないといいいなと思うけど。
再読:うーん。もはや、マチルダがいろんなところに出没する話だったらいい。
初読:主人公がいろんな地球外生命体と出会うとか。
再読:そして地球人の感情の発露パワーを集めていく……!



拝島ハイジ「涼子ちゃんの話」

初読:これすごい。最初は「なんで涼子ちゃんの話」なのかわからないけど。
再読:道徳の時間に使ってもらえないけど、こういう話を子どもは読んだ方がいい。
初読:主人公も涼子ちゃんも、どっちも辛い。
再読:現実はこういうことの積み重ねだけど……。
初読:ほろ苦い読後感っていうマンガがあってもいい。
再読:絵の感じとか、この毒っぽさが「MIND ASSASSIN」を思い出すけど。
初読:むしろ、かずい君に出てきてほしいよね。
再読:記憶、消してあげて……。
初読:涼子ちゃん、このあとで、ちゃんと大人になれるかな。
再読:主人公は、なんだかんだ行って大丈夫そうだよね。
初読:心にシミはできてるけど、まぁどうにかなる。
再読:もとは主人公の出来心だからね…。
初読:たまには救いのない物語も、いい。


とき ところ「ペイン&」

初読:わたし、痛いの苦手で。ずっと痛い感じがしてました。
再読:彫り師の日常ってあんまりないですね。
初読:しかしこの作品はきっと、好きな人は好きですね。
再読:このネームを読みながらSとMを考えると、Mの人って本当はSで、Sの人は本当はMなのではと。
初読:はい?
再読:Sって、「ほうら痛いだろう、痛いだろう」ってところに快感を覚えるけど、何も感じなかったら快感を覚えられないですよね。
初読:あぁ……。
再読:MはMで、「いじめられ方がまだまだ足りない」って欲しがるのだから、どこまで人間が意地悪になれるか知っている。
初読:んん……大丈夫ですか?
再読:2回読んだら、本当に苦しくなってくる。だってこの人たちの日常、多分しばらくこう着状態だよ。
初読:月1で会うんでしょうか。
再読:絶対そうですよ。
初読:地獄の蓋を開けてしまったね。


飯島健太郎 「松屋でごちそうさまでしたって言うの難しすぎ問題」

初読:思い込みで物語が進むパターンです。
再読:終始妄想じゃなくて、隣の人の良心に心を動かされるの、いいです。
初読:でも、本当にあるあるなんですよね、これ。
再読:ダメージ少なくて済むから、店出る寸前に言うようにしてる人の話聞いたことあります。
初読:松屋に限らなくて、食券制のところってこうなる。
再読:いろんな食券制のところで試すシリーズ化の予感。
初読:こだわりラーメン屋さんの器は上げて戻すのが正解?とか。
再読:死ぬほど悩んでたら、顔の怖い大将が「どうぞそのままで」って言ってくれるとか。
初読:ギャップ素敵!
再読:そういう意味でいうと、この作品はサラッとしてる気がします。
初読:いい話でまとまってるのでは。
再読:主人公の心情が変わってるはずだから、お店を出た時に表情をクローズアップするとか、何か印象づけられるとグッとくるかなと。

静脈「カルデラ」

初読:めちゃくちゃ泣ける。のに笑える。
再読:「生きるのが辛い初ガツオ」
初読:マンガじゃないとできないですね。
再読:小説だと、伝わらないですしね。
初読:笑わせるネタが変わるでしょうね。
再読:定番のコントやってる途中で泣き笑いするとか。
初読:この「カツオ」の「ビクンビクン」してるところが、すごく力がある。
再読:映像でもちょっと難しい。
初読:大人になりかけているところの難しい年頃感が、ぎゅっと詰まってる。
再読:妹の病気、死まで入ったら、お腹いっぱいになりそうなんだけど、ちょうどいい配分になっている。
初読:かと言って、「バランスタイプだね」という、ご都合主義にも見えない。
再読:「よくある話」にならないで済むのは、この少年たちの笑いのツボが狂ってるからかも。
初読:このネタを再現されてほんとうに面白いかどうかはわからないんですよね。
再読:この教室の中だけで生まれる連帯感とか。別世界が流れている。
初読:ところで、タイトルはこれで良いのかな。
再読:カルデラ……破壊された跡地と言うことでは。
初読:教室であり、主人公や西園寺くんの心であり……ですね。

かいじる 「今日の出来事」

初読:やっぱり、舌ピアスって飲み込んじゃうんですね。
再読:舌ピアスする人なら、そのまま出てこなくても気にしないでほしいとか思います。
初読:口内炎できたぐらいで大騒ぎしそう。
再読:この覚悟じゃ、スプリットタンはできないね。
初読:姉も舌ピアス空けてるけど、なんか「姉貴が空けるなら空ける」とか言ってそう。
再読:妹がナメた感じでかわいいね。あれ、弟かな?
初読:アメコミ風だけど、日本のマイルドヤンキー風な感じで楽しい。
再読:ただ、いちばん気になるところが出ていない。
初読:どのように出てきたのか、という画ですね。
再読:見たいわけじゃないけど、もうここまで出したら、見せて欲しい。
初読:そのものを、ですか???
再読:いや、そこまでは……。ただ、晴れ晴れした顔とか、そういうのがないと、感情の爆発っぽくないんですよね。
初読:クライマックスがよくわからないかも。
再読:犬にご飯あげている時につぶやいて、それがクライマックスでもいいですけどね。
初読:タイトルは「今日の出来事」がベストなんでしょうか。
再読:1日でいろんなことが起きるのでははないから、むしろ「3日間」とかでもいいかも。

ハミ山クリニカ「あの子がトマトを食べたなら」

初読:巨大化した…食べられちゃった…。
再読:昔は非力で弱くて。助けたかったのに助けられなかった、でも今なら!って気持ちにキュンとくる。
初読:こういうヒーローがいてもいいなって思う。
再読:前半で丁寧に描かれていた気持ちが、後半に振り切れ過ぎ?とは思うけど。
初読:初見で読んだらリズムがいいんだけどなぁ。
再読:不条理ファンタジーなんだけど、ナナちゃんのこれからって「救われてなくない?」って。
初読:助けてくれたけど、それで終わり?という部分かな。
再読:巨大化が始まる前までの部分が良いだけに、その部分をふまえた展開にしてほしいなって思う。
初読:宗教的なものや家庭問題というガラスの牢獄から出たい人の「スカッとする」気持ちよさは好きだけどな。
再読:もちろん、脱出させてくれる人がいたら素敵だし、ちょっといい感じの幼馴染だったら二重にうれしい。
初読:こうだったらいいのになって単純に思う。
再読:だからこれって、読む人の経験値に左右されるのかもですよね。
初読:あぁ、なるほど。
再読:ただ「不条理劇だったのか」というオチのために前半がある作品って思われてしまう可能性があるから、もったいないなぁって。

国分寺崖線「ラグビーワールドカップ2019」

初読:これ、パンフレットにしたいです。
再読:当日、非公式に配ったらいいですよね。
初読:どこからか「兵、走る」が聴こえてきそう。会場で盛り上がれるやつです。
再読:みんなが会社で配ったら、ラグビーファンが増えそう。
初読:会社にあるテレビで、パブリックビューイングできますね。
再読:細かいルールの説明じゃないんだけど、要点がはっきりしているから、わかりやすい。
初読:何のためにタックルされてもボールを持って走りきりたいのか、とか。
再読:前に進むのに前にパスしたらダメとか、よくわかんないですもんね。
初読:あれ?でも「アイシールド21」と格好が違いませんか?身軽な感じ。
再読:何言ってんですか、あれはアメフトですよ。
初読:あっ……。
再読:という感じで、解説マンガとして読めてしまう。
初読:なんでだろう?
再読:ラグビーってチームプレイなのに、プレイ中に誰も声を出していないからかな?
初読:モノローグもなくて、歓声だけなんですよね。
再読:最終的に主役がラグビーボールなのかもって錯覚がやってくる。
初読:モノ化するとか、そういう類の話ではないよね。
再読:だからやっぱり、主役であろうこの選手のパーソナリティが知りたいなぁとは思う。

kubota「スーパーマルチヒーロー」

初読:ファミレスとかカフェとか、いますよね。
再読:受託する方向で話がまとまった場合、その先が気になるんですよね。
初読:ついて行きたくなる。
再読:それにしても、「隊長」の成れの果てを見ても感謝できる少年が純粋すぎて。
初読:デキた子ですよね。泣ける。でもこれ、けっこう上の世代の読者を想定してますよね?
再読:まぁそこそこ、そうなりますね。
初読:主人公と同い年ぐらいの人が主要な読者だと、ちょっと違和感が出そう。
再読:確かに、小学生が、不良グループとは別のベクトルで年上の人とつるんで遊びまわるっていうの、かなり前に廃れてそうではある。
初読:宮台真司風に言えば、祝祭空間が確保されていた最後の世代も40代に差し掛かってるわけで。
再読:ずいぶん前に金田一少年も37歳だからね。だけど、それはもう、日本の原風景的なことなのかなって。
初読:真・新日本風土記ということか。
再読:程度の差はあるけど、子どもの頃の憧れとか、社会に出てスレちゃう部分とかは世代を越えると思う。
初読:構造的には、例えば「鬼平犯科帳」でもありえそうな、構造はクラシックですもんね。
再読:うん。でも個人的には、あの高級腕時計で変身してほしかったな。
初読:マルチ勧誘するヒーロー?
再読:そう。世界の平和を守るためにマルチマーケティングで人集めする……。次世代ヒーローっぽくないですか?


鴫原一起「PM11:00〜AM4:00」

初読:心の声の描き方に好感。
再読:わかる人には「わかるわかる」だし。そういう発想がない人は驚くだろうけど、めちゃくちゃ悩んでるんだなってことがわかるはず。
初読:人のことを考えすぎて、うわの空で聞いてる見た目になってて、会話が上すべりしてる主人公が愛おしい。
再読:だからこそ、そのうえで、「夜はまだ これからだよ」が必殺技っぽく効いてくる。
初読:実際は、もう夜明けなんだけどね。友人との関係を続けたい健気さがよい。
再読:ただ、このマンガの核心は、最後にある気がするね。
初読:「悩みなんてなさそうだ」ですか?
再読:どんなに思い切りぶつかっても、わかりあえるとは限らないとか。
初読:歪んでますなぁ。
再読:いや、やっぱりこの話の主題は、人間関係の危うさだと思うんだよね。こんな友人関係なら、結局終わってしまうだろうなって予感はするでしょ。
初読:そういうこと言うから友達少ないんでは……?
再読:人間関係は儚いものですよ。ていうかね、そこが「夜はまだ これからだよ」に現われてしまっている。
初読:というと?
再読:上すべりのクライマックスでわかりあえたような気にさせている。実はすれ違っていることに目がいかない。
初読:だからそれは……
再読:作者も、読み手も、どこかでコミュニケーションを信じきれていないから、そこに衝撃を感じ取れるのだと思うよ。


高井美雨「いちご★一会」

初読:人面瘡のネタは、色々ありますが。
再読:姫野カオルコ「受難」を思い出しましたね。
初読:ダメ女。
再読:人面瘡が女性器にできるという設定は、作者が「受難」を知っていたか知っていないかわからないけど、それはどちらでもいいと思った。
初読:世界が違いますしね。
再読:むしろここでは「新しい性病」ってことで片付けられてる。もはや謎ではなくて。
初読:そっか、できる場所は色々みたいだけど、基本的には、体の下の方にできる設定なのかなぁ。
再読:そんな気がするよね。顔はかわいいまま。
初読:この設定って、女の方が「あぁ」って受け入れる傾向にあると思う。
再読:それはやっぱり、自分の意志と反して月1のペースで血が出て来るからですかね。
初読:多分、男性が自分の男性器を想うより、他人感があるんですよね。
再読:「ファルス」の感覚を理解するのにも時間がかかる。
初読:あぁ確かに。女性器を女性は私物化できていない。
再読:それはともあれ、もうちょっと、この二人の表情が見れるとうれしいんだけどなぁ。
初読:無表情の魅力もあるけど。
再読:うーん、ただこれって「人面瘡なんていらないけど大人になる」って決意するわけで。それはもう、表情が……葛藤があった方がいいと思うんですよ。
初読:むしろ、いちごちゃんには、表情がないとか。
再読:例えば、ですけどね。何かしら違いがあった方がいいかなぁって。

碌縞ろろこ「きみを隠して死に続ける宇宙で」

初読:壮大な物語ですね。
再読:ろろこさんのオリジナル作品を初めて読めた。
初読:壮大すぎて、話が…
再読:「日々がはじまる…」から、感情の爆発までが短くて、いや仕方ないんだけど。
初読:短いなら、エピソードが強いといいですよね。
再読:すごい複雑系のことを始めようとしたら、3日で終わっちゃったとかどうでしょうか。
初読:ケヴィン・ベーコンゲーム的なものでワームホールが繋がっちゃったとか?
再読:うん、後はすごいベタですけど。超仲悪かったのにいい感じになって、キスをしたら「繋がった」とか。
初読:なんですか、そのフワフワしたやつ!
再読:同じ虹を見た、とか。
初読:どうしちゃったんですか。
再読:でもやっぱり16ページだからそれぐらいになるのでは。
初読:まぁ「ローマの休日」も一日だけですしね。
再読:世界が日常に戻った感じがもう少し出ていてほしい。
初読:あの「ときめきトゥナイトII」でみんなが鈴世のことを忘れちゃった時みたいですよね。
再読:わかる人が少ないかもしれないけど、そう、そうです。

矢作さくら「真心願」

初読:拍手の最後が、手を合わせてるみたいになってて、「なるほど、確かに繋がる」と妙なところで感心してしまった。
再読:感情の爆発はいいと思うのですが。
初読:マシンガンじゃなくてもよかったような。
再読:不条理な暴力が始まるのかなって思ってたけど、頭の中の出来事なんですよね。
初読:あれ、そうなのか。
再読:失神しちゃったんだと思う。最後を見る限りは…。
初読:あぁ、傍らには引き出物がある。
再読:だからなおのこと、「マシンガン」と「真心願」は要らなかったような。
初読:展開はわからないけど、「マシンガン」出て来るのかなってのはわかるよね。
再読:むしろ、「真心眼教」の人たちが現われて嵐のように去るとか、いや……。
初読:それはやっぱり違うような。
再読:君の幸せを願うという言葉の裏にある、どす黒い感情の渦を、もうちょっと読みたかったですね。
初読:暴力に変換されることなく、それ自体を、ですかね。
再読:主人公が勘違いする期間がもう少し出てきてもいいかも、と。
初読:長い時間蓄積されてるんですよね。
再読:だってこの主人公、結婚してる最中から好きだった風ですし。
初読:むしろ、なんで自分から行かなかったんだろう。
再読:臆病だったのか、過去に何かトラウマっぽことがあったのか…。
初読:好きだったら略奪すればいいのに、というのは価値観に関わるからどうしようもないけど、指輪がなくなった時点で「行けない自分」に焦点当ててもいいですよね。
再読:なぜここまで主人公が自分の幸せではなく「彼女の」幸せを願ったのか、気になります。

土屋耕二郎 「未来はぼくらの手の中」

初読:これって、暴力装置の再生産なんですかね。
再読:誤解を与えそうですよね、というかわたしはそのように受け取った。
初読:親子の盃を交わすって、おじさんは足を洗ったんじゃないのかなぁ。
再読:うーん、そもそも本来的には、普通の社会では生きていけない者が肩を寄せ合って「家族」になるのがあの世界ですからねぇ。
初読:観てる映画が「清水の次郎長」で、おじさんが「馬鹿言うんじゃねぇ」なら「惚れてまうやろ」なのだけど。
再読:これだと、こういう暴力装置があるべきだって認めてますよね。青年誌ならいい?の、かなぁ……。
初読:関連すると、銭湯のシーンが気になる。
再読:スミ入れてる人が銭湯入れないっていうのは、結構昔からあるよね。カタギとの境界線は、むしろはっきりしていたんじゃないかな。地域差??
初読:飯場にいた人が、いつも長袖着ていて、最後に銭湯に入りにいくって話は聞いたことがある。
再読:「今はバカみたいな世の中」というのが、この場合シャレになってない気がする。
初読:というか、今なら温泉地でスミ入りの観光客を歓迎してるし、その中で目だなくなるけど絶対にいる怖い人をどうするのか問題もある。
再読:いい話っぽいけど、やっぱりケガしたら病院連れて行ってよって思う。
初読:絵柄が素朴だから余計にモヤモヤするのかなぁ。
再読:やっぱりこの段階で、盃を交わしちゃダメだと思う。
初読:この少年には、まだ他の手段がありますよね。
再読:親を殺してしまったから、カタギには戻れない、とか。おじさんが少年のために殺してしまうのか、とか。
初読:子どもを暴力から守るなんて所詮綺麗事だ、ということなのかもですが。
再読:もちろん、当人にとっては毎日が永遠に感じられるだろうし、「おれの人生はクソだ」という結論になるけど、大人になると、子ども時代が一瞬に感じられるのもまた、真実であって。
初読:このおじさんこそ、そういうことがわかってるはずなのにな。
再読:それでもなお、盃を交わしてしまうというぐらいのインパクトが、感じられないなぁというのが正直なところ。
初読:実際にありそうな話だから、そう感じちゃうんですよね。
再読:たしかに、荒唐無稽な設定だったら、そこまで感じないかも。
初読:あと細かいんですけど、タイトルが…。最初はブルーハーツ?って思った。
再読:それは関係なさそう。そもそもこの物語で、未来は僕らの手の中に「ある」…のかな?
初読:「ある」のだとしたら、やっぱりこの盃を肯定しちゃっているんだよね。
再読:うん、やっぱりちょっと、違和感が残るんだよなぁ。

向田哲郎「人工の子」

初読:このタイミングだと、あの映画とタイトルがモロにかぶりましたね。
再読:いや、「●●の子」というのは鉄板の型だからいいのだけど、逆に「そのまま?」と思ってしまう。
初読:そもそもこの子は「人工の子」ではないんですよね。
再読:だからこれは、山崎豊子の「いえ、わたしは大地の子です」的なものが必要なのでは。
初読:こんな短期間でそれは…山崎豊子だって構想に何年かかったのかって話ですよ。
再読:それはそうなんですけど。決まってなくても、別の何かであればよくて、それは「XYZの子」でもいいんだけど。アイデンティティの揺らぎとか、そういうことが現われてほしいなと。
初読:わたしがいちばん初めに気になったのは、これ2059年の話じゃないだろうってことなんですけど。
再読:すでに、日本を含めて世界各国で、超低出生体重児として生まれた子が、保育器でちゃんと育ってるんですよね。
初読:それが人工子宮かどうかって議論は、過去にあったのだろうけれど……もはやナンセンスですよね。
再読:いま普通に、あるいは通院しながらも暮らしている、その人たちのことを問題提起するマンガになりかねない。
初読:いま、まだ生まれていない(とされる)ものが常識になったら?ということにしたいですね。
再読:たとえば…精子と卵子自体が簡単に作れるようになったら、とか。細胞培養で単に労働力としてのヒトが生まれており、彼らには生殖能力がない、という話とか。
初読:その辺りは、SF的になるのか、あくまでもヒューマンドキュメンタリーとするのか、にもよりますが。
再読:いずれにしても、この手のモチーフは、作者の姿勢が問われるところですが、あまりはっきり示されていない。
初読:いちばん伝えたいのは、この子の感情であるとしても、気になりますね。
再読:明示されてなくても匂わせてくれると。いいなぁと思う。


なは菜っ葉の菜「きみのマンガを貸して!」

初読:これって、紙のマンガじゃないとできないですよね。
再読:あと、大人の話ですよね。過去は書き換わらないけど、気持ちは前に進める。
初読:じっくり読まないとわからないですね。サラッと読むと「?」が頭に広がってしまう。
再読:時間経過がわかりづらいのかも。
初読:ネーム段階だからっていうのもありえそうですね。
再読:何か前提条件が加わるといいのかも。「このマンガ流行ってるけど」気に入らないとか。
初読:「大学に行ったけど」何かが足りないとか。
再読:「再出発のためにマンガを売ることになった」けど、もう一度読んで見たんだ、とか。
初読:全部入れたら大変だね。
再読:そうだよ、16ページもあるんだから、それは無理だよ。
初読:じっくり読ませる物語だから、もう少しだけバックグラウンドが丁寧だと入りやすいですね。
再読:そうそう。ペン入れしてくれたら楽しみだなぁ。


ririo「歪みゆく声」

初読:せつない……。
再読:なんでこの子はこういう存在になったんだろう。
初読:昔からここにいるのかな。
再読:この子だけカーディガンなんですよ。だから季節が止まってる。
初読:あ、ほんとだ。時代は超えてるんでしょうかね。
再読:スカート丈が結構短くて、ちょっと前の着こなしかなとか思ったんだけど。
初読:でも2000年代よりはこちらですね。
再読:うんそんな感じはします。スマホを愛おしそうに触るのは、男の子の私物だからなんですけど。それが生きているうちに「ケータイ」しか触ったことなかったから興味本位なのか、スマホに慣れ親しんでいたから、なのか。
初読:どちらかで、霊の正体も変わってきますよね。
再読:いや、そういう話じゃないから大丈夫。そうじゃなくて。東直子の「とりつくしま」を連想したんですよ。たぶん、そういう世界観なのだと思う。
初読:いずれにしても、この後気になりますよね。
再読:彼に憑いているのか、浮遊して教室が居心地がいいのか、去年ここにいた先輩なのか、とか。
初読:ぬーベー先生がいてくれたら解決できそうなのに。
再読:最初から幽霊ってことはわかりましたか?
初読:いや、最初は学園モノの、別の意味でツラいやつかと思いました。
再読:クラスの輪の中に入りたいのか、男の子が「誰か」に夢中だからヤキモチなのか。
初読:読み手の視点がバラバラになる。
再読:ジーッと見てるカットが最初に挟まるとか。
初読:それだと説明的すぎるんじゃないのかな。
再読:この幽霊の子のモノローグっていうか、会話しに行ってる声があってもいいのではと。
初読:あぁ、たしかに爆発するぐらい「ずっと話しかけている感」があまりしなかったのかも。
再読:画面が白っぽいのがそういう効果になってるんでしょうかね。
初読:うーん、声が「歪んでいく」のだからセリフはなくてもいいんだけど画面の濃度を上げた方が歪みを感じやすいかも。
再読:そうすれば、幽霊だってわかるのが最終コマでもOKかも。なんでこんなに声がすれ違っているんだろうとか、読みながら悶々としてくるから。

mahiro「僕の世界の幸せ」

初読:透き通ってるやわらかい線。メリハリがついたら、きれいな画になりそう。
再読:ストーリーについては「水月」の悩みがわかりづらかったかな。とにかく自信を剥ぎ取られているというのはわかるけど。
初読:学園モノなんですかね。最初は駅ビルなのかなとか思ったんだけど。屋上待ち合わせして通える乗って学生だけですよね。
再読:そうですよ、だから「樹」は夏服の制服だと思います。ボウリングシャツと合わせてるのかもだけど。こういう人の私服なら、「スラックス」って言葉がぴったりのパンツじゃないだろうから。
初読:名前が一文字違い、だと意味を嗅ぎ取ってしまう。
再読:誕生日が1日違いとかじゃダメですかね。
初読:名前については普通でいいのかなって思いました。
再読:実は生き別れた兄弟だったとか、そのはずはないけれど。
再読:ソウルメイトみたいなことを感じてもらうにはちょうどいい。
初読:読み手は勝手に想像しちゃうからね……。
再読:「樹」って留年してる先輩だったりするんですかね。この人目立ちそうなのに。「水月」が知らない。
初読:どうだろう、この子、自分がツラすぎて目の前のことしか見えていない気がするから。
再読:一瞬、幽霊かと思ってしまったのですが。幽霊が思い留まらせてくれる、という。
初読:たぶん違いますね。違います。

多花森「遥なるレッドライン」


初読:なんか胸がざわついた。
再読:突然、あなたがいないと生きられないということが現実に起こる。生きていたいなら、この鎖でつながれなくてはならないって、怖い。
初読:ラブコメでやるところがクレイジーだけど、「あえて」なのが読み手にわかってもらえるかな。
再読:うーん、「一発叩かれたぐらいで」って思うのも「体目当て」っていうのも、正直どっちもどっちだなって思う。
初読:少年はそこまで考えないかもしれないけど。結構怖い作品だなぁって。
再読:主人公も気持ちが爆発するのに単純ですよね。
初読:他の誰でもなく、君がよかったという割には、地球人的には普通のところに惹かれるんだなぁとか。
再読:全員が必ずやるってことではないだろうけど、目の前で起きた時に飛び込んでしまう人は一定数いる。
初読:宇宙人の本心は違うのかもしれませんが、それにしても違和感が。
再読:主人公の見えないところで意味深にフッと笑って見せるとか。
初読:せっかく宇宙人なので、荒唐無稽な理由にしてもいいと思うんですよね。実は、君の体内波動が僕とシンクロしたんだ、とか、大雑把なSFっぽさ。
再読:そのほうが、安心してラブコメとして読める。
初読:宇宙人の本心を疑っちゃうのは、なんでですかね。
再読:地球人より頭脳が発達してそうなのに、主人公を選ぶ理由が希薄なんですね。
初読:「わたしだけ見て」に弱い地球人をターゲットにしていたのかも。
再読:それもまたゲスの勘ぐりになっちゃいますけど、メンタル的にやっぱり危うい作品になる。
初読:きっと、そういう作品にしたいわけではないんですよね。
再読:だからきっと……さっき同じような場面に出くわしたけど、その時は何も感じなかった。君でないとダメな理由がわかるまでそばにいさせて、ぐらいなら良いのかも。
初読:あぁ、期間限定にするのはいいかもですね。
再読:宇宙人基準かよ!ってのはありますが、それでもゴールは見えますからね。


タケチ イチコ「あめのうた」

初読:いいですねぇ、青春。
再読:雨のお堂って雰囲気もいい。
初読:お堂の中の時間が、意外と短いかなって思いました。
再読:もしも一緒に雨の音に気づくとかは、どうなんだろう。ちょっとドキドキする。
初読:何か事件があって、先に雨の中を女の子が駆け出して、残された少年が気づくとか。
再読:それで翌日、本当に風邪ひいちゃうって選択肢もあるのでは。
初読:女の子のキャラが変わったのは、恋したから?
再読:うん。内面をさらけ出すことができるようになったということなのかなぁと。
初読:雨の音を聞いてわかりあえた瞬間は柔らかくなったのに、学校では相変わらずミステリアスな方がいいんじゃないかなとか思ったりして。
再読:女の子が変わったのか、男の子が変わったのか、曖昧なのかもしれません。
初読:たしかに。モノローグはたぶん少年目線だけど、少年自身は変わってなさそうですね。
再読:リズムがいいので、あまり気にならないのですが、その辺が不思議に感じられてしまう。
初読:でも、ペン入れした原稿が読みたいですね。
再読:ネーム段階で読んだ気になってるけど。まだラフなんですよね。
初読:そうです、だから実はまだわたしたちは、このマンガを読んだことにはなっていないんですよ。

市庭実和子「窓」

初読:夏も近づいているので、こういう話も良いのでは。
再読:主人公が最初に窓を開けようとしているのがキモですね。
初読:すでに開けようとしていた時点で異界とつながってしまった、んですね。
再読:どうして開けようとしたのかが、ちょっとわかりづらい。
初読:怪談かなって思って読んでたら、なんだか違っている気がする。
再読:そうなんですよ。実は、何回か読んでしまうと、怪談の類ではない気がしてくる。
初読:どこからが心の声なのか、異様な周囲の声なのかがわかりづらい。
再読:商談を前に緊張して幻影が見えるとか。
初読:ただの「奇妙な話」ではない雰囲気なんですよね。スーパーナチュラル的な声もある。
再読:それでも「作り」は王道の怪談・奇談のフォーマットです。
初読:元教師のエピソードも、鉄板ですよね。
再読:思い出してしまう人は思い出しますよね、某「世にも奇妙な」を。
初読:「開かずの踏切」とか。
再読:最終的にオチがあった方が、やっぱりわかりやすくて。「本当にこの場所で事故があった」と、読み手だけでも後で知ってゾゾ〜っとするとか。単純に乗る電車間違えて商談に遅刻して大目玉とか。
初読:おどろおどろしさは伝わってくるので、納得して怖がりたい。


とねうら「からっぽトイレ」

初読:超怖い。
再読:でも「5日経過」って。この時点で死んでるよね……。
初読:しちゃう、よね。
再読:想像しただけで無理なのと、無意識に出てると思うので、これはきっと黄泉への入口なんだと思う。
初読:そとが臭いんだもん。そうだよね。
再読:あの穴に向けては、女性だったらできないんだよね。
初読:すべてをナンセンスギャグだから、で済ませられないのかな。
再読:そこまで人は尿意を我慢するものなのかどうか、ですよ。
初読:「便器に放尿しないと死ぬ」とかの看板とか?
再読:みんなは自分のことを見えていない(と思われる)が、こちらからは見えているとか。
初読:いっそのこと音姫に出てきてもらいたいですね。
再読:音姫の自意識に迷い込んでしまったとか。
初読:それにしても、なんでコンビニの音……。
再読:昔いた会社が、会社の規模が大きくなって男女共用のトイレから音姫付きのトイレになった瞬間を思い出しました。それと同時に「もうわたしのいる場所がないのでは」と思ったこととか。
初読:超個人的な体験すぎます。コンビニだからっておにぎりを連想したんですね。
再読:そうそう、この業界に入って初めてお世話になった会社の話です。
初読:会社名出しても、わたしたち以外にその状況がわかる人、世界中で10人もいませんよ?
再読:だからきっと、そういう個人的な体験が込められているのではないかと思うのです。


吉田屋敷「リトルアニマルズ」


初読:タイトルとのギャップがいいですね。
再読:勝手に思い込んでたけど。モフモフじゃなかったねそうそう。そっちも確かにアニマルだ、と。
初読:救いがないですよね、かっちゃん自殺しないといいなぁ。
再読:坊主頭のマッチが最後に再登場してくれたら、主人公は救われるかも。
初読:ベタですね。
再読:でも、描きたい続きが「学級崩壊」ではないのだから、そういう方向でも成立しそう。
初読:「フルーツバスケット」で、中学時代のうおちゃんのピンチを今日子さんにコッソリ伝えていった先輩ですね。
再読:そうそう。いなくならなくてもいいんだけど…。
初読:「何やってんだお前」「へへっ」ぐらいでもいいですよね。
再読:「世紀末リーダー伝たけし」の初期もそういう「少年の友情モノ」がありましたね。
初読:小学生と中学生の対立って、少年少女マンガでしか通じないですよね。
再読:大人になると「どっちも子どもだからなぁ」ってなるし。
初読:顔の芝居はわかりやすいんだけど、カツアゲのシーンが難しい。
再読:小学生が漏らしてしまって、そこからの動線がちょっとわかりづらい。
初読:実際の時間的には短いのかもしれないけど「あれ?もう終わり?」みたいな。
再読:漏らすのを見て、我に返って葛藤するというところが重要なので、もっとコマを割いてもいいかもね。
初読:もっと葛藤を見たいですね。
再読:いくら葛藤しても、いまさら正論言っても世の中は変わらない。でも言うのだ!がたぶん大事。
初読:少年マンガ的には、報われて欲しいですけどね。

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これにて終了!!読んでいただいてありがとうございました!!

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