【MLBドラフトレビュー】3年後...2020ドラフトレビューLAA編

目ぼしい選手を5人ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
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1(10).リード・デマーズ(Reid Detmers):LHP:左投左打:6-2/210:Louisville:-:$4.74M

90~92マイルの速球と70マイル中盤のカーブ、80マイル前半のチェンジアップのコンビネーション。ストライクスロワー。速球は2シーム系で、ムービングに富む球種。カーブをカウント球にもアウトピッチにもできる点が最大の武器。父親から高校生になるまでカーブを投げることを禁止されていた。

成績

 21年にAAでプロデビューを果たすとイニング数を大きく上回る奪三振数をマーク。8月にはAAAを飛び級してメジャーデビューを果たしました。しかし、故障もあって5試合のみの登板に終わりました。マイナーでは無敵の様相を呈していましたが、メジャーでは打ち込まれることが多く防御率も7点台となりました。
 それでも、翌22年は開幕からローテーションの座をつかみ取り、25試合に先発。ノーヒットノーランも達成し、飛躍の年となります。
 今年も1年間ローテーションを守り続け、28試合に先発しておりチームには欠かせないローテーションの柱となりつつあります。
 アマチュア時代と大きく変わったのは球速でしょう。90マイルに到達するか否かという球速から年々スピードアップしており、現在は平均で94マイルを出せるようになりました。メインの球種も2シーム/シンカー系から4シームへとシフトチェンジしました。
 ただ、速球のスピードは上がりましたが新しく投げている4シームはムービングに乏しくフラットな軌道になってしまい、打者からすると捉えやすいボールになってしまっています。ベストピッチのカーブと対になるように4シームへとシフトチェンジしたのだとは思いますが、4シーム単体で見ると思うような効果は得られていないようです。
 これ以上球速が上がるとは考えづらい4シームにこだわり続けるよりかは、2シーム/シンカー系に原点回帰してもいいのではないかとも思います。
 課題はありますが大きな故障なく投げ続けることはできており、今後もイニングイーターとしての役目を果たしていくことになりそうです。


3(82).デビッド・キャラブレス(Davis Calabrese):OF:右投左打:5-10/160:St.Elizabeth Catholic HS:-:$744.2K

20-80スケールで80の評価を得るスピードが最大の魅力。OFの前に落ちる打球でも2塁を陥れることもできる。このスピードを活かした広いレンジをカバーする守備も持ち味。打撃では当てるだけでなくしっかりと振り抜くスイングが特徴だが、ハードヒットをコンスタントに飛ばせるほどではない。アームは平均レベルなため、将来的にLFを守る可能性もある。

成績

 21年にRkでプロデビューし、今年はAAに昇格しましたが打撃では低迷が続いています。
 プロ初年度からOPSが.700を下回りK%は30%超と不安な要素がてんこもりでしたが、予想に反することなくプロ3シーズンでのOPSは.672と低迷しています。今年はモデルチェンジを図ったのかキャリアハイとなる15HRをマーク。ただ、122試合に出場して打率は.200未満とアベレージを残すことができておらず、それに伴ってHR以外の長打も減少していては元も子もありません。
 少ない出塁機会ながらも2年連続で2桁盗塁をマークしていますが、キャリアハイでもシーズン25盗塁と前評判を考えると寂しい数字です。
 打撃で大きな進歩がない限りこのままフェードアウトしてしまいそうです。


4(111).ワーナー・ブレイクリー(Werner Blakely):SS:右投左打:6-3/185:Detroit Edison HS:-:$522.6K

身体能力の高さが魅力のハイリスクハイリターンなタレント。スキニーな体型ながらも、パワーポテンシャルの高さを感じさせるスイングを見せる。SS守備では持ち前のスピードを活かし、広いレンジをカバー。フットワーク等も問題ないが、アームには疑問が残る。

成績

 22年にAで55試合のみの出場ながらも、OPS.917をマークしプチブレーク。54安打中20本が長打と持ち前のパワーポテンシャルを発揮しました。
 今年はフルシーズンに出場してさらなる飛躍が期待されましたが成績は奮わずトーンダウン。A+で92試合に出場しましたが、安打数や長打数は昨年とほぼ変わらず打率や長打率等は軒並み低下しました。
 最終盤にAAに昇格しましたが、2試合で無安打に終わってしまいました。
 高校生上がりのため何よりも経験が重要なのですが、プロ入り後は毎年長期離脱しておりシーズン100試合以上の出場した年がありません。パワーツールはある程度通用することは分かっているので、コンタクトスキルが洗練されればベンチプレイヤーとしてメジャーで戦力になるかもしれません。
 ポジションは既にSSから3Bへとコンバート。より打撃で存在感を示さなければならない状況となっています。


5(141).アダム・セミナリス(Adam Seminaris):LHP:左投右打:6/185:Long Beach State:$144K:$390.4K

90マイル前半の速球とカーブ、スライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速でも93マイルと球威不足だが、コマンドでカバー。アウトピッチのカーブは変化量が多く、空振りも見逃しも奪える。チェンジアップの扱いにも長けている。奪三振能力は低いが、四球は滅多に出さない。

成績

 プロ入り後もカタログスペックはほぼ変わらず、スターターとして投げ続けています。アマチュア時代より四球は増えてしまいましたが、コントロール/コマンドが悪くなったというよりもコーナーを狙いすぎて四球になっているようです。
 AAAに到達した昨年はオフにハンター・レンフローとのトレードでMILへ移籍しました。
 今年はAAスタートとなりましたが、故障の影響もあって登板数・イニング共にキャリアワーストとなりました。
 球威に欠けている点が仇となってAA-AAAでは打ち込まれており、通用しているとは言い難い状態です。4シーム、2シーム共にそれほどムービングに秀でているわけでもないので、隅へ隅へと投げていくうちに四球を出してしまっているようです。
 今年はルール5ドラフトの対象となりますが、プロテクトとも指名とも縁がなさそうです。


総括

 近年のLAAの異常なまでの早期昇格はリード・デトマーズの成功があったからこそでしょう。元々ハイシーリングなタレントであったためマイナーに漬けておく時間は短くなるだろうと予想はしていましたが、プロデビューイヤーに即メジャー昇格するとは思いもしませんでした。
 全体10位指名の投手という肩書からすると物足りなくも感じますが、元々エースポテンシャルの選手でもなかったため過度に期待しない方がいいでしょう。
 高校生の野手2人は打撃でつまづいており、目立った活躍を見せていません。健康な状態でのワーナー・ブレイクリーの活躍にも期待したいですが、厳しいでしょう。


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