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おいしすぎる米粉パン誕生までの話を聞いてきました。

今回は第一屋製パンさんにお邪魔しました。個人的にも大好きな7品目不使用の米粉パン「FAHAN」について詳しく教えていただきました。

-私、FAHAN大好きなんです。そもそもどういう経緯でFAHANは誕生したのですか?

ありがとうございます。FAHANは、弊社の女性社員が自身の子育てを通して見聞きした食物アレルギーの情報や、子どもの離乳食選びの悩みから、今から3年半前の2015年9月に食物アレルギー対応パンの企画を立ち上げました。
パンメーカーとしておいしいパン作りをしてきたので、米という材料でもおいしいパンを生み出せないかなと取り組み、2018年の6月に発売致しました。


-3年半ですか・・・。具体的にどんなご苦労があったのですか?

もちろん1からこのレシピを作ることも大変でしたが、弊社は小麦のパンメーカーですので食物アレルギー、特に小麦アレルギーのことを考慮した製品作りの経験が無く、アレルゲン対応の新しい企画に対して会社の中を説得したり協力者を見つけたりするのが大変でした。その他には委託工場との立ち会いですね。FAHANは製造の委託をしています。工場を見つけて、そこの製造ラインを動かしたり、工場で働いていらっしゃる方々に教育をしたりしました。そこはパンを作っている専門工場ではなかったので、委託導入するのにすごく時間がかかりましたね。


-FAHAN誕生までの3年半で一番時間がかかったのはどの部分ですか?

一番時間がかかっていたのはおそらく工場との立ち会いの部分ですね。あとはこの企画を実際にやるって決まるまでが長かったです。


-実際にこの企画をやる・やらないで沢山話し合われたのですか?

そうですね。市場の大きさや本当にニーズがあるのだろうかというところから始まり、食物アレルギーの方や団体の方、患者さんなどから沢山ご意見をいただいたんですね。どういう時に困っているかとか、今後私たちが商品にして売っていった時にどこに売ればいいのかという知識が全くなかったので、インタビューして教えていただきました。なので実際にさぁやるぞ!となるまでにかなり時間がかかりました。


-結局、やるぞ!となったのは何故ですか?

チャレンジの気持ちがあったからですね。小麦のパンと比べていいのかわからないですけれども、小麦のパンはたくさんの商品があるのに米のパンに関しては本当に選択肢がなくて。小麦で培った製パンの技術でそこをなんとか米パンに活かせないかなと。なんとかしたいなと思いました。

-ずっと気になっていたのですが、FAHANはなぜ冷凍なのでしょうか。何か意味があるのでしょうか?

小さい子どもが食べることを想定し、できるだけ保存料を使用せずに日持ちさせる方法として冷凍保存を選択しました。自然解凍2~3時間でお召し上がりいただけるので、外出や学校給食に持参するのが便利というお声をいただいております。


-冷凍は保存料を使用せずに日持ちさせるためだったのですね。そんなFAHANの反響はいかがですか?

小さい子どもたち、米パン好きな女性、高級ホテルやレストランのシェフが食べた瞬間に「おいしい!」と笑顔になってくださるのが本当にうれしいです。
もちろん食物アレルギー団体の方や、団体に属するご家族の方からも評価をいただいています。


-本当においしいですよね。私自身、米粉のパンで一番おいしいのでは?と思っています。

ただ米粉のパンを作るだけでいいというならばそんなに手間ではなかったんですけれども、お米らしさというか、米粉の良さみたいなものもちゃんと表現できたと思います。アレルギーの有無は関係無しにみんなでおいしいって一緒に食べられるものにしたいという思いがあったので、そんなレベルにしようとかなり工夫をしました。
企画者の思いは、困っているお母さんやご本人を助けたいという思いがあったんですけれども、現在食物アレルギーって乳幼児だけじゃなくて、小中高校生それから大人でも発症される場合も多いですよね。また海外からいらっしゃるお客様の中で大人の方でも小麦除去のグルテンフリーが必要ですとか食物アレルギーの対応食が必要な方はたくさん来ている中、子供だけという感じではなく、大人まで食べていただけるような商品は必要だと感じていました。FAHANも子どもだけが食べるのではなくて家族と一緒に食べて欲しい、“Family”で“ごはん(GOHAN)”を一緒に食べて欲しいという思いで名前を付けました。最終的にはアレルギーの有無や年齢、性別に関係なく本当にみんながおいしいねと食べられるようなパンを目指しています。


-なるほど。デザインもかなりこだわったとか。

はい。先ほど申し上げましたコンセプトや思いに合わせて、食物アレルギーの有無に関係なく、おいしそうな米パンだなと手に取りやすいパッケージにデザインしました。パッケージの柄は昔の「米」の紋様を用いています。食物アレルギーという社会課題の解決を目指したデザインが評価されて、2018年グッドデザイン賞を受賞しました。
アレルギー対応食品ですって大きく表示しているのは大変わかりやすいのですが、そうしてしまうと、食物アレルギーをお持ちでない方々が自分のことじゃないからということで全く関心を持っていただけないんですよね。
そして、アレルギー対応食品と大きく表示されている商品を持っていて恥ずかしいというご意見も聞いていたので、誰が持っていてもいいようにおしゃれなデザインにしました。アレルギー対応食品だからというではなくて、このパン美味しそうだなとかおしゃれだな、食べてみたいなと思っていただけたら嬉しいです。


-男性の方でも持ち歩きやすいと思います。そういう配慮が嬉しいです。
最後になりますが、今後の第一屋製パンさんについて聞かせてください。

まずは、こういうFAHAN等をきっかけに、社会の問題となっている食物アレルギーで悩んでいる人たちの問題を少しでも解決できればいいなと思いますね。これからの商品はきっとおいしいだけではダメだと考えています。悩みや問題を合わせて解決していきたいですね。そして今後は物づくりだけではなくて何かサービスを提供できたらなと思います。


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今回は第一屋製パンさんのFAHANについて沢山教えていただきましたが、いかがでしたか? 男子高校生でも持ち歩きやすいデザインって嬉しいですよね。ただ、もっと手軽に1個ずつ買えたらなって思ったので、今度からコンビニやスーパーの店員さんにFAHAN置いてくださいって全力で伝えていこうと思います。ほんとにおいしい。ちなみに取材を終えお土産にFAHANをいただいてしまった私は、帰りの駅のホームで一気に4個食べてしまいました。

第一屋製パンFAHANホームページ:http://fahan.jp/

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