#4 始まりの合図

「起きろ〜!朝だぞ〜!」
休日の朝、2階のリビングから自分の部屋に向かって呼んでいる母親の声が。




いや。叫んでいる母親の声がする。




時計を見るとまだ6時半。



「なんでこんな朝早くに起こすんだよ〜。」





リビングにいる母親に問い詰める。
おはようよりも真っ先に。





母「いや起こしてないし。自分のこと何歳だと思ってんの」





自分「確かに声が聞こえたんだって!」





母「何言ってんの、早くご飯食べちゃいな。」




学校に行く前にもくもくとご飯を食べている妹の前でこのやりとりが何回も何回も起こっている。




確かに自分の耳に届いていたはずなのに。
母親の何度も聞いた声だったから起きたはずなのに。何度も何度も。







ああ。これ幻聴だわ。



恥ずかしながら幼稚園、小学生の頃は母に毎日叫んでもらってなんとか起きていたので、その時の記憶が度々フラッシュバックするのであろう。母親の力強い声はこれから先も忘れることはないだろう。





誰もいない部屋から聞こえる、母の幻聴。
何が起こるかわからない1日の始まりの合図。

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