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「災害が発生する前に備えてほしい」 尾西食品さんからお話を聞きました。

先日の台風の被害に際し、心よりお見舞い申し上げます。
皆様方の一日も早いご復興をお祈り致します。

お湯または水だけで完成するアルファ米や人気のライスクッキーについて、営業本部、営業企画部、商品開発部の方からお話を聞いてきました。

ーまず簡単な会社説明をいただけますか。

尾西食品の創業者である尾西敏保(ハルヤス)は戦時中に海軍におりました。尾西敏保は、せんべいやクッキーなどのデンプンを使った食品が煮炊きする必要なく食べられることをヒントに、一度炊いたご飯を熱風で乾燥させたご飯を発明しました。それがアルファ化米です。
海軍の調べで、アルファ米は栄養面においてもご飯と変わらないということで、昭和20年、太平洋戦争の末期まで軍用食糧として海軍に納めておりました。

ー軍用食糧から非常用保存食品へと時代とともに製造するものを変化されておりますが、その中でも食物アレルギー対応製品を製造することになったきっかけを教えてください。

アルファ米が非常食として注目されるようになったのは阪神淡路大震災からですね。震災を機に、区役所が乾パンと同様に尾西のアルファ米(この時期はまだ食物アレルギーに配慮した製品ではない)を備蓄し始めました。
震災後、「災害が発生して3日間位は最低限の食糧を備蓄しておこう」との考えが生まれ、徐々に大きな自治体から小さな市町村まで備蓄するようになりました。
非常食が避難場所で提供される場合には、乳アレルギー疾患や小麦アレルギー疾患などのお子様は、非常食を食べられないことがあります。そこで、食物アレルギー疾患の方でも安心して食べてもらいたいと考え、アレルギー物質(特定原材料等)27品目不使用のアルファ米製品を開発し、2008年から自治体等へ納品させて頂いております。

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ー27品目不使用製品を製造する部屋はどのような工夫をされているのですか?

弊社の製品は、原材料にアレルギー物質(特定原材料等)27品目を使用していない製品と、27品目の一部が使われている製品があります。
そこで、不使用製品にアレルギー物質が混入しない様に、私達は包装室を完全に2つに分けています。不使用製品の包装室は外からアレルギー物質が流入できない様に、気圧を工場の中で一番高く設定しています。
更に作業員は身体に付着したアレルゲンを包装室に持ち込まない様に、衣服を掃除機で吸ったり、エアシャワーや手洗いで入念に除去してから入室する仕組みを徹底しています。また、包装機は作業が終わると毎回分解し、たん白質が残らない様にアルカリ洗剤で洗浄しています。

ーその他何か工夫されていることはありますか?

商品は徹底した管理を行っていて、万一、当社商品で問題が発生した場合は、直ぐに記録類に基づいて、製造状況が確認できるような体制になっています。また、お客様が召し上がった商品と同じ製造日の製品サンプルも保管していますので、不測にも食物アレルギー症状が発症した場合でも、保管サンプルを分析したり、包装機を特定したり、原材料の入庫日や、他にどの製品を包装していたか、誰が作業していたかなどを調べることが容易にできます。商品の賞味期限が最長5年半なので、製造から6年間は全て製品サンプルを保管しています。この仕組みにより、原因の究明と、発生した問題が限定的か否かの判断が早くなって、お客様への対応も早くできると考えています。

ー尾西さんはやはりアルファ米のイメージが強いのですが、ライスクッキーはどういう経緯で作られたのですか?

アルファ米は、水またはお湯を注いで喫食するご飯です。それとは別に、調理不要で簡単に食べられる“おやつ的”な物が非常時にあったら、喜んでいただけるのではないかと思っていました。そのような時、新潟県長岡市の洋菓子店で米粉を使ったクッキーを開発し、それが地元の保育園で喜ばれていることを知りました。その洋菓子店と長期保存で非常食にもなるアレルギー物質不使用のおやつの必要性を共有し、当社製品のライスクッキーが完成したものです。
その洋菓子店のパティスリーにも、お客様から「他の子どもと同じおやつが食べられて嬉しかった」といったお手紙を頂くこともあるようで、大変嬉しく思っています。

ー今後の尾西食品さんの展望を聞かせてください。

これからも、食物アレルギーをお持ちの方々が安心して召し上がっていただける商品のラインナップを増やしていきたいと思っています。既に、米粉パンや玄米めんなど、米飯やクッキー以外でもアレルギー対応製品を発売しています。
アレルギー物質27品目不使用の製品は、とかく味が単調になり易い傾向にありますが、安全安心と、美味しさを兼ね備えた非常食を開発していきたいです。
また、お客様が、当社製品の安全安心について容易に理解してもらえるように、認証制度の活用も積極的に検討して行きたいと考えています。
その他、地球環境に優しい製品づくりも意識していきたいですね。例えば、微生物が分解できるプラスチックを包材や備品類に使った環境配慮型の製品にもチャレンジしたいです。
時代と共にお客様ニーズは変化して行きますが、これからも、そのニーズに沿った製品を常に考えて行きたいと思っています。


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尾西さんのアルファ米、お湯か水を用意するだけで食べられるので本当に便利でおすすめです。袋の封を切って、注水線までお湯か水を注ぐだけ。お湯だと15分、水だと1時間待てば完成します。中にはスプーンも付いているので、容器いらずで、どこででも食べられます。

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やはり各地で地震が発生するたびに全国から注文が入るそうです。発生してからでは遅いので、強い地震が起こる前に備えをして欲しいと、尾西食品さんがおっしゃっていました。今はネットで簡単に買える時代ですし、一度買ったら5年間は保存できるので、まだ準備されてない方は是非。


尾西食品株式会社HP:https://www.onisifoods.co.jp/index.html


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