3年後...2018MLBドラフトレビューLAA

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
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成績
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1(17). ジョーディン・アダムス(Jordyn Adams):OF:右投右打:6-2/180: Green Hope HS:$4.1M($3.472.9M)
アメフトでも活躍しており、父親がアメフトのコーチということもあって大学に進学しアメフトをするのではないかと予想されていたが、無事契約に至った。アメフトを選ぶと予想されていた理由の1つに打撃の粗さがあったが、ドラフトイヤーの春にかけて改善が見られ、トップレベルの投手に対応できたことで評価を上げた。まだまだ成長期ということもあって、パワーポテンシャルは高い。ベストツールはスピードで、今ドラフトでも最高クラスとも。野球IQも高く、走塁の評価も高い。守備ではレンジの広さは文句なしだが肩は平凡。それでもCFを守れるレベルにある。

成績

純粋な身体能力の高さは依然トップレベルのようですが、それが成績に現れていません。特にA+でプレーした21年は打率、出塁率、長打率全てで自己ワーストをマーク。三振の数が急増してしまい、低打率にあえぐ結果となりました。また、プロ入り直後から常にGB%が高く自慢のパワーポテンシャルも開花せずくすぶったままです。スピードと守備だけで食べていくには惜しい選手ですが、このままではリザーブ要員となっても仕方ないでしょう。


2(57). ジェレミア・ジャクソン(Jeremiah Jackson):SS:右投右打:6/165: St. Luke's Episcopal School:$1.194M($1.196.5M)
体格は細身だが、パワフルなスイングでパワーは平均かそれ以上のものがある。ただバットを振り回しているだけでなくボールを見極め、広角に打ち分ける器用さも兼ね備えている。スピードがそれほどあるわけではないが、走塁センスは高く盗塁成功率も高い。守備ではグラブさばきやフットワークの評価は高いが、肩の強さは平凡なため、SSに残れるかは疑わしい。打球反応の鈍さも指摘されており、将来は2Bを主戦場とすることになるだろう。

成績

プロレベルではさすがに空振りが多くなり、それに伴い三振も増えましたがあえてアプローチを変えずに長打を求め続けたことが好成績につながっているようです。K%は常に30%前後とかなり高いですが、それくらいの三振は許せるレベルで長打を打ち続けています。三振が多いこと自体はいいことではありませんが、今後ピッチセレクション等を試合を通して学んでいくと考えればいい授業料なのでしょう。三振の多さ以上に問題なのが故障の多さ。シーズン100試合以上に出場した経験がなく、シーズン通して成績を維持できるのかという点については依然として疑問符がつくところではあります。


3(93). アーロン・ヘルナンデス(Aaron Hernandez):RHP:右投右打:6-1/170: Texas A&M - Corpus Christi:$547.5K($604.1K)
最速98マイルの速球と、スローカーブ、スライダーのコンビネーション。体格は小柄ながらもスタミナがあり、速球は試合が進んでもスピードが落ちない。速球と変わらないアームスピードで投げられるスローカーブの評価は高く、チェンジアップが持ち球になくてもタイミングを外す術を習得している。キレのいいスライダーも空振りを奪えるボール。デリバリーは力感が強く、そのためかコントロールが定まらないことが多い。また、小柄な体格で無理に力んでいるため、故障のリスクも懸念材料。17年に大学でプレーできなかったのは故障が原因ではなく、大学の成績が悪すぎて野球を禁止されたため。

成績

懸念されていたコントロールがプロでさらに悪化。ほとんどスターターとして投げていますが、5回持たずに四球で自滅というパターンが多いようです。まずはストライクをまともに取れないことにはメジャー昇格の芽はないでしょう。


4(121). カイル・ブラディッシュ(Kyle Bradish):RHP:右投右打:6-4/190: New Mexico State:$397.5K($455.7K)
90マイル中盤の速球とカーブ、チェンジアップ、カッターのコンビネーション。速球は球威があるが、フラットな軌道になりがちで捉えられやすい。アウトピッチは縦に割れるカーブで、空振りを奪える球種。チェンジアップの評価も高く緩急をつけるピッチングが持ち味。カッターも改善傾向にあり、横の変化で打者を揺さぶることもできる。タイラー・クリッパードを彷彿とさせるデリバリーで、そのダイナミックさが一因となってかコントロールは悪い。変化球のレパートリー、体格を考えると先発としても十分だが、リリーフの方に適正があるのではないだろうか。

成績

19年に18先発で100イニング以上をクリアすると、そのオフにディラン・バンディとのトレードでBALへ移籍しました。21年はAAAでプレーし再度100イニング以上をクリアしました。これで大学時代を含めると3シーズン連続で100イニングクリアとなり、ワークホースっぷりを見せています。球速も3マイルほど上昇しているようです。一方で、投石器のようなデリバリーとコントロールの悪さはそのままのようです。メジャーレベルでもスターターとして投げられるかは微妙なラインですが、奪三振能力は高いのでリリーフに回ったとしても戦力になりそうです。


5(151). ウィリアム・イングリッシュ(William English):RHP:6-2/185: Western International HS:$700K($340.3K)
昨年のハンター・グリーン、ブレンダン・マッケイに続く二刀流選手。打撃では粗削りながらもパワーポテンシャルが光る。投球に対する理解が浅く、簡単に凡退してしまう点が気がかり。スピードと肩の強さは一級品で、CFを守ることができる。投手としては最速95マイルの速球が最大の武器。まだスピードが上昇する余地は大きく、期待がかかる。ソリッドなチェンジアップを投げるが、それ以外はイマイチ。コントロールも粗い。プロではひとまず野手としてプレーをしているが、どちらを選ぶにせよ現時点では粗さの方が目立っている。

成績

シーズン最多出場がドラフトイヤーの30試合とほとんど試合に出ていません。まずは、健康に1シーズン戦い抜くことが求められます。


6(181). オースティン・ウォーレン(Austin Warren):RHP:右投右打:6/170: UNC Wilmington:$7.5K($260.1K)
90マイル前半の速球とスライダーのコンビネーション。速球は球威に欠けるがコマンドに優れており、狙ったコースに投げることができる。安定してストライクゾーンに入れることができるため四球も少ない。アウトピッチのスライダーは、変化量の多い曲がり落ちるタイプ。キレがよく、打者の左右を問わず空振りを奪える。大学時代はリリーフとして圧倒的な成績を残しており、プロでもリリーフとしての活躍が見込まれる。

成績

この年に大量指名された大学生シニアリリーフの中でも、頭一つ抜けた成績をここまで残しています。シンカー、スライダーのコンビネーションを武器にゴロアウトを大量に奪っています。マイナーではコンスタントに四球を出すこともあったようですが、メジャーでは特に上記の2球種について、コマンドできているようです。来年はメジャーフルシーズン1年目となりますが、コマンドさえ今の基準を保てれば問題ないでしょう。


211. アンドリュー・ワンツ(Andrew Wantz):RHP:右投右打:6-4/235: UNC Greensboro:$10K($203.5K)
90マイル中盤の速球とチェンジアップのコンビネーション。高身長を活かした投げ下ろすようなデリバリーで、速球に角度がついており打ちづらさが増している。回転のいい4シームを投げるため、高めに投げて空振りを奪うこともできる。アウトピッチはチェンジアップ。変化量は多くないがよくブレーキがきいており、タイミングを外して空振りを奪えるボール。コントロールに難があり、ストライクに投げられれば敵なしだが乱れると俄然もろくなる。

成績

ウォーレンと同じく大量に指名された大学生シニアリリーフの1人でしたが、21年にメジャーデビューを果たしました。コントロールの悪さは改善されていませんが、21年はAAAで四球数が激減。失点も大幅に減りメジャーデビューへとつながりました。速球のスピードは平凡でしたが、やはりスピンレートは高いようで、高めに投じて空振りを奪うという現代野球に適応しているようです。スライダー、チェンジアップといった変化球よりも4シーム、カッターをアウトピッチにして三振を奪っています。スライダーもチェンジアップも使えない球種ではないように見えるので、コンスタントに変化球で三振を奪えるようになるとピッチングの幅が広がるかもしれません。


241. タイラー・スミス(Tyler Smith):RHP:右投右打:6/230: Canisius College:$2.5K

成績

21年途中までA+で投げていましたが、今年のドラフトクラスの入団に伴い8月にリリースとなりました。

9(271). ジェイク・リー(Jake Lee):RHP:右投右打:6-4/215: Oakland University:$7.5K($147.5K)
大学入学後の2年間故障に苦しんだこともあり基礎的な体つくりのためにウェイトトレーニングを始め、それが功を奏し今では速球の最速が97マイルをマークするようになった。この速球と、チェンジアップ、カーブを組み合わせ、打者のタイミングを外すピッチングスタイル。奪三振能力の高さを買われて、プロではリリーフに完全転向。

成績

プロではリリーフ1本かと思いきや、19年に先発もし始めると21年は完全にスターターに転向。大学時代不安定だったコントロールが改善されたのが認められてということのようです。ただ、21年は故障で5試合の登板に終わり防御率も5点台と少し足踏み。FIPなどの数字はそれほど悪くないので今年の復活に期待できるでしょう。

(10)301. ベン・モリソン(Ben Morrison):RHP:右投左打:5-11/185: Western Kentucky:$2.5K

成績

19年はA/A+で好成績を残していましたが、シーズン途中で突如引退してしまいました。


総括(2018)
2年続けて身体能力の高い高校生野手を1巡目で指名。かねてからアスリートタイプの高校生野手を好んで上位で指名しており、1巡目のジョーディン・アダムス以外にも2巡目のジェレミア・ジャクソン、5巡目のウィリアム・イングリッシュを獲得。今年も最近の方針を貫いた。大学進学の意向が強い選手との契約を毎年成功させており、その手腕はお見事と言うほかない。大学生は投手、それも奪三振能力の高いリリーフタイプを大量に指名。上位10人中下位5人は、全て大学生のシニアとボーナスプールの調整をここでする意図もあったのだろう。名前を上げた高校生3人のポテンシャルを考えると、節約もやむなしか。

総括(2021)
1巡目のアダムスがプロのレベルに対応し損ねているなか、2巡目のジャクソンがブレークの気配を漂わせています。アダムスもまだまだ可能性のある選手ですが、打撃で改善すべき点が多すぎて見通しは厳しそうです。最後の高校生イングリッシュは現時点ではホルムズに登録名を変えたところが最大ニュースになっています。
大量指名した大学生投手はウォーレン、ワンツが既にメジャーデビューを果たし、節約要員が戦力としてメジャーレベルに到達するサプライズを見せました。ブラディッシュも既にAAAに到達し40人ロースター入りしており、メジャー昇格は目の前です。高校生3人が大成しなくともまずまずの成果を上げたドラフトとなりそうです。

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