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全国のGKを「守護神」に。『ますトレ』スポーツイベント出張版Vol.1

『スポーツイベント・ハンドボール』2018年11月号から19年4月号まで連載した、升澤圭一朗さんによる「ますトレ」のスポーツイベント出張版全6回を無料公開します!

ますトレの考え方と3つの要素

みなさんはじめまして。「ますトレ」というGKトレーニングコンテンツをTwitter、Instagram、YouTubeなどのSNSで発信している、升澤圭一朗です。

今回からスポーツイベント・ハンドボールで連載を担当させていただきます。多くの人に、「ますトレ」を通じて、GKのレベルアップに取り組んでいただければと思います。

本題に入る前に、私がどうして「ますトレ」を行なっているのかを説明していきます。

結論から言うと、私は日本中の「GK」を「守護神」にしたいのです。私はこれまで小、中、大学ではキャプテンを務め、高校では副キャプテンを務めました。私自身、守護神としてチームを支えてきたと自負しています。

しかし、すべてのGKが守護神になれるわけではありません。技術的にはもちろんですが、精神的にもチームを支えなければなりません。

そして、日本ではこの「守護神」が育ちにくいという現状があります。なぜなら、確立した理論をもとにした、GK専門のトレーニングがないからです。この現状を「ますトレ」によって打破したいのです。

私は小学4年生でハンドボールを始め、最初からGKでした。幸いにも当時在籍していたチームの監督は元GKで、一番大事な時期にGKの基本的な技術を学ぶことができました。

それでも、中学に進学したあとは専門的な指導を受ける機会が非常に少なく、毎日、海外のGKのセーブ集を見ては、翌日の練習でそのセーブのマネをすることの繰り返し。上達する手段はこれしかなかったのです。

だれかに教えてもらえることもないから、がむしゃらにマネをする。これもけっして間違ってはいませんが、やはり確立した理論のもとで、GK専門のトレーニングを行なった方が、よりよいGKに育つはずだと私は考えています。

GKに必要な3つの要素

では、現在の小学生から大学生までの指導現場ではどうでしょう。多くのGKがコートプレーヤー(以下、CP)と同じ練習をしている光景が見受けられます。

いっしょにDFのフットワークをしたり、OFのパスワークのトレーニングをしています。さらには6対6の練習でコートに入れず傍観しているだけ、という状況です。GKの動きはCPとはまったく異なります。それなのにCPと同じ練習をしていては、GKがうまくなるはずもありません。

本題に入りましょう。私は今回の連載でGKに必要な3つの要素をお伝えしていきます。まずは自分自身が、もしくは自分のチームのGKがこの3つの要素を確実にできているかをチェックしてみましょう。

以下がその3つの要素です。

①「どこに」打たれるかではなく、「どこで」打たれるかを予測する
②打たれるのではなく、打たせる
③セーブする時、ボールが身体にミートする瞬間を見る

どうでしょう。では1つひとつ、簡単に説明をします。

①「どこに」打たれるかではなく、「どこで」打たれるかを予測する

多くのGKは、どこに打たれるかは一生懸命に予測するものの、どこで打たれるかはなかなか予測できていません。やはり、トップレベルの選手と、そうでないGKの違いはこれに尽きると私は感じています。早くて正確なポジショニングは、どこで打たれるかを予測することで生まれます。

②打たれるのではなく、打たせる

よく私のもとに質問が届きます。その質問でとても多いのが、「ループシュートを打たれると取れません。どうしたらいいですか?」というものです。はっきり言うと、ループシュートを打たれたら、その時点で負けです。打たせることができれば勝ちです。

これはループシュートだけではなく、どのシュートに対しても言えることです。打たれたら負け、打たせたら勝ち。ポジショニングだけでなく、動き出すタイミングがカギになります。

③セーブする時、ボールが身体にミートする瞬間を見る

最後にこれ、本当に重要な要素です。人間の頭は約5kgあります。だいたいメディシンボールと同じぐらいです。この頭をうまく移動させないとダイナミックなセーブはできません。

せっかくいいポジショニング、いい動き出しができても、ダイナミックな動き出しができないとセーブにはつながりません。

そうならないためにも、ボールが身体にミートする瞬間に視線を向けるだけで、自然とこの重い頭がボールの方に動き、スムーズな重心移動で、ダイナミックなセーブにつなげることができます。

以上が、私がGKに必要だと考える3つの要素です。みなさんはすべてできていましたか。今回の連載では、この3つの要素を抽出した「ますトレ」をお届けします。

連載を読み終わったころにはただの「GK」ではなく、「守護神」になっていることを心から願っています。次回もお楽しみに。


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