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質問箱お返事まとめ⑥出版業界の就活事情編

出版社を志望されている(おそらく)大学生の皆様からの、就活に関する質問集です。
私は某総合出版社に新卒で入社しましたが、正直、もう一回就活したら今の会社に受かる自信はありません。
だって、どこが採用のポイントだったかわかんないし……入社した後に「なんで採用したんですか?」って取締役に聞いたら「なんか面白かったから。あと、運良さそうだから」としか言われなかったし……

ちなみに今は文芸とマンガの編集をしていて、このキャリアを積めた一番の要因は運です。
たまたま編集職へ配属されて、たまたま文芸編集部に空きが出て異動できて、たまたま私の部署がマンガを扱うことになって、ラッキーの連続で今の職に就いています。
取締役、やりおる。

Q.

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A.
こんにちは!就活お疲れさまです、コロナもあって大変ですよね。根を詰めすぎないようにしてくださいね。
私は小説の編集が専門なのですが、そこから派生する形で並行して漫画の編集もやっています。
まず前提として、「漫画の編集者になりたいのか」それとも「出版社で働きたいのか」をじっくり考えたほうがよいです。
「出版社に入り、かつ漫画の編集部に配属される」というのは、一種のギャンブルです。
出版社には、編集部以外にも営業・広報・制作など多くの部署があります。希望通りの配属にならないケースがほとんどです。特に漫画は希望者が多いのでシビアな競争になります。さらに、漫画を作っている出版社、という時点で絞られてくるため、応募先も少なくなります。
なので、絶対に漫画編集になりたいのであれば、出版社を受けつつ、コミック編集プロダクションを志望先に入れたほうがよいです。出版社から委託され、漫画の編集を行う会社です。ここでキャリアを積むことで出版社への転職も可能です。
もし出版社のみでいくのであれば、希望通りの配属にならないことは織り込んだ方がよいと思います。

<志望動機について>
これがお恥ずかしながら、「本作ってみたいです!」だけで押し通したのであまり参考にならないかも……
「本好きです、作り手に回りたいです、御社が応募出してたので受けました」に多少の肉付けした感じです。
うーん、就活サイトのアドバイスみたいになっちゃいますが、
・出版社で何をしたいのか
・なぜ御社なのか
・御社に入ったらどんなことをしたいのか
を話せれば十分だと思います。
面接を担当した中で、読書好きをアピールする人が多かったのですが、本が好き、というのは志望者みんなそうなので、「何がしたいか」に重点を置いて話すとよいと思います。

<気をつけたほうがいいこと>
えーーなんだろう! 前年度の芥川賞・直木賞・本屋大賞あたりは抑えておいた方がよいかなあ。
うーーん、あと、面接では「聞かれたことにクリティカルに答えること」を意識するとよいと思います。
面接で「どんな本を作りたいですか」という問いに、出版業界の業界分析から話し始められたりすると、そこじゃないかなあ、と思ったりします。

<やっておいたほうがいいこと>
書店に行って、今はどんな本が売れているのかは見ておいたほうがいいです。特に、エンド台といって、棚の先頭にある平台には、出版社が売りたい商品が並びます。そこを見て、最近の流行を掴んでおくとよいです。これは漫画以外のビジネス・小説・ムックあたりもやっておくとよいです。
かつ、その出版社の漫画連載誌はチェックしておくこと、でしょうか。漫画はいかにメディアミックスするかが鍵なので、そこの戦略も考えられると良いです。
あと、編集者は新しい知識が大好きなので、もし趣味とか好きなものを聞かれたら、変に迎合せず背伸びせず、今の自分が面白いと思うものを本以外でもジャンル関係なくプレゼンできるとよいです。


Q.

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A.
まじでお疲れさまです……! 出版社の試験、特殊な質問が多くてめんどいと思います。入った今でも採用基準よくわかんないですし、本当にお気に病まずにいてほしいです。
私はありがたいことにご縁があって新卒で入社しました。ただ、今の編集部は15人おりますが、新卒入社は私と50代上司の2人のみです。他はアルバイトで入社して社員登用されたか、編集プロダクションからの転職です。
あと、就職浪人して出版社に入った友達を2人、第二新卒で応募して受かった人を1人知っています。
新卒にこだわりさえしなければ、とても間口の広い業界です。

就活、人生やら目標やらテーマのでかい質問ばっかされて本当に嫌でした。もう一回行ったらもう少し上手くやるだろうけど、二度とやりたくないです。仕事の方が100倍楽です。君は今、その中にいます。まじで偉いです。ちゃんと食べて寝て、笑ってくださいね

Q.

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A.
就活の話前提でお返事します!
私は「やりたいこと」を優先したほうが後悔がないと思うので、その方向で書きます。
まずは、「やりたいこと」を「業種」と「職種」に分けましょう。

①業種:入りたい業界。食品メーカー/出版/金融 etc
②職種:やりたい仕事内容。営業/編集/事務/企画 etc

①が固まっているなら、自分の得意なことから職種を絞っていきましょう。②が固まっているなら、希望職種の募集が多そうな業界を選びましょう。
①も②も決まっている(「広告会社のコピーライター」「出版社の編集者」)なら、自分の能力を信じて突き進みましょう。

次に「できること」です。明確に自覚している能力がない限り、
これは、「やりたくないこと」を探したほうが早いです。

大勢の人と会うの無理→営業外す
変化のない仕事苦手→事務外す
発想力に自信ない→企画外す

みたいな感じで、ストレスのかからない仕事を重視していくとよいと思います。逆に言えば、ストレスなくできる行為はあなたの得意分野です。

正直、学生さんのうちは「できること」はあんまり意識しなくてよいと思います。意外とできたり、意外にできなかったりします。

Q.

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A.
学部は全然関係ないですよ~ 
私の同期も外語大仏文科、経済学部、法学部etc とバラバラです。文学部だからといって特にアドバンテージにはなりません。むしろ畑違いであればあるほど、動機の強さになってよいと思います。
わたしも文学部ではありません。ぼやかして書きますが、その学部で取得できる資格職に就く人が全体の半数を占めるような学部です。

Q.

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A.
あ!たぶん一緒だ! 面接でそう聞かれたことは一度もなかったなあ。聞かれても「なりたくなかったからです!!!」しか言わないと思います。
ぶっちゃけ高校生の時点で将来を決めるなんて無理で、だから学部に進路を縛られるなんてナンセンスです。少なくとも出版業界はあまねくすべての学部へ門戸を開いていますよ。

Q.

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A.
こんにちはーー!
まずは、内定おめでとうございます。ずっと気になっていたので、本当に嬉しく思います。ひとえにあなたの熱意と努力の結晶です。

編集者は実力主義です。そして、実力は、意外に出版社よりも編集プロダクションのほうが育つと思っています。
出版社に入ると、申請書類やら契約書やら書類仕事が多くて、実務の部分はあんまり時間が割けません。その分を編集プロダクション様に支えていただいています。なので、あなたがマンガ編集者として生きていく上で、最初から実務に全力投球できて若いうちから経験も積めるプロダクションはいい環境です。精神と時の部屋です。存分に使って、力をつけてください。

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