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第一章 日本人にはよくわからない?Spliceの音楽ジャンルについて調べてみる Reggaeton / Moombahton / Glitch Hop 編

こんにちは!Hello! Splice編集部のDTMおじさん、3104(サトシ)です。
Spliceをはじめて気になるのは、音源のジャンル(Genres)。とくに「Hip Hop / R&B」には、DTMおじさんにはよくわからない言葉がいっぱいあります。

Reggaeton(レゲトン)

リズムの基本は、スペインのレゲエに、プエルトリコのラテン音楽を融合させたもの。そこにスペイン語のラップが乗るというスタイルのようです。1980年代後半にパナマで生まれ、その後、プエルトリコで広まりました。 プエルトリコ、パナマ、ドミニカ、キューバ、コロンビア、ベネズエラなどのスペイン語圏の国では最も人気のあるジャンルとのこと。知らんかった・・・。

では、代表的なアーティストを聴いてみましょう。

・Oye Mi Canto / N.O.R.E.(ノリ)

2004年の大ヒット曲。レゲトンというジャンルをメジャーにした曲のようです(他人行儀)。

・Gasolina / Daddy Yankee(ダディ・ヤンキー)

上のOye Mi Cantoにも参加していたダディー・ヤンキー(なんて名前だ・・・)のヒット曲がこちら。 やー、タフガイですね。ガソリーナっていうのはガソリンのことですかね。「俺はお前のガソリンだぜ、燃やしてやるぜ」もしくは「お前は俺のガソリンだ、激しく燃えるぜ」みたいな歌詞なんでしょう。きっと。

サウンドとしては、チープなリズムボックスのような音色。レゲエのリズムパターン。そこに、ちょっとスパニッシュなアレンジやサンプリング、マイナーコード。さらに、ハイテンションなスペイン語のラップといったところでしょうか。


SpliceのReggaeton(レゲトン)を紹介

では、Spliceの音を聴いてみましょう。Browser機能でレゲトンで絞り込んでみると、Packがたくさん出てきます。Production MasterのBailando ReggaetonというPackを聴いてみます。

・スネアの音はまさにこれ

PMBR_Percussion_01

・リズムを組むとこんな感じ

PMBR_Full_Drum_90_Breathe

・N.O.R.Eが使っていたようなスペイン風のガットギター

PMBR_Guitar_90_Gmin_Secrets

1つのパックのなかに400以上の音素材が入っているので、ひとつひとつ聴きながら、トラックの構造を知ることができるのがSpliceの面白いところです。

Moombahton(ムーンバートン)

調べてみると、このジャンルの由来はちょっと面白いです。
提唱者のDave NadaのまさにMoombahtonという曲があるので、まずはそれを聴いてみましょう。

そして、moonbahtonの元ネタになった曲がこれ。Silvio Ecomo & Chuckie のMoombah(ムーンバー)。聴いてみてください。

これをDave NadaがBPMを下げてサンプリングしてレゲトン風にしたので、ムーンバーのレゲ”トン”風で「ムーンバー”トン”」なんですって。 オリジナル曲でもないし、ダジャレでつけた曲名が、そのまま1つの音楽ジャンルになってしまうっていうのは、いったいどういうことなのでしょうか…? それはさておき、Spliceのmoonbahtonの素材を聴いてみましょう。


SpliceのMoombahton(ムーンバートン)を紹介

Sample Magic制作のまさにそのまま「Moombahton」というpackを見てみます。

・基本キックは4つ打ち

mo_drm112_allthat_ful

mo_drm112_nosleep_ful

・細かくちぎって、サンプラーを連打したようなシンセ・ボーカル

mo_syn112_somethingswrong_G

mo_mus112_boomboomboom_A

サンプラーを初めて買った若者が「こんなんできるぞー」っていいながら作ったような初期衝動やユーモアもありながら、長時間このハイテンションを保つにはトラックの抜き差し、音色など職人技が必要なんだなというのはpackを聴いていて思います。あなどることなかれムーンバートン。

Glitch Hop(グリッチホップ)

「グリッチ」という言葉はDTMおじさんも知っていました。音飛び、デジタルノイズ、コンピューターのエラー音のような通常は音楽では使われないような音を切り刻み、テクノミュージックにするという手法ですね。1990年代には「エレクトロ」「エレクトロニカ」とか呼ばれていました。ブツブツ途切れた音のコラージュがなんかマニアックというかサウンドギーク(音オタク?)っぽくてカッコよかったです。例えば…

・Mouse on Mars / Pinwheel Herman

ドイツのテクノユニット、マウス・オン・マーズの1999年の作品です。ドイツらしいマニアックさと陰りがありますが、電子音がかわいくもある、不思議な曲です。 そしてGlitch HopのHopは、Hip Hopの「ホップ」ですね。グリッチ音を使いながらヒップホップ的な手法でまとめ上げた新ジャンルっていうことのようです。

代表曲を聴いてみましょう。グリッチとホップがあわさったら、なんとこうなりました!

・KOAN Sound / Sly Fox

・David Tipper / Adrift For Days

・The Glitch Mob / We Can Make The World Stop

ノイズを細切れにして組み立てていく手法は残しつつ、マニアックさは息をひそめ、クラブサウンド的なアンセムに仕上がっています。これぞ融合の新ジャンル!

SpliceのGlitch Hop(グリッチホップ)

では、SpliceにはどんなGlitch Hopの音が揃っているでしょうか?Zenhiserの「Sci Fi Hysteria」というpackから聴いてみましょう。

・ノイズを使った不思議なリズムループ

032_b__Drum_Beat_118bpm_B_-_SCIFIHYSTERIA_Zenhiser

021_a__Drum_Beat_88bpm_A_-_SCIFIHYSTERIA_Zenhiser

・荘厳で不思議なシンセのエフェクト

032_Synth_Hit_Bm7_-_SCIFIHYSTERIA_Zenhiser

033_Synth_Hit_CM7_-_SCIFIHYSTERIA_Zenhiser

・ミックスするとこんな感じ

002_Full_Mix_90bpm_A_-_SCIFIHYSTERIA_Zenhiser

ミックスした音だけを聴いているとわからないですが、パーツごとに聴くと、どこが「グリッチ」でどこが「ホップ」なのか、わかった気がします。わかった気になってるだけかも知れませんが…

いかがでしたか?今回紹介した、ジャンルの代表曲のYoutubeは、どれも数百万回〜1000万回近く再生されていました。新ジャンルとして、流行しているのに、まだまだなじみのない音楽ってあるんだなと思いました。ぜひSpliceの大量のサンプルを聴きながら、音楽の「今」を体験してください!

さっそくはじめてみる!

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