#15 靴の名前
どう考えたら、その答えに辿り着くのかね。
時間を遡り、幼稚園時代の話をしよう
自分の名前と同じ人が2個下にいて、その子が初めて目の前に現れた同名の子だった。
派手に騒ぐ、やんちゃな子だな。というイメージを持っていて、比較的大人しい自分とは真逆なタイプだなと思っていた。
ある時クラスのみんなで歌を歌っていたのだが、普段優しい先生が教室のドアを開け、
鬼の形相で
「〇〇〜!!!!!ちょっとこっち来い!」
音楽がピタッと止まり、
みんなの視線が一気に自分に向けられる。
汚れたものを持つような手で
先生が小さな小さな靴を持っている。
先生「どういうこと!〇〇くん!園庭に靴を出しっぱなしにしておくなんて!」
全く身に覚えがない。
幼稚園児ながら人に怒られないように細心の注意を払って行動していたので、何回記憶を辿っても靴を出しっぱなしにするなんて考えられない。
自分「出しっぱなしにした記憶がありません!」
先生「嘘をつくんじゃない!先生は〇〇くんが嘘をつくような子だとは思ってなかった!
がっかりだわ!靴の後ろに書かれた〇〇の名前をみてショックで泣きそうになったわ。」
勝手に期待して、すぐに裏切られた〜っていうちゃんと本質を見てないで理解が浅いパターンね。
こっちの方が先生に向かって残念だって言いたいわ!(幼稚園児の思考です。)
あぁもう面倒くさいな。仕方ない。
自分「靴サイズ確認してもらえますか?」
先生「靴のサイズ?」
自分「僕の靴は他の子より大きいので、近くにいる子の上履きのサイズと比較してみてください。それで小さかったら僕のではありません。」
先生「わかったわ。」
確認するとやはり小さい。
だが、先生はそう簡単に折れない。
先生「〇〇くん、ほんとにサイズ大きいの?」
あぁ、面倒面倒。このやり取りを生徒全員の前で行なっているので尚更キツい…。
自分「じゃあ自分の靴を持ってきます。」
わざわざ教室の外に出て自分の靴を探した。
自分「ありました。これです。」
大きな靴を堂々とクラスのみんなの前で掲げた。
靴の後ろに書かれたフルネームを指さすと先生は表情を変えた。
自分「これを見てもまだ納得できませんか?」
相棒や科捜研の女に出てきそうな一連のやり取り。
先生「ごめんね。〇〇くん。私の勘違いだったみたい。」
勘違いすぎるだろ…
こっちはかなり恥ずかしい思いしてるんだぞ!と心の中では思いながらも
自分「いえいえ、わかってもらえれば大丈夫です。」
大人の対応である。
一つだけ気になったことが。
幼稚園のルールとして靴の踵の部分に名前を書くというのがあったはずなのだが、苗字は書いていなかったのだろうか。
自分「その靴の踵ちょっと見ても良いですか?」
先生から少し強引に見せてもらってみると、
かなりわかりやすい字で
自分とは違う苗字が書かれていた。
心の中で思った。
「先生、休んでください。」とね。
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