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#64 春の訪れと共に④

#63の続き。

体育館には生徒が約250人、保護者や来賓を含めると500人近くいるだろうか。

緊張感もありながらも吹奏楽部の華やかな演奏と共に明るい雰囲気で式が始まった。

式がスタートして1時間弱経った頃
いよいよ「新入生代表の言葉」の時間が
やってきた。

「新入生代表 1年〇組 〇〇」
司会者が名前を呼び、

「はい!」元気な声で返事をし、
(誰だこいつ)と言わんばかりの目で
こちらを見ている生徒を横目に壇上に向かう。

壇上には校長が立っており、校長に向けて言葉を発するので生徒や保護者には表情は見えない。自分の言葉に対するみんなの表情が見られないのは残念だが、変に緊張することなく
練習通りやれそうな感じがしていた。

開口一番。
「暖かな春の訪れと共にここ〇〇中学校に入学出来たことを嬉しく思います。」
改めて大雪の日にこのフレーズを世に放ったこと。冷静になって考えてみるとえらい事だなと口を動かしながら考えていると、思わず笑ってしまいそうになった。


新入生代表の言葉は
これから中学校生活をどのようにして過ごしていきたいかという決意表明であると事前に伝えられていたので、3つの目標を立てそれを発表した。(3つ言うのはベタではあるが。)

1つ目は勿論勉強だ。
コツコツ予習復習をして定期テストで良い点数を取りたい。とてもつまらないが
そんなことを言った気がする。

2つ目は部活動。
サッカー部に入るとこの時点で決めていたので、レギュラーをとって活躍したい。
これもベタでつまらないが実際に言った。


3つ目。ここが最大のクレイジーポイント。
ディズニーについて述べたのだ。
この時は熱烈なディズニーオタクであったため、盛大な自己紹介としてインパクトに残ると思うから絶対言いたい。そう思いながら原稿を書いた。

当初は「年間パスポートを持っているので、1年間に4,50回パークに通うのが目標です。」と書いていたのだが、これは式典に言う言葉ではないなと考慮して
「大好きなディズニー映画を字幕なしで見られるようにしたいです。」と元の目標と大分変えて言った。

これなら勉学と結びつけているので、
ギリギリセーフだろうと思ったら
先生達にもOKを貰えたので心の中で
ガッツポーズをした。


大胆な自己紹介として
代表の言葉を私物化した所はあるが
無事、ミスをすることなく役割を終えることが出来た。


今思えばかなり危険な考え方だとは思うが、
心の中は
(これで殆どの生徒と先生、保護者の記憶に残ったぞ!これからは学校で好きにふざけられる!)という思いで興奮が止まらなかった。

小学校の頃は真面目だと思われていたが、
徐々に「こいつ変な人だ」と思われるようになりかなり気持ちが楽な状態で過ごせるようになったので、中学校では「変な人だ」とスタートから思ってもらいたい。
そんな思いがあって、多少のスパイスをいれた。

(真面目だと思われると、不都合が多いからね…)


式が終わり、教室に戻ると担任の先生が
「〇〇くん、素晴らしい発表でしたね」と
クラスのみんなの前で褒めてくれた。


翌日「ディズニー好きなの?」
「凄く面白かったよ」と多くの人が
話しかけてきてくれ、スムーズに
新しい友達を作ることが出来た。


みんなの心の中に「変だけど面白い奴」という
イメージがついたと思っていた。



しかし…。



長くなったので次回に…続きます…
(ごめんなさい。次で絶対終わらせます。)

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