子供はみんなで育てよう
俺が子供のころ、よく近所のおっさんに怒られた。そこでボール遊びすんな!とか。まぁ鬱陶しかったわけだけど、そういうおっさん、おばさんが近所にいっぱいいた。今思えば、あれはあれで良かったよなと思う。
それもコミュニケーションの一つだと思うし、親や先生以外の大人から怒られる経験って結構大事だと思う。色々な価値観を知る意味でもね。
なんだか最近はそういうシーンって見ないよな。
電車でも騒いでる子供いるのにほったらかしな親とかいて。そんなもん、怒鳴り散らしてやればいいと思うわ。
でも、他人の子供を叱るのって勇気いるよな。
そう思うと昔の人たちは相当勇気があった。怒鳴るどころか引っ叩かれたやつもいたからな。
そんなの今やったら大変だろうけど。
——
とある休日。
ショッピングモールに家族で出かけた。
途中、腹が減ったのでフードコートへ。
しかしまぁ最近のショッピングモールは子供の気をひくための仕掛けがあちらこちらにあるな。
そこのフードコートは真ん中に大きな噴水があって、何分かおきに光と音の演出がはじまる。
子供たちはその演出がはじまると噴水の周りに集合。
数分の間、そこから動かなくなる。
余談だが、あれは失敗だろ。
だって飯食いに来てんのに、あんなのがあると子供が集中して飯を食わない。
我が家の息子は「まずは飯を食ってから!」という指令を守って、
食い終わったら、晴れて噴水鑑賞に。
「パパ、見といて」という指令のもと、俺も一緒についていく。
すると1人の少年に出会った。
歳は息子より下。3歳から4歳あたりか。
親は一緒にいない。どこかの席で飯でも食ってるのか。
一人で遊んでいる。
鉢に植えられた植物が噴水を取り囲むように配置されている。
おそらくは転落防止も兼ねているのだろう。
少年はその鉢の植物を熱心に見ている。
俺がボーっと噴水を見つめていると、
息子「あっ!」
「どうした?」
俺が息子をみると、ある方向を指差している。
その先にはあの少年。
少年は植物の葉っぱをむしりとり、
噴水めがけて投げ込んでいる。
息子「あれさ、ダメじゃない?」
「あー、あー、あれはダメだな」
息子「ね。ダメだねーありゃ」
「おまえ、教えてやれよ」
息子「えっ!?なんで俺!?」
「だって気づいたのおまえだろ。あの子はまだ小さいから、あれが悪いことだってわからないんだよ。」
おそらくそうだ。
自分がやっている事が悪い事だという自覚がない。
そこに植物があったからむしって投げてるだけ。
でもしょうがない。わからないんだから。
ならば、誰かが教えてやればいいだけの話し。
息子「いやだよ。なんで俺だよ」
「おまえ、教えてやれよ!」
息子「いやだよ!」
「なんで!」
そんな押し問答をしていると、ついに鉢一つ分の葉をむしりとってしまった。そしてついには、根っこから引っこ抜こうとしている。
もうダメだ。時間がない。
「おまえ、本当に正義感ってのが無いやつだな」
息子「なにそれ」
「まぁいいよ」
見るにみかねて俺は少年に歩み寄った。
細心の注意が必要だ。
自分の子供じゃないんだし、ましてやまだ小さい子。
頭ごなしに言うんじゃなく、最善の注意の仕方を・・・
「あのさ、葉っぱをそんなにとると木が泣いちゃうよ。」
なにこれ!!
木が泣く!?
自分で自分を褒めよう。
これぞ6年間の育児のたまもの。
素晴らしい。頭ごなしにいうのではなく、
ユーモアも交え、優しくいけない事だと伝える。
100点!
すると少年は鉢から手を離した。
その後、その子の親がやってきて、
「すみません」と言われた。
いいってことよ。
子供なんてみんな一緒だ。
みんなで育てれば良いのだ。
しかしまぁあれだな、うちの息子は。
勇気がないというか、なんというか。
男ならもうちょっとビシっときめてほしいもんだ。
そう思って息子のいる場所へ戻ると、
息子「うえーーーーーい!」
!!!!!
「てめーーーーー!!
葉っぱむしって投げてんじゃねぇよ!!
お前の手、へし折るぞ!!!」
やはり自分の子供を叱るほうが楽だ。
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