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地域スポーツ連携の課題と未来〜トップス広島とダラス米国4大スポーツを比較して〜

広島に出張した際、広島駅前に、トップス広島(カープ、サンフレッチェ、中国電力陸上、ハンドボール、ソフトテニスなど広島のスポーツチームの連携)のポスターの連貼りを見つけた。トップス広島として、広島のスポーツチーム同士が連携する活動をしている。広島カープは、新スタジアムの建設、チーム強化が並行して、結実し、観客動員もチーム成績も、好調で、中国四国地区のシンボルチームにもなっている。広島市の人口が約120万人、比較する米国・ダラスが134万人で似た規模の都市である。この日米の地域都市のスポーツ連携・4大スポーツを比較しながら、日本の地域スポーツの未来像を探りたい。

広島空港では、広島カープとサンフレッチェ広島のUFOキャッチャーが並んでいた。(承認グッズとまで書くのは、偽物じゃないアピールは、分かるけど、もう少し洗練された表現の方がいいと思う)

同様のスキームは、プライドリームス埼玉(レッズ、ライオンズ、アルディージャなど)、舞洲プロジェクト(エベッサ、セレッソ、オリックスバッファローズ)などがある。地域の複数のスポーツクラブ・チームを連携させることにより、地域スポーツ観戦の促進や参加をうながしている。しかし、まだまだ、ファンやサポーターが、時期やシーズンごとに、応援を複数にまたがってする習慣は根付いていない。

一方で、米国の地域都市、テキサス州ダラスの4大スポーツをリサーチした。ダラス本拠地の4大スポーツは、NBA:マーベリックス、NHL:ダラススターズ、NFL:ダラスカーボーイズ、MLB:テキサスレンジャーズ、がある。ダラス市内はコンパクトな街。マーベリックスとスターズは、中心部近くのAmerican Airlines Center(アメリカン航空はダラスが本社)を共通のホームアリーナとしている。また、ダラスカーボーイズとテキサスレンジャーズは、ダラス市内からuberで2、30分ほどの、アーリントンに、カーボーイズがAT&Tスタジアム、レンジャースがグローブライフパークを本拠地として、両スタジアムはほぼ同じエリアに隣接している。つまり、「シーズン・時期は別」「施設・エリアは共有」で、4大スポーツは連携している。ダラス、またはテキサスの人たちも、シーズンごとに地域のシンボルである、チームを年間を通して応援することができる。American Airlines Centerは、アクセスもよく、NHL、NBA両チームのグッズショップも隣接し、試合も見やすく、食事のラインナップもバラエティに富んで、美味しかった。NFLのカーボーイズのスタジアムの吊り上げ型の大型ビジョン(三菱電機製)が凄まじく、試合も見やすい。スタジアムツアーやお土産のグッズの量・種類・豊富さはすごかった。僕がFCバルセロナにいた時、カンプノウに隣接するNIKEショップは、おそらくヨーロッパ随一の大きさだったはずだが、全く引けを取らない。


広島は、全国でも、スポーツチーム連携が進んでいるエリア。カープを応援し、サンフレッチェを応援する。野球とサッカーは、シーズンがかなり被っているので、顧客の取り合いにもなり得るが、全体のパイを大きくすべきなので、連携はいいこと。JリーグとBリーグ、または、プロ野球とトップリーグなどはシーズンも被らず、連携も促進できる。Bリーグの幹部はサッカーファミリーも多く、相互に、日本代表も含めて、選手・サポーター・ブースターが応援し合うことが望ましい。

広島とダラス、ほぼ人口サイズは一緒。広島も、スポーツ活性化で、トップス広島の各チームの価値は上げられる。相互にサポーター、ファンが行き来する文化に。一方での日本各地の課題と未来を考える。

地域内でのいがみ合いの歴史:

各県とも、一体化をして、シーズンごとに、もしくは複数のスポーツを応援し合うことは今後の地域スポーツの存続拡大には必要。しかし、課題の一つに、「地域内いがみ合いの歴史」がある。よく、地域の重鎮などと話すと、「いやー、同じ県内でも、西と東は違うんだよねーー」とかはめちゃくちゃあるある。例えば、長野県だと、長野市と松本市は仲が良くないとか(実際、Jクラブも2つある)、我が福島県も、「浜通り」「中通り」「会津地方」に分かれ、いわきと郡山・福島と会津は、少し心の中にも距離感がある。「福島ユナイテッド」のユナイテッドには、福島を一つに、というおもいもあると思う。同時にいわきFCも東北最大の街に成長させる思いもある。埼玉県も横に長い。さいたま市側はサッカー、西部地区はまさに、西武ライオンズ、みたいな地域差が感じられる。でも、時にレッズやアルディージャを応援し、時に西武ライオンズを応援し、地域スポーツを堪能するようにプライドリームス埼玉は考えているのではないか。ただし、官主導の連携促進には限界がある。市や県が音頭を取っても、最終的にはファン同士が連携し、SNSなどの盛り上がりや、応援し合う習慣にまで成長するのが理想的である。

広島カープは、広島県・広域中国地方のシンボルにもなっている気がする。今、岩手県のスポーツをサポートする仕事をしているが、岩手県自体も大きく、地域の温度差もある。しかし、スポーツを通じて、地域の一体化と複数のチーム連携。

地域連携の未来・一体化の優等生、高校野球・高校サッカー:

同じ県内でも、エリアごとの温度差があり、いがみ合いの歴史もある。複数のスポーツを応援に行く習慣がない。しかし、地域一体化コンテンツの優等生がすでに、日本各地にある。高校野球と高校サッカーである。県内では、会津といわきは温度差があるが、こと、甲子園への福島代表となると、県民は皆、磐城高校や聖光学園を応援する。高校サッカーでも埼玉県民は、武南を応援する。高校野球や高校サッカーこそ、県全域スポーツコンテンツの大先輩である。しかし、アマチュアであり、高校生の自由な活動、ましてやマーケティング・商業活動は限られる。しかし、スポーツ連携で地域チーム同士の盛り上げに、ぜひ、高校野球選手、高校サッカー選手も参加して、PRやインターンや体験などをぜひやってほしい。地域スポーツ連携の機動力のポイントは「サポーター同士の交流と応援」、そして地域スポーツの優等生である「高校野球・高校サッカー」との連携だと考える。


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