【MLBドラフトレビュー】3年後...2020ドラフトレビューTEX編

目ぼしい選手を5人ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
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1(14).ジャスティン・フォスキュー(Justin Foscue):2B:右投右打:6/201:Mississippi State

打撃で高い評価を得るヒッティングプロスペクト。元々はアプローチに優れた非力なアベレージヒッターだったが、筋肉量を増やしスイングを改造したことでモデルチェンジ。長打が激増し、スラッガーの仲間入り。それでいてアプローチを崩さず三振を抑えることにも成功。打撃以外では目立ったツールはなく、守備ではミスの少ないソリッドがウリ。

成績

 21年のプロデビュー以降順風満帆なキャリアをすごしています。デビューイヤーにいきなりOPS.900超えの大活躍を見せると、22年からは2年連続となる30二塁打/15HR/OPS.850以上をマーク。
 AAAに昇格した今年はピッチセレクションにも磨きがかかり、プロでは初となるBB>Kも達成。打撃成績では隙は見当たらず、まだメジャーデビューしていないのが不思議なほどです。
 これほどの成績を残しながらもメジャーデビューを果たせていないのは、メジャーチームの層の厚さとフォスキューのポジションの問題があります。
 メインのポジションである2Bにはチームリーダーであり長期契約を結んでいるマーカス・セミエンが陣取っており、よほど大きな故障がない限りお鉢が回ってくる可能性は低いでしょう。
 サブポジションの3Bにはメジャーに昇格してばかりのジョシュ・ユンがおり、ここからレギュラーの座を奪うのも難しいでしょう。
 唯一可能性があるとすれば調停でサラリーが高くなりそうな1Bのナサニエル・ロウをトレードで放出して、その後釜にフォスキューを据えるというものです。ただ、資金に余裕のあるTEXがわざわざサラリーダンプをするとも思えず、かなり薄い線であることには間違いありません。
 むしろトレードされるとるすればサービスタイムがたんまり残っているフォスキューの方で、オフの補強のための駒として使われることになりそうです。


2(50).エバン・カーター(Evan Carter):OF:右投左打:6-4/190:Elizabethton HS:$1.25M:$1.45M


成績

 20年当時全くの無名選手でレポートを用意できなかったのですが、高校生上がりながら3年でメジャーの舞台にまで駆け上がりチームのワールドシリーズ制覇にも貢献するまでの選手となりました。
 徹底したゾーン管理とバレルフィーリングの高さはずば抜けています。マイナーではBB%が15%を下回ったことがなく、メジャーでも少ない出場機会ながらも15%以上となっています。その一方で三振数を抑えることにも成功しており、深いカウントまで進めるアプローチにもかかわらずK%が25%を超えたのはメジャーで出場していた期間のみです。
 打ち上げすぎず、かつゴロにならないようにするバットコントロールは見事で、どのクラスでもハイアベレージを残すことに成功しています。
 パワーツールは上記2つのツールに比べるとそれほど抜けたものはありませんが、フルシーズン出場すれば20HRくらいはクリアできるでしょう。
 黄金期を迎えることになりそうなTEXの中心選手として長くチームを支える選手となりそうです。


3(86).テコア・ロビー(Tekoah Roby):RHP:右投右打:6-1/185:Pine Forest HS

90マイル前半の速球とカーブ、チェンジアップのコンビネーション。2シーム系の速球は最速で94マイルをマーク。ムービングに高い評価を得ている。アウトピッチはカーブで、低めに落とし空振りを誘う。チェンジアップは発展途上。ストライクを取ることに苦労しないレベルのコントロールは有しているが、コマンドはまだまだ。

成績

 プロデビューイヤーは故障でほとんど登板がありませんでしたが、初のフルシーズンとなった22年にブレーク。A+で100イニング以上を投げ、K/9も10.8と高水準の数字をマーク。AAに昇格した今年はシーズン途中にジョーダン・モンゴメリーとのトレードでSTLへ移籍しました。
 プロ入り後は速球のメインを4シームへと変更。ベストピッチのカーブとの高低のコンビネーションは非常に優秀で、大量に三振を奪うことができています。
 新たにレパートリーに加えたスライダーもキレのいいボールでピッチングの幅を広げています。
 課題はやはりコマンド。高低と内外のコマンドがかみ合わないことが多く、アウトピッチの変化球をゾーン内に投げ込んでしまうこともしばしば。
 また、故障の多さも懸念材料。今年も移籍してすぐに肩を痛めSTL傘下ではほとんど登板がありませんでした。


5(145).トーマス・サジェス(Thomas Saggese):SS:右投右打:5-11/175:Carlsbad HS:$800K:$375.2K

ヒッティングツールに優れた小兵。小さく足を上げてタイミングをとるスイングで広角に打球を飛ばすことができる。持ち前のスペックは平凡だが、スキルは優秀で守備・走塁共に足りない部分を補っている。素手でバットを持つ。

成績

 マイナーでは3年連続でシーズンOPS.800とwRC+120以上をクリアしています。ヒッティングツールの優秀さはプロでも変わらず2年連続で打率.300以上をマーク。昨年までは非常に早打ちで四球の少なさが目立っていましたが、今年に入ってからは警戒されることも増えたとはいえ四球を増やすことに成功しています。
 パワーツールも非凡なものがあり、今年はキャリア初となるシーズン20HR以上もクリア。サイズのハンデはほとんどないかのようにプレーしています。
 今年のシーズン途中に上記のテコア・ロビーと共にジョーダン・モンゴメリーのトレードでSTLへと移籍。移籍先でも打ちまくりAAAに昇格しました。来年にはメジャーで見ることになりそうです。



総括

 1巡目のジャスティン・フォスキューはこれ以上にないくらい順調にステップアップしていますが、メジャーチームの層の厚さもあってまだメジャーデビューを果たせていません。
 体を大きくしすぎたためアジリティが落ちているとも言われており、最終的には1Bに落ち着くという意見も見かけるほどです。ベンチプレーヤーとしてこのレベルの選手がいれば心強いことこのうえないのですが、今がバリューの高止まりの時であるようにも見えるので売りに出すのが最善策でしょう。
 当時はサプライズ指名だったエバン・カーターですが、現時点では20年に指名されたどの高校生よりもbwar/fwarを稼いでいます。ポストシーズンでも活躍し、後半の2ヵ月の出場のみでTEXに欠かせない選手となりました。たった2ヵ月なのでフロックだろうとも思いたくなりますが、どの数字を見てもポジティブな要素が多く来年以降も成績を落とすことはないでしょう。
 後半2人もトレードの弾として間接的にチームのワールドシリーズ制覇を助けました。この年のドラフトがメジャーチームの最大の目的であるワールドシリーズ制覇に多大な貢献を果たしたと結果を見ると、この年最も成功したドラフトなのはTEKなのかもしれません。


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