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#62 春の訪れと共に②

#61の続き。

代表の言葉という重要な役割を引き受けたが、
常にエンターテイメント性を求めている自分の脳内は(しっかりと役目を果たそう)ではなく
(どれだけインパクトを残せるか)ということで頭がいっぱいだった。

ただ、式典であるためふざけすぎるわけにはいかないので、それを考慮しながら浮かび上がったのは「真面目に読みつつも、中身が少しだけ変。」このスタンスなら大丈夫だと勝手に確信した。

1週間以内に台本を書いてきてくれと
頼まれていたので、時間をかけて言葉を考えた。


このスタンスを貫くためには2つの壁を乗り越えなくてはいけなかった。

1つ目の壁は、小学校の先生達だ。
学校の代表が多少ふざけるということは、
小学校の全体の評判を落としかねない。
NGを食らっても仕方がない。覚悟はしていた。

台本を初めて先生達に見せにいくと
思いもよらぬ反応が返ってきた。


「最高だよ!これなら文句なし!」
満面の笑みで褒めてくれた。


あまりにも想定外のリアクションだったので
「本当ですか!?」と聞き返した。


そこから少しだけ言葉遣いを変更し、
何日後かに小学校を卒業した。


すると、3月の終わりに
「代表の言葉をやってくれないか?」と伝えてきた先生達2人が違う学校に異動することを知ることとなる。


ここで察した。
原稿を初めて見せた日、あんなに褒めてくれたのはこの学校からいなくなるからだと。
評判を落とそうがもうこの学校からいなくなるのだから関係ないと思っていたのではないかと。(多分そんなことはない。当時の自分が思っていたこと。)


その知らせが届いた数日後
第2の壁と立ち向かうこととなる。


初対面の中学校の先生だ。



流石に多少の修正もしくは書き直し。と言われるだろうと覚悟を決めて中学校に向かった。

職員玄関から入ると、
眼鏡をかけた優しそうな先生が出てきた。
「こんにちは。〇〇くん!」
声のトーンも明るく
(この先生ならもしかしたらOKが貰えるかも!)
覚悟が期待に変わった。


ただ、会話をしていくうちに
男子バトミントン部の顧問で生徒指導担当、
後は国語の先生だと言うことが分かった。


一瞬にして期待が絶望に変わった。
体育館に連れていかれ、どのような動きをするのか、どこでお辞儀をするのかなどなど入念なリハーサルを繰り返した。

そして、
壇上に上がりその先生の前で原稿を読み上げる時が来た。普段ならそこまでガチガチに緊張することはないのだが、手の震えが止まらなかった。

緊張が収まることはなく、
約3分喋り続け無事その場を乗り切ることは出来た。


壇上から降りると先ほどの優しい表情ではなく
難しい顔をした先生が立っていた。

(あぁ、これは書き直しだな)
渋々覚悟を決めると、

「とても面白い!聞いていてとても楽しかったよ!」


(あらら。またOK貰えてしまったよ。)



多少の加筆修正を加えて、
いざ。本番の4月8日を迎えることになる。

続く。

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