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韓国語講師を目指す方へ、現実を知る者が言ってあげられる、ほんの一部のこと

時代とともに韓国語学習者の学習レベルは上がりやすくなり、今度は「講師養成ビジネス」が盛んになってきました。
今日は、韓国語講師というお仕事が気になっている方、或いはこれから講師養成講座の受講や韓国語を活かして生きていくことを考えている皆さんに向けて、経験者の立場から韓国語講師として生きていく上での、ひとつの見解をまとめてみました。
おそらくほとんどの韓国語講師が、思ったり感じてはいても、自身のイメージ管理や、その他の様々な理由のために口にはしないことですが、敢えて果敢に書いてみようと思います。


なぜ講師養成ビジネスが増えているのか

講師になるためのはじめの一歩「対象となる言語をある程度駆使できる」をクリアした人が増えるのですから当然な流れと言えるでしょう。そこに可能性を見出す人が沢山生まれるということは、そこに需要、ひいてはお金が生まれるということです。

日本語教師の資格取得界隈(上記の、はじめの一歩が最初から備わってる)を見ていると、講師養成講座への勧誘においては「私にもできるかも!」と簡単に思わせる手法、実態の伴わない部分をひた隠しにしながら魅力的な仕事だと説く手法をよく見かけます。
とりわけ「海外就労ができる」「年齢関係なくできる」「国際交流への貢献」「得られるやりがい」などを押し出すものは多いでしょう。

同じような状況はこれまで/これからの日本国内における、韓国語のそれにおいても何ら違いはなく、法が民間資格(的なもの)に追いつかない事態など、あらゆる齟齬が発生し得るものと、私は考えます。


講師に向いている人

経験上、教えること自体は「自身の学習言語のレベル向上」とはかなりかけ離れていることが多いので、講師の道を考えている方は「教えることそのもの」や、教えるために「準備をすること」「その時間(ほとんどがプライベートの時間を割く)」を、楽しいと感じられるかどうか、をまず考えてほしいと思います。

実はここの部分が、実際やってみて「合わなかった」「耐えられなかった」となる大きなポイントとなるところなのです。ここを理由に離職する方を、何人見て来たか知りません。

スクールにはあらゆる人達が、たっくさん、来ます。来ては去っていく、長くい続ける、どのパターンもあります。言い訳ばかりで勉強や宿題を全然しない人、ドタキャンばかりする人、日本語で世間話や個人の愚痴を言う為に来る人だって、中にはいます。爆発的に勉強する人もいます。勉強しない人とする人が同じクラスにいて、どんどん埋められない差が開いていくこともあります。
その、どんな人達が相手になろうとも、日常の学習習慣化の促進、定期的な実力確認と前回との比較、モチベ維持&向上のための鼓舞、効果的な課題やアクティビティの提案、をし続けなければいけません。あるいは、仕事として継続していくために何らかの結果を出す必要があるかもしれません。
基本の授業をこなせることは「最低限の部分」なんです。


生業にするために

そしてもう一つ大切なこと、というかこちらの方が重要なのですが 「絶対的に低報酬であること」を受け入れられるかどうか、必ず考えて下さい。
ハッキリいいますが「配偶者の稼ぎがあるならば、続けられそうな感じの仕事」だと感じることは多いです。そして安定はありません。

資格を取っても、韓国の国家資格を持つ専攻者でも、長く続けてる人は一部。安定的にやるなら学歴とそれを使った経験がいります。大学などで教えたり、学校と契約して毎年継続的に仕事ができるかどうかも、絶対はないです。
そこに食い込むためには民間資格だけでは無理です。特に「個人で教えている」だけでは可能性ほとんどなく、コネで…が無いこともないかもしれませんが基本は面接の機会さえないと思っていた方が良いです。

それでも、養成講座ビジネスで儲けたいひとは、勧めてきます。「あなたにもできる!」「せっかく学んだことを活かそう!」「はじめてでもできる!」と、言ってきます。


そもそも一般的なスクールの講師は、留学生のアルバイトで埋めることもままある「バイト枠」です。プライド持ってやっていても、どれだけ真面目に授業内容を作っても、クラス運営をどれだけ上手にやろうとも、高級試験の合格者を出そうとも、ちょっと割のいいバイト時給と同等か、或いはもっと下になることもザラです。
これがほとんどコマ給扱いになるわけですから、月換算等すると伴わないことが多いでしょう。

悲しいかな、経営学科とかに通っているただの留学生と、講師養成講座を終えて働く自分を前にしても、無条件で「先生はネイティブがいい」と言う人はいて、その一言で授業から外されても、我々は残りのレッスンだけで食べていくことになります。


明るくきれいな所だけを見ないで

「まぁ結局、好きじゃないと続かないってことよね!」みたいな綺麗事を、今回は言いません。散々言ってきていますから、もういいと思います。
「好きでも状況が変われば辞めざるを得ない」を覚悟して、それから始めても遅くはないと思います。

どのように感じますか?私が本当に、悪いところばかりをつまみ上げていると思いますか?
まーた暗いことばっかり言ってんじゃねーよ!とかいう声が聞こえてきそうですが、私はその業界で10年以上授業を続けて生き延びてきた経験者です。周りが様々な理由で辞めていく、始めない、のも見てきています。
私自身は、全力投球して、かなり無理もして、相当に頑張ってきました。それで、ようやく食べられるか否か、位です。他の仕事も受けてます。もちろんです。それでも世の中の方の半分以下の稼ぎなのではないでしょうか?

世の中には、キラキラした人達がたくさんいます。
だけど、そんな人になれない、ならない人間も、同じように韓国語講師として仕事をし、報酬を得て、食べて生きていかなくてはいけないし、また、そうあるべきです。

ですから、大変心苦しいですが、
始める前に、現実も知っていて欲しいのです。

私がこれを書く理由

せっかくやる気になっていたのに、こんな記事読むんじゃなかった!と感じる方もいらっしゃるのかもしれません。
ですが私がこうして書く理由は

安易に講師の資格を取っても現実的に働ける場所がない可能性があること
続けられない報酬になりがちなこと
それでも「講師養成講座」は溢れていて、勧誘してくる人は沢山いること
既に日本語教師業界が同じ道を辿ってきていること
を知っているから、です。
経験者の心からの忠告だとも言えます。

しかしこの忠告は、タイトルにも書いた通り「ほんの一部のこと」です。

それでもなお
私は韓国語講師になるんだ!
次の学習者をこの手で育てるんだ!
という意志のある方は、きっとたくさんいるのでしょう。
知っています。分かっています。やりたい人は、いるのです。

歓迎します。仲間になろうよ。
苦しい場面も楽しい場面もくぐりぬけて、一緒にやろうよ。
講師を仕事にしようよ。
楽しいことがたくさんある仕事だよ。

私が本当に言いたいのは、こっちなんです…。
ここまでの様々な言葉、現実を、どのように受け止めるべきか、それはそれぞれの心の中にあれば良いと思います。

韓国語講師という仕事は決して、空虚な職業ではないはずです。一時の流行に踊らされた安易な需要のおこぼれを拾う、そんな職業ではないはず。ということです。
そして同じ業界の人間が、自身のビジネスの為に誰にでも講師になろうよと声をかけ、お金が入れば終わり…という構造になるのは望むところではないわけです。
だけど、このままだときっと、(意図はどうあれ結果的に)そうなっていってしまうのではないか。そんな不安が、私を駆り立てるのです。


韓国語講師が空虚な職業にならないために

「レッスン」とは、実はとても閉鎖的な所です。実際、職業としてレッスンを受け持ってみると、ぶっつけ本番になることがほとんどで、自身のレッスンを誰かに見てもらう、或いは先輩のレッスンを見る、いわゆる実習と呼ばれる時間や空間はほとんどないに等しいです。
採用される時に模擬授業はさせられると思いますが、ただそれだけです。普段のレッスンを見られることを嫌う講師もいます。様々な理由はありますが、横のつながりが全くないことが多いです。

私はこの部分について違和感を感じることも多く、また多くの講師達が不安を抱えたまま授業を行うしかない要因だとも思っています。
「先生」と呼ばれる職業についてよりブラッシュアップしていくチャンスが個人の範囲の中にしかなく、言ってしまえば個人的で勝手な観察と研究、試行錯誤の上に、レッスンが成り立っている状況が多いわけです。

実は、私がかつて長く籍を置いていた教室では数か月に一度開かれる学習&懇親会がありました。そこでは様々なレッスンアクティビティの開発、実践、模擬授業を通した結果の観察とフィードバックなどがなされました。経験値によってはシビアなことを求められることもある会でしたが、ここで培った技術は、私の中でかなり大きな財産となっており、また不安の払拭や、講師として根底にある、揺るがないアイデンティティへと繋がっていきました。


やろうよ、いや、やるしかない

私は現在、韓国語講師向けの勉強会(スタディ)立ち上げを準備しています。
かつての私が救われた、糧にできる場所があったように、みんなでレッスンアイデアを出し合いシェアすること、同時に不安点疑問点問題点を出し合い解決策を探すこと、模索と実践の結果を報告すること等、講師同士で具体的な情報共有をすることを目的とし、講師同士が集まれる場所を作りたいと思っています。

韓国語講師が、空虚な職業になってしまわないために。
韓国語に向き合う学習者さん達を、よりよい道に導いてあげられる人材になるために。
そしてなにより、講師本人がこの仕事を楽しみ、長く続けられるようにするために。

興味がお有りの方は、是非とも一緒になってスタディを盛り上げていっていただきたいです!
何卒、よろしくお願いいたします。



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