3人の東電の元幹部がフクシマの影響に対して無罪判決を受けた

【以下は仏「ル・モンド」紙の記事に基づく翻訳です。元記事のURL:https://www.lemonde.fr/planete/article/2019/09/19/fukushima-trois-anciens-dirigeants-de-tepco-acquittes-par-le-tribunal-de-tokyo_5512191_3244.html 】
2011年に日本で勃発した原発の大惨事に対して判決を受ける唯一の自然人である、この3人の元幹部は、死を引き起こした過失に対して起訴されている。

フクシマでの原発の事故から8年半後、発電所の運営会社である東電の3人の幹部は、9月19日(木)に無罪を宣告された。彼らは、発電所の耐久性を超える津波によるリスクを推定する情報を考慮しなかったために、死を引き起こした過失に対して起訴されている。東京地裁は、彼らが原子力の大惨事の影響に対して有罪であると見なされないとの判決を下した。

悲劇の瞬間に東京電力の元代表取締役を務めていた勝俣恒久(79歳)に対して5年の実刑、また元副社長の武藤栄(69歳)と武黒一郎(73歳)に対して2年の実刑が求刑されていた。2011年3月11日の津波よって破壊された福島第一原発の運営会社のこれらの3人の元責任者は、1986年のチェルノブイリ以降最悪の原発事故である、この大惨事の一環で裁かれる唯一の自然人である。 

グリーンピースにとっては残念な結果

これらの元幹部に対する起訴は、原発から数キロの場所にあった双葉病院の44人の患者の死亡に基づいている。彼らは危険な条件下での緊急避難のときに、数時間の間、迂回したバスの中で亡くなった。これらの年寄りにとって、試練は致命的であることが判明した。

検事は、書類が不十分であるとして、東電幹部に対する起訴を2回拒否した。しかし、検察審査会による2015年の事件の再審査で、刑事訴訟が決定した。

「日本の司法はまたしても、2011年の福島第一原発の大惨事の被害を受けた数万人の権利を防御できなかった」エコロジスト団体のグリーンピースは、声明で直ちにそう批判した。

訴訟の間、勝俣氏は、安全に関する決定に日常的に関与しておらず、こうした問題を担当する部下の仕事に頼っていたと宣言している。東電は、沖合でのマグニチュード9の巨大地震と、それを原因とする巨大津波が起こる前に、施設を保護するための工事に着手しなかったが、その津波により、発電所の発電装置が水浸しになり、核燃料の冷却が停止し、核融合を生じることになった。 

数千人もの「関連のある死」

津波が東北地方での18,500人の死亡の原因になったとしても、原発事故自体は、災難による犠牲者を一切出していない。しかしながら、原発事故は、生活条件の悪化による数千人もの避難民の「関連のある死」に間接的に影響している、と当局は認めた。

災害により、何千人もの住民が原子力発電所の近隣の自宅を放棄せざるを得なかった。彼らの大勢が依然として国内の他の地域に居住しているが、放射線の恐怖により、自宅に入ることができないか、入らないほうを選んでいる。

この事件で個人が検察審査会により裁かれたのはこれが初めてだとしても、日本政府と東電はすでに、多くの集団訴訟の結果として、何度も処罰された。

特に2017年9月に東電は、原発事故に責任があるとの判決を受け、地方裁判所により形式的な罰金刑を宣告された。6か月前には、別の訴訟で東電と日本政府が同時にこの事件の過失に対して有罪宣告を受けたが、そのときも罰金は形式的だった。その上、東電は、国と日本の電力会社グループにより特別に設けられ、支給された資金を受領して、数年前から災害の被害者を補償している。

投資家は、無罪判決は東電にとって良いニュースであると見なした。東電の株は、判決の発表後、一時的に2.5%高騰した。

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