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#10 スポーツが教えてくれたこと

スポーツを考える」をテーマに、チビチビと連載してきましたが、なんとか10回目まできました。
この連載では、自分の中での疑問や、どうしたらスポーツを文化にできるのか、を考え、備忘録的に記録してきました。

私は、自分でもスポーツを経験し、今は見る側、支える側となり、スポーツから沢山のことを学ぶ中で、スポーツがもつチカラを感じてきました。そんなスポーツというものが我が国で文化となることは、この国に元気を与える重要なポイントになると信じています。

記念すべき第10回は、いつもの「考えるシリーズ」ではなく、
そんなスポーツが、私にいったい何を教えてくれたのか、を書こうと思います。
沢山のことを教えてくれたスポーツですが、今回はその中でも印象深い1つをピックアップします。


試合の流れ

私はバスケ部出身です。
試合に出場するたびに感じることがありました。

試合前、どんなに調子が良くても、うまくいかない時間ってあるな、と。
これは、逆のパターンもあって、試合前、今日はなんか調子悪いな、なんて思っていても、試合の中で、結構いい時間があったり。
これは他のスポーツでもあることだと思います。

試合には流れがあって、その流れは必ず一定ではなく、あっちに流れたりこっちに流れたりします。
監督やコーチは、そんな流れに敏感で、どうにかこうにかして、いい流れにしようと策を練るわけです。
選手は選手で、自分の力で、良い流れにしようと必死にプレーするんですが、わたしはある人から言われた言葉で考え方がかわりました。

悪い流れの時こそ、我慢だ。無理に良くしようとして、いつもと違うことをしては、もっと悪くなるかもしれないから、我慢。流れはいつか、良くなる時がくる。良くなったら、あとはガンガンいけ。流れはいつも悪いわけじゃない。必ず良くなる時がくるから。


当時、わたしは自分の調子が悪いと、無理やり攻めたり、チャレンジなシュートを打って、外したりしていました。
そういうことがあると、さらに泥沼で、最終的にその試合に乗り切れず終わるという結果に。
自分の調子が悪いのは自分のせい。
だから早く取り返さないと。
そんな焦りからくるプレーは上手く行くはずがありません。

そんな時、前記の言葉をかけられました。
相手は先輩でした。
最初は、「そっすね」なんて感じで、あまり真剣に聞いてなかったんですが、しばらくたって、それを実感する経験をしました。

わたしの特長はオフェンスでした。
ある試合で全くシュートが入らない。
自分では調子が悪いなんて思っていなかったのに。
そこでちょっと嫌になって諦めました。
今日は打つのを止めよう、どうせ入らねーし、と。
で、「しょうがないから今日はディフェンスで頑張ろう」と決めて、チャンスの時には極力、仲間にパスするプレーに切り替えたのです。
なかば諦めに近いカタチで。

すると!
チームの流れは徐々に良くなり、仲間が、ばかすかとシュートを決めてくれました。
自分自身は決められなかったけど、チームは勝利。
なんとなく消化不良でしたが、チームが勝ったことで、少しだけ気は楽でした。
こんな試合もあるわな、と。

しかし次の試合も調子は戻らず。
が、その時もチームが勝利。その試合も前回同様にディフェンスで頑張って、オフェンスは仲間に、というプレーに徹しました。

そんな日々が続いて、またある試合。
ついにわたしのオフェンスが爆発しました。
やっと来たよ!そんな感じであとはノリノリでした。
その試合後にあの先輩の言葉がよぎったのです。
あ!こういう事か、と。

必ず流れはくる。
だから我慢。

わたしの場合、意図的に我慢したわけではなく、半ば開き直り、諦めに近いカタチでしたが、結果、それがいい流れを引き寄せた。

悪い流れの時の過ごし方が重要なのです。
流れは絶対に一定ではないので。


わかったけど、難しい

というわけで、悪い流れの時は我慢、という事を痛感した私でしたが、これが難しい。

我慢が出来ないんです、意外に。
やっぱりイライラするし、焦るし、つまらないし。
それに、いつ流れが良くなるかが分からないっていうのも不安になる理由でした。
試合を通して目指すはチームの勝利です。
俺が俺がとばかり考える、そんな自分勝手な奴はベンチへと下げられて当然です。

我慢。
これが本当に難しい作業でした。
俺はこんなもんじゃないんだよ。と、いつも思ってしまう。
でも、1つ思う事としたら、だからと言って、試合放棄するような奴には二度と良い流れは来ないという事です。
前回の成功例も、開き直りではあっても、
私はディフェンスで貢献しようと切り替えられました。
シュート入らねーし、もういいや、つまんないし、「こんな試合勝っても負けてもどうでもいい」と試合放棄はしなかった。
今出来る事を一生懸命やって、チームに貢献しようと思えた。
なぜなら、勝ちたいからです。

そこがポイントな気がします。
ただの我慢ではなく、今出来ることと、出来ない事の見極め。
そして、試合自体は絶対諦めない。
そうして待っていると、良い流れは必ずやってくる。
これまた、難しいんですが、そんな気がします。

最大の目標を見失うことなく、我慢する、という感じです。


人生という試合

生きていても同じようなことを感じることがあります。
「最近なんかついてねーなー」って思ってたら、
次に良いことが起きるような。

人生、山あり谷あり。
悪いことばかりじゃない。
そんな感じです。

でも、やはりそこもバスケの試合と同じで、
ついてないからといって、
自暴自棄になったり、諦めたら終わりです。
我慢して、今やれることを頑張る。
そして来るべきチャンスに備えるということが必要です。

ついてねーなー、と思うことはしょうがない。
鬼のように、ポジティブな思考を持つということとは、ちょっと違う気がします。
ダメな時はダメだし、ダメな事に関しては、
ある意味諦めてもいい気がするんです。
でも、その状態でもできることはある。
例えば、デフェンスだったり、
例えば、声を出すことだったり、
例えば、目の前の仕事だったり、
例えば、部屋を綺麗にするだったり、、。

何でもいいから、何かをやるということ。
そして、そもそもの目的・目標はなんだったのかを忘れないこと。
「流れ」というだけに、絶対に止めてることだけは良くない。

そんなことをスポーツで学び、
実生活でも実感しています。


スポーツは教えてくれる

と、なんか今回は偉そうに書いてしまいましたが、私もまだまだ出来ていません。
しかし、流れは必ず来る、という体験を少なからず出来たことは、
間違いなく私の今後の人生に、いかされると思います。

この事以外にもスポーツは沢山のことを教えてくれます。
仲間の大切さや、反対に自己主張の大事さ、
諦めない気持ちなど。

学校の授業や、もしかしたら家族ですら教えてくれないようなことを、スポーツを通じて体験できると思います。

今後もスポーツを体験する子供達が増えて、
我が国にスポーツという文化が根付いていくために、どんな事が必要なのか、
考えていきたいと思います。


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