【MLBドラフト】3年後...2019MLBドラフトLAA編

目ぼしい選手を5人(場合によっては4人)ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
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1(15).ウィル・ウィルソン(Wil Wilson):SS:右投右打:5-11/175:North Carolina State:$3.4M($3.89M)
小柄ながらも足を大きく上げ、振り抜くスイングでハードコンタクトを生み出すことができる。それでも、プロのレベルでそのパワーを発揮できるかについては懐疑的な見方もあり、パワーツールは平均レベルと見る向きが多い。ヒッティングスキルは悪くないが、平凡なアプローチが気になるところ。スピードが平均を大きく下回り、SSとしてはレンジが物足りない。アームも平凡なため将来は2B転向が濃厚。試合勘のよさも高評価。

成績

 プロデビューイヤーの年にルーキーリーグでOPS.768とまずまずの成績を残し、ザック・コザートと共にSFへとトレードされました。過去2シーズンは2桁HRをクリアしましたが、それ以外のスタッツは低調。特にK%は30%超えとなっており、危険水準。打率も低調でA+以上のクラスでは.251がキャリアハイと大学時代は一度も打率が.300を下回ったことがないのが信じられない数字です。
 この低打率の原因として挙げられているのがハードヒットを飛ばすことを意識しすぎて、大振りになっている点です。元々小柄で持ち前のパワーポテンシャルも限られているため、どうしても大味なスイングになってしまっているようです。そこに、雑なアプローチも加わってプロではヒッティングでつまずいてしまっています。
 SSのポジションも確固たるものではないため、バリューが見出しにくい選手になってしまっています。


2(55).カイレン・パリス(Kyren Paris):SS:右投右打:6/170:Freedom HS:$1.4M($1.31M)
コンパクトかつシンプルなスイングで広角に打ち分ける打撃が魅力。右方向へとラインドライブの打球を放つことができる。その一方で、内角のボールを上手くさばけないといった弱点がある。逆方向への意識が強すぎるのかパワーポテンシャルを発揮できていない。アームの強さを兼ね備えた軽快な守備を見せる。スピードも平均以上。今ドラフトでは最年少。

成績

 プロデビューイヤーは手の骨折で3試合の出場に留まりましたが、シーズン中断後の昨年は主にA-A+でPS.848をマーク。初のフルシーズンとなる今年はA+で苦しんだものの、昇格後のAAでは少ない試合数ながらも打棒が爆発し来年に期待が持てるしめくくりとなりました。
 パリスの打撃での最大の特徴は出塁能力の高さ。BB%は2年連続で15%以上と高く、ISObは2年連続で.120以上をマークしています。ただ慎重なアプローチのたまものであるため、HRが多いタイプではないにもかかわらずK%は30%近くなっておりあちらが立てばこちらが立たずといった状態。
 課題だったパワーツールは徐々に改善の兆しを見せており、体重もドラフト時よりも10ポンド増えておりパワーアップしつつあります。まだ、21歳になったばかりと若いため経験を積んで三振数を減らしつつ長打をコンスタントに打てるようになれば鬼に金棒でしょう。
 守備ではスペック不足が指摘がされており2Bに移る可能性があるでしょう。

3(92).ジャック・コチャノウィス(Jack Kochanowicz):RHP:右投右打:6-6/207:Haritton HS:$1.25M($637.6K)
90マイル前半の速球と70マイル後半のカーブのコンビネーション。速球は球速上昇が著しく、最速で94マイルをマーク。今後さらに速くなる可能性を秘めている。カーブはスピン量の多いパワーカーブで、アウトピッチとして有効。チェンジアップは滅多に使っていない。スタミナ不足なのか球速が落ちるのが早く、先発として投げるのなら要改善。

成績

 昨年ようやくプロデビューを果たしましたが、結果は散々。Aで20試合に登板して防御率は6.91。奪三振を大量にマークするわけでもなく、ひたすら打ち込まれるシーズンとなりました。今年はAで足踏みも故障で昨年よりも登板数・イニング共に下回りました。内容は多少改善されましたがわずかな差なため進歩と言えるほどのものではないでしょう。
 ドラフト時からは体重を増やすことに成功していますが、高校時代から球速はノビておらず1~2マイル速くなったか否かというレベル。サイズは申し分なく、未だにカーブの評価も高いためどこかのタイミングで一気にブレークする可能性は秘めていますが、期待薄でしょう。

6(181).ザック・ピーク(Zach Peek):RHP:右投右打:6-3/190:Winthrop:$267.8K($270.3K)
90マイル前半の速球とカーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球はシンカー系のものを好んで投げる。フォーシーム系は最速で95マイルをマークすることもあり馬力はある。カーブ、チェンジアップともに平均かそれ以上のクオリティがある。どちらでも空振りを奪える点が強み。スタミナがあり、試合が進んでも球速は落ちない。無駄な力感のないスムーズなデリバリー。

成績

 ドラフトされたその年のオフにLAAでは1試合も登板することなく、ディラン・バンディとのトレードでBALへと移籍しました。
 移籍してからの2年間でAAにまで昇格し、いずれのシーズンも主に先発として投げて防御率3点台で推移と好成績を残しています。今年は2度のIL入りがあったため登板数・イニング共に昨年の約半分程度となってしまいました。
 プロ入り後、速球の主体を4シームへとシフトしているようで、ノビのある4シームのおかげで大きく曲がるカーブがより効果的に使えるようです。
 AAでも通用することは既に証明済のため、タイミングが合えば来年の後半頃にメジャーデビューもありうるでしょう。


8(241).カイル・ブルノビッチ(Kyle Brnovich):RHP:右投左打:6-2/190:Elon University:$168.7K($171.2K)
80マイル後半の速球とナックルカーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は先発時は最速でも91マイルと球威不足。そのため、今ドラフトクラスでもトップレベルとの評価を受けるナックルカーブに依存気味。チェンジアップも投げるが、投げる割合は滅法低く、ほぼ2ピッチで勝負している。足を上げてから一瞬停止し腕を押し出すように投げるデリバリーは力感が強く、速球のコントロールが安定しない原因とも。リリーフだと最速で94マイルをマークすることもできるため、リリーフ向きだろう。

成績

 ザック・ピークと共にBALへとトレード移籍し、昨年デビューを果たすとブレーク。A+-AAで23試合に登板し、防御率3点台前半&K/9=11.7をマーク。一躍注目を集めました。
 プロ入り後もナックルカーブに依存気味なピッチングスタイルは変わりませんでしたが、大学時代よりもデリバリーの安定感が数段上がっておりそれに伴うコマンドの改善が昨年の好成績につながっているようです。
 今年はAAAスタートとシーズン中のメジャーデビューも視野に入っていましたが、故障による長期離脱のためおあずけとなりました。




総括
 1巡目のウィル・ウィルソンは頭打ちの状態でメジャーデビューも怪しくなりつつあります。ただ、LAAとしては1巡目というブランド力が完全に褪せる前にザック・コザートのバーターとして放出することに成功したので、悪くない成果をもたらしたと言えるでしょう。
 メジャーに近いクラスで好成績を残している2人もいずれもBALへと放出済み。ザック・ピークはともかく、カイル・ブルノビッチはハマればカイル・ブラディッシュのようにメジャーに定着できるポテンシャルのある投手なだけに真価を見極める前に安売りしてしまったようにも見えてしまいます。
 高校生はカイレン・パリスが打撃でポテンシャルを示す一方で、スロットの倍近くの契約金を費やしたジャック・コチャノウィスは伸び悩んでいます。高校生投手はギャンブルだったと割り切るしかないでしょう。


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